IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「キャンピングカー」は最強の防災グッズである

3/6 16:01 配信

東洋経済オンライン

 豊かな自然に恵まれた日本は、残念ながら地震・台風など自然災害も多い国。東日本大震災から10年経ってなお、今年2月に震度6強の「余震」(福島県沖地震)があった。

 どこに住んでいようとも災害対策は欠かせないが、具体的に何を・どう備えればいいだろう。食料や飲料水の備蓄、非常持ち出し袋の用意、避難場所の確認など、どれも大切な備えである。

 が、キャンピングカーを愛するものとしては、実はキャンピングカーは「非常時のシェルター」として役立つ防災グッズである、という点を紹介したい。

■確保されたプライベート空間

 家屋が被災するなど危険な状況に陥ると、行政によって用意された避難所に身を寄せることになる。しかし、10年前の東日本大震災は想定した以上の規模で、避難所が足りなくなる、という事態も発生した。避難所自体が被災してしまったケースもあるという。

 また、様々な理由から避難所に居ることが困難な人もいる(ペット連れや持病があるなど)。そうした場合、車中泊を余儀なくされる人も少なくない。

 しかし、その多くの場合は乗用車だ。当然ながら、乗用車は寝泊まりするようにはできていない。シートを倒して仮眠はできても、何日にもわたって、生活の場とするには無理がある。窮屈な姿勢で長時間過ごしたために、エコノミークラス症候群を発症、病院に搬送されたが死亡したという事例もある。これも災害関連死の主因のひとつなのだ。

 その点、キャンピングカーはそこで「寝泊まりする」ことを目的に作られている。横になって身体を伸ばせる広さがある。座席を倒しただけのフルフラットレイアウトと違い、きちんと休めるように「平面」なベッドになっているのだ。

 車のボディにも大きな違いがある。見た目にはわからないが、キャンピングカーには断熱処理が施されおり(※1)、たとえ外気が暑くても・寒くても、車内への影響を和らげる効果がある。断熱=防音の効果もあるし、窓にはカーテンなどもあるので、プライバシーも確保できる。体育館や公民館などの広間を仕切って暮らす、平均的な避難所の環境と比べれば、どれだけ快適かご想像いただけるだろう。

 ※1.すべてのキャンピングカーに必ずしも断熱処理が施されているわけではない。その点も、キャンピングカー選びのポイントのひとつである。

 ことにこの「プライバシー」の確保は、非常事態が長期に及べば及ぶほど、重要なポイントになってくる。暑さ・寒さもさることながら、人目を気にせずに安心して過ごせるスペースがあるかどうかは、避難生活のQOLを大きく左右するのだ。

■生活用のサブバッテリーも搭載

 普通の車でもエンジンをかければ冷暖房や照明を使うことはできる。だが、逆を言えば、エンジンをかけなければそうした器具は使えない。災害時には燃料の確保も難しくなることを考えれば、あまり頼りにはならない。過去には暖をとるために車内で火を使って、一酸化炭素中毒で亡くなったという痛ましいケースもある。

 その点、キャンピングカーには走行用とは別に、生活用のサブバッテリーが搭載されている。十分に充電されたサブバッテリーがあれば、エンジンに頼らずともある程度の空調や照明を使うことが可能だ。TVを見たり携帯電話を充電するなど、情報収集にも電気は欠かせない。

 また、FFヒーターがついているキャンピングカーもある。FFヒーターは基本、車の燃料を使うことが多いが(※2)、エンジンを回すよりもはるかに少ない燃料で安全に暖房が使えるようにできている。

 ※2.一部の車両では、FFヒーター用にプロパンガスを燃料としている場合もある。

 最近はサブバッテリーに大容量のリチウムイオンバッテリーを採用したり、ポータブル電源を搭載する商品も登場している。こうしたシステムがあれば、数日間は電気をまかなえるし、ソーラー発電パネルを併用すればある程度長期の避難生活にも対応できる。

 2018年の台風による大規模停電を経験したあるキャンピングカーユーザーは、キャンピングカーから自宅の冷蔵庫に電気を供給して、食材を守ることに成功したという。

 普段は家の電源から車のバッテリーを充電して使っているが、このときは逆に電気を流して、キャンピングカーそのものを電源として扱ったというわけだ。快適な日常生活をアウトドアに持ち出すキャンピングカーには、そんな使い方だってあるという好例だろう。

■ペットと一緒に避難できる

 ペットと一緒に旅がしたいから、という理由でキャンピングカーを買うオーナーは多いが、災害のときこそ、そのメリットが享受できる。

 東日本大震災の際、ペットを同行・同伴しての避難が難しく、飼い主と離れ離れになるケースが多くみられた。動物愛護団体やボランティアの尽力で何とか飼い主をみつけたり、飼えなくなったペットの里親探しが行われるなど、懸命な努力が続けられたという話を、報道などで知った方もいるだろう。

 それ以降、災害時のペットへの対応が検討され、ペット同行可能な避難所も設定されるようになった。また、環境省は「人とペットの災害対策ガイドライン」で「飼い主はペットと共に避難行動を行うことが必要である」としている。

 しかし、公的な避難所に「ペット連れ専用」という設定はない。呼吸器疾患のある人、動物にアレルギーのある人などが避難してきたらどう対応するかなど、実際の運用には問題が山積だし、その場の判断は結局、現場に任されているのが現状だ。

 そう考えたら、ペット連れ避難にはキャンピングカーが最適だと言えるだろう。車内に入ってしまえばそこはプライベートな空間である。他の人に迷惑をかける心配もないし、ペットも普段からキャンピングカーになじんでいれば、知らない場所で過ごすよりはるかに快適なはずである。日頃からペットと一緒に旅を楽しみ、キャンピングカーでの生活に慣れてもらうのが一番だ。

 いいことずくめのキャンピングカーだが、ただ「買っておけば安心」というものではない。いざという時の備えは普段の心掛けこそが大切であり、それはキャンピングカーとて同じことだ。

 キャンピングカーを防災シェルターとして活用するために、ポイントが4つある。

 ①燃料は満タンに

 災害時には給油もままならなくなることが予想される。遊びに行ったら、車庫に収める前に満タンにしておこう。普段使いと兼用している車なら、せめてタンクの半分を切らないように心掛けておくのが肝心だ。
また、カセットコンロやキャンプ用ガスなどの備蓄量もチェックしておきたい。

 ②食料、飲料水を確保する

 防災上では「とりあえず3日間を自力でしのぐ」ことが大切だとされている。どんな環境でも、平均して3日しのげれば、何らかの救援が受けられるとされているためだ。

 そこで、キャンピングカーでも3日間を目安に食料や飲料水を搭載しておこう。専用の非常食を用意しなくても、カップ麺やパックの白米など、すぐに食べられるものを多めに用意しておくだけでいい。

 消費期限をチェックしておいて、期限が近づいたら家で食べて新しいものを補充する(=ローリングストック法)というやりかたをクセにしてしまえば、さほど手間はかからない。家族にアレルギー体質の人がいる場合は、対応した食料を多めに用意しておこう。

 ③トイレは大切! 

 つい水や食料などにフォーカスしがちだが、衛生環境は人間の健康に直結する。すべてのキャンピングカーにトイレが備わっているわけではないが、トイレがない車でも、コンパクトに収納できる「組み立て式簡易トイレ」を積んでおくことはできるはず。旅先での「緊急事態」にも対応できるし、何より持っておくだけで安心だ。

 トイレがついている車でも、タンクの処理がしばらくできないことを想定しておきたい。停電や断水のことを考えたら、水は貴重品。できればタンクに貯める必要がない「非常用トイレ処理セット」もあわせて用意しておけば安心だ。

 ④ペットケア用品も

 ペット連れの場合には、フードなどのケア用品を搭載しておこう。避難所には水や食料、日用品など、さまざまな物資が届けられるが、残念ながらペット用のものはどうしても優先順位が低くなる。

 普段から食べなれたもの、使い慣れたものを人間用の食料同様、備蓄しておく。また、非常時のストレスから食べられなくなる子もいる。ペットが喜びそうなおやつも、用意してあげたい。

 高齢だったり、病気のために療法食が必要なペットもいるだろう。病気で常服している薬がある場合はどうするか。非常時には手に入りにくい療法食や薬も、積み込んでおくか、すぐに持ち出せるようにしておきたい。

 「キャンピングカーは優秀な防災シェルターだ」という話をすると「気が引ける」「周囲の目が気になる」という声を聞く。いわく、避難所で嫉妬されそう。自分たちだけ快適に過ごすのは居心地が悪い、というのだ。
確かに、災害に遭えば誰もが困窮する。人の目が気になるのもわかる。だが、キャンピングカーあるからといって、後ろめたい思いをする必要は一切ない。
もちろん、キャンピングカーをひけらかすような態度を取れば、トラブルにだってなるだろう。だが気にしすぎるのもどうかと思うのだ。

 第一に、キャンピングカーオーナーは、決して安価ではないキャンピングカーに「投資」をしている。遊びの車だが、いざというときは役に立つ。そこを見越して、お金をかけて防災グッズとして備えているなら、投資に見合ったメリットを享受して悪いはずがない。ある意味、保険と同じだと考えればいい。

■しっかり休めば医療にも負担をかけずに済む

 第二に、キャンピングカーの所有者がそれを使うことで、避難所側の負担が減るということ。家族でキャンピングカーに避難すれば、避難所にはひと家族分の余裕ができる。食料や水、生活用品の支援物資も、キャンピングカーにいるからといって受け取れないということはない(指定避難所外避難者、という制度ができている)。

 また、キャンピングカーでしっかり身体を休めて健康を維持できれば、医療に負担をかけることもなくなる。あなたと家族が元気でいるだけで、医療、避難所インフラ、福祉など、限られたリソースを消費せずに済むのだ。

 これまでは「被災したら避難所に入るもの」だと思われてきた。しかし、度重なる大規模災害で、用意した避難所インフラだけでは賄いきれないこともまた、わかってきた。

 そのため行政も、車や倒壊の危険がない自宅に避難することを認めるようになってきているのだ。

 災害時、自らの命と健康を守るために頼れるのは、自助・共助・公助の順番だ。普段は遊び道具として楽しめて、避難場所としても活用できるキャンピングカーは、究極の「自助」だと思うのである。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:3/6(土) 16:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング