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着席列車の元祖「ホームライナー」、関東で消滅 3月ダイヤ改正で「湘南」など3つの列車が消える

3/9 4:51 配信

東洋経済オンライン

 2021年3月13日のダイヤ改正では、東海道線で特急「湘南」が登場し、代わって朝と夕方から夜間にかけての通勤時間帯に運転されていた「湘南ライナー」・「おはようライナー新宿」・「ホームライナー小田原」が消える。今回消滅する3つの列車は、「ホームライナー」と呼ばれる着席列車だ。

 ホームライナーは通勤時間帯に有料で着席できる列車としてJR線で運転されているもので、運賃のほかに料金を支払う形としては新幹線などの特急に似ているが、ホームライナーは速さや車内設備のよさよりも座って利用できるところに重点を置いた列車だ。

 JR四国を除くJR旅客各社でホームライナーが運転された実績があり、首都圏で運転された列車を発祥としているが、各社とも縮小の傾向だ。今回、東海道線のホームライナーが特急「湘南」になることで、首都圏からホームライナーが消える。

■回送列車の有効活用から始まった

 ホームライナーは、国鉄時代の1984年から運転が始まった列車だ。上野を発着する特急列車は東大宮にある車両基地まで回送したが、これを活用して上野→大宮間で運転された。当時、上野からは長野方面の特急「あさま」や常磐線方面の特急「ひたち」が運転されていたのだが、まずは「あさま」の回送をホームライナーとしたのが始まりだ。

 1984年6月の運転開始当初は列車の名前がなく、「ホームライナー大宮」という名前が付いたのが翌月のことだった。構想段階では、利用者が居るのか疑問視する声が部内にあったそうだが、実際に運転が始まると予想以上の反響があり、運転区間が一気に広まった。

 1984年7月から、房総方面への特急の回送を有効活用した「ホームライナー津田沼」が運転されたのをはじめ、1986年11月から東海道線の「湘南ライナー」、1989年3月からは常磐線の「ホームライナー土浦」、1990年3月から横須賀線の「おはようライナー逗子」と「ホームライナー逗子」、1991年3月からは中央線で「おはようライナー高尾」「ホームライナー高尾」「おはようライナー青梅」「ホームライナー青梅」が新たに設定され、首都圏の主な路線ではホームライナーが走っていた時期があった。

 回送列車の有効活用として始まったホームライナーだが、後に登場した列車ではホームライナーのために新たに列車を設定していた。上野発の「ホームライナー大宮」も、北陸新幹線(長野新幹線)の開業で特急「あさま」が新幹線になると、ホームライナーのために列車を用意する形となり、回送列車の有効活用という考えは薄れている。

 その後も首都圏のホームライナーも変化し、ホームライナー大宮は運転区間を延伸、東北本線方面の「ホームライナー古河」と高崎線方面の「ホームライナー鴻巣」となり、新宿発も加わって「大宮」の名前が消えたほか、総武線方面ではホームライナー津田沼に「ホームライナー千葉」が加わり、のちにホームライナー千葉にまとめられる。東海道線方面では「湘南新宿ライナー」に新宿発着が加わったが、2001年に「湘南新宿ライン」の運転が始まると名前が紛らわしくなり、翌年に「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」と名前を改めている。また、中央線方面では2001年に名前を「中央ライナー」「青梅ライナー」に改めた。

 ホームライナーの拡大と並行して、新幹線や特急列車が通勤で利用される時代となるのだが、さらに時代が進むとホームライナーは特急列車に格上げされ、逆に利用の少ない列車は廃止の方向に向かう。

 首都圏では、まず1998年に常磐線の「ホームライナー土浦」が特急「フレッシュひたち」の一部となって消えた。2014年3月に「ホームライナー鴻巣」は特急「スワローあかぎ」となって消えたが、同時に「ホームライナー古河」も利用者の減少を理由に廃止され、ホームライナーの元祖に由来する列車が消えた。

 2015年3月には横須賀線のおはようライナー逗子、ホームライナー逗子が消えたほか、2019年3月にはホームライナー千葉が廃止されて総武線方面のホームライナーが消えた。中央線では特急「はちおうじ」「おうめ」が運転を開始した代わりに中央ライナーと青梅ライナーが消え、首都圏では東海道線の「湘南ライナー」一族が残るだけとなっていた。

■貨物線を走る「湘南ライナー」

 今回消滅する湘南ライナーでは、列車によって走行路線や使用車両に違いがある。湘南ライナーは1988年3月に列車本数を増やしたが、東海道線の線路で列車を増やす余裕がなく、東海道線と並行する貨物線経由で運転された。同年7月から運転を開始した湘南新宿ライナーも貨物線や横須賀線の線路を走行し、現在ではおはようライナー新宿やホームライナー小田原のほか、相鉄線直通列車も新宿から羽沢横浜国大付近まで同じルートを走っている。

 1993年からは上りの湘南ライナーが東京の地下駅に乗り入れるようになったが、これは横須賀線を経由したことで実現したものだ。あわせて藤沢駅の貨物線の線路のホームを新設してホームライナーの乗り場としたのも珍しく、翌年には茅ヶ崎にもホームを新設、この2駅ではホームライナーが運転されるときだけ使用されるホームがある。

 湘南ライナーの車両は、特急「踊り子」で使用されてきた185系に加え、1992年からは215系も加わり、2階建てとして可能な限り座席を増やした構造に特徴がある。このほか、中央線の特急「あずさ」の車両が使用された時期もあり、183系や189系に加え、「スーパーあずさ」のE351系も使用され、老朽化した国鉄形の183系や189系に代わってE257系が使用されたこともあった。また、おはようライナー新宿やホームライナー小田原では「スーパービュー踊り子」の251系も使用され、2020年に251系が引退したときはホームライナー小田原が最後の営業列車となった。

 今回、湘南ライナーが特急「湘南」になるのに合わせて車両も代替わりし、185系や215系に代わって中央線で活躍したE257系をリニューアルして使用することになっているが、見方を変えると、E257系が戻ってくるという言い方もできてしまう。

 湘南ライナーではサービス面でも個性があり、湘南ライナー、おはようライナー新宿とも上り列車の設定があったことで「ライナーセット券」が発売されていた。通常、ホームライナーでは乗車する都度、「ライナー券」(乗車整理券)の購入が必要だが、湘南ライナー、おはようライナー新宿では毎日利用する乗客のため、1カ月分のまとめ売りが行われていた。1カ月分をセットにしたものをライナーセット券として発売していたのだが、ライナーセット券の購入のために「みどりの窓口」には行列ができたという。

 このほか、湘南ライナーでは車内販売があったほか、湘南新宿ライナーでは英会話教室などのカルチャー教室も短期間実施されていたのも珍しい。

■JR北海道とJR東海では残る

 JR東日本の管内では、新潟地区でもホームライナーが設定され、白新線方面の「らくらくトレイン村上」と信越本線方面の「らくらくトレイン信越」が運転されていた。今回のダイヤ改正でらくらくトレイン村上は廃止され、らくらくトレイン信越は全車指定席の快速「信越」となることで、JR東日本からホームライナーが消える。

 JR西日本とJR九州でも過去にホームライナーの設定があり、JR西日本では阪和線の「はんわライナー」、大和路線(関西本線)の「やまとじライナー」、JR宝塚線(福知山線)の「ほくせつライナー」、JR京都線(東海道線)の「びわこライナー」があった。JR九州では福岡・宮崎・鹿児島地区では「さわやかライナー」や「ホームライナー」があったのだが、特急化や廃止などで、両社とも2011年3月までに消えている。

 JR北海道の札幌地区や、JR東海の静岡・名古屋地区では引き続きホームライナーが運転されるが、首都圏のホームライナーは過去のものとなる。

東洋経済オンライン

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最終更新:3/9(火) 4:51

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