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子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」

3/6 17:01 配信

東洋経済オンライン

コロナ禍で、子どもの運動不足や体力低下が懸念されています。基本的な運動は、野球やサッカーなどのスポーツへつながる運動能力をアップさせるのはもちろんのこと、脳の発達を促して学力の向上にもつながると、複合型スポーツ施設を運営するIWAアカデミーチーフディレクターで、トレーナーでもある木村匡宏氏は指摘します。では、どのように運動させるのがよいのでしょうか。『1日5分で運動能力と集中力が劇的アップ 5歳からの最新! キッズ・トレーニング』を上梓した木村氏が、その方法をお届けします。

■人は脳だけで生きているわけではない

 「運動すると頭がよくなる」

 こう言われて、どれだけの人がすんなり受け入れられるでしょうか?  運動は身体を使うことであり、それで本当に頭がよくなるの? と疑問に感じる人のほうが多いかもしれません。「頭がいい人=勉強ができる人」→「勉強ができる人は脳が発達している人」。こうやって考えていくと、運動と頭のよさは無関係のように感じるからです。

 しかし、人間が脳を使うのは勉強の場面に限ったことではありません。走ったり、歩いたり、ジャンプしたりと、身体を動かす時にも、人間はすべて脳からの指令を受けています。計算問題を解いたり、漢字や英単語を覚えたりすることだけが脳の働きではなく、考える、怒る、泣く、楽しむ……これらの感情の動きもすべて、脳の働きによるものです。

 人間にとって脳が極めて大事であることは誰にでも理解できると思いますが、人は脳だけで生きているわけではありません。身体があっての脳であるということを覚えておく必要があります。

 とくに子どもの脳は、とてつもない勢いで育とうとしています。人間の脳はバランスよく全体的に発達するのではなく、場所によって司る役割が決まっていて、それぞれが順を追って発達していきます。

 まず幼児期に発達するのが、運動をコントロールする「運動野」と呼ばれる場所。その影響で小さな子どもは、とにかく走り回ったりして動きたがります。これは脳が発達するために必要なことで、子どもは動くことで自分の身体を認識して成長していきます。つまり、幼児期から運動に親しませることは、脳の発達から考えても、とても重要なことなのです。

 ところが昨今は子どもの運動不足が指摘されています。デジタル機器の普及により、日本では3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用していると言います。スマートフォンやタブレットで動画コンテンツを見たり、ゲームをしたりしている時間は、まったく身体を動かしません。

 本来、身体を使って遊ぶことが大切な時期に、身体を動かさないことが習慣化すると、深刻な運動不足になっていく危険があり、実際に子どものロコモティブシンドロームも多くみられます。これは単純に身体、運動の発達の問題だけでなく、脳の発達の問題でもあります。前述のように、運動と脳の発達には深い関係があるからです。

 子どもがキャーキャー言いながら追いかけっこをしたり、サッカーやドッジボールで夢中になって遊んだりして、楽しく、気持ちよく身体を動かすことは、脳全体のネットワークが高い次元でつながることを促し、それは複雑なことを考える力へとつながっていきます。

 夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます。

■興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く

 興奮させてばかりいると、コントロールの効かない、落ち着きのない子になるのでは? と心配する方もいるかもしれません。これはまったくの逆で、正当な興奮を味わった脳のほうが、むしろコントロールが効くようになります。なぜなら「興奮」を経験することは、同時に「興奮を抑える」という経験を増やすことにもなるからです。

 例えるなら、興奮を味わったことがない脳は、徐行運転の経験しかない車のようなもの。それではブレーキの使い方を練習できません。スピードを出すからこそ、ブレーキの使い方がわかるのです。興奮を味わってそれを抑えるというのは、これと同じことです。

 ただし、気をつけなければいけないのは興奮の質です。スマートフォンやゲームを使って騒いでいる子どももいますが、そうした興奮は本物の興奮ではありません。スポーツのようにさまざまな感覚、身体のあらゆる場所への刺激を伴う興奮こそが本物の興奮で、子どもの脳の発達を促します。人は身体を動かすことによって、脳の発達が進んでいくのです。

 子どもの成長には運動が大事だとわかっても、実際にはどんな運動をすればいいかわからないという人も多いと思います。とくに現在は新型コロナウイルスの影響もあり、制約のあるなかでの生活を余儀なくされ、大人も子どもも運動機会が減少しています。

 事実、OECD(経済協力開発機構)をはじめ、多くの調査機関から日本など先進国で「子どもの運動時間、身体を使った遊びの時間が減っている」という報告がされています。

 ここで誤解してはいけないのは、必ずしも「運動=スポーツ」ではないということ。ルールのあるスポーツだけが運動ではありません。

 大人の場合、通勤で階段や坂道を歩く、買い物をする(荷物を持つ)、洗濯物を干すというように、日常生活の中にも運動はたくさんあります。子どもの場合は、スポーツに必要なスキルなど何も考えずに遊ぶだけでも十分な運動になります。ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます。

■日常生活の中に運動機会を取り入れる

 「追いかける」「逃げる」「転ぶ」「駆け上がる・下りる」「投げる」「捕る」「打つ」「押す・引く」「よける」「切り返す」……無意識で遊んでいても、身体はいろいろな動きをしています。

 日常生活の中に、こうした運動機会を取り入れることが、子どもには必要。それぞれの動作を上手にできるかどうかよりも、まずは機会を与えることが大事なのです。

 運動機会を与えれば、子どもは自分の意思で夢中になって取り組み、うまくやるための身体の動かし方を勝手に覚えていきます。

 ここで気をつけたいのは、「ああしなさい」「こうしなさい」と、大人が過剰なアドバイスをしてしまうことです。大人は安全を確保して見守っていれば十分。自主的に遊びに取り組むことで、子どもの集中力はどんどん深まっていきます。

 自分で考えて取り組み、それを大人に否定することなく励まされれば、身体を通して“よい体験”として子どもの記憶に刻まれます。こうした体験を日常の中で重ねていくことで、脳の欲望や感情を扱う大脳辺縁系を刺激し、運動が「楽しい」「達成感」という意欲につながります。

 そして「次は何をやろうかな?」と先の予定を計画しながらイメージを繰り返すことで、さまざまな知的活動を行う大脳皮質を使いつつ、脳全体のネットワークがつながっていきます。

■体育の出席率と東大進学率には相関関係がある

 こうして幼少期から運動による刺激を脳に与えながら育った子どもは、脳と身体が健全に発達していきます。運動が習慣化されると、それが勉強にも好影響を及ぼすという事例もいくつかあります。

 ある有名私立中高一貫校では、体育への出席率と東京大学への進学率に相関関係があることがデータで導かれました。6年間一度も体育を休まない生徒ほど、東大への合格率が高まるというデータです。

 また、0時限目に体育を取り入れた高校で、多くの生徒の成績が上がったという研究結果もあります。こうした事例は、運動することが脳や勉強にもよい影響を与えることの一つの証明と言えるでしょう。

 運動能力を高めることで脳の発達を促す。これはまさしく子育ての鉄板とも呼べる一石二鳥大作戦。親として「子どもにはどんな習い事をさせたら将来のためになるか?」と考えるのもよいことですが、難しく考える必要はありません。

 思い切り身体を使って遊ばせることで、子どもの身体も脳もしっかり成長していきます。

東洋経済オンライン

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最終更新:3/6(土) 17:01

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