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中国、成長支援とリスク対応の間の綱渡り政策 <HSBC投信レポート>

3/5 12:35 配信

LIMO

中国の資産市場の過熱リスクが懸念される中、中国人民銀行が金融システムから資金を引き揚げたことで、1月の短期金融市場金利は急上昇した。この時期は、月末の法規制チェックや納税、春節(旧正月)休暇を控えていることもあり、現金需要は季節的に増加する。こうした中で、銀行はノンバンク金融機関への資金供与を減らし、金利を引き上げた。

一方、昨年11月から12月には、社債のデフォルト増加を受けて、投資家の信頼回復の目的もあり、銀行間金利が引き下げられ、金融は緩和された。資金調達コストの低下を背景に、金融機関がレバレッジを上げて短期債券投資のリターンを高める動きが見られるようになり、また、より多くの流動性/個人の預金が株式市場や不動産市場に流入した。

こうした中、人民銀行の馬俊(マー・ジュン)顧問は「金融政策は特定分野の資産バブルを抑制するために調整されるべきだ」と発言した。こうして、流動性は引き締められ、金融環境はより厳しくなったのである。

経済成長支援と金融リスク対応の政策のトレードオフ

ここ数週間のオンショア社債発行の回復と、景気の循環的回復の持続を示す経済指標(2020年第4四半期国内総生産 (GDP)の前年同期比+6.5%の力強い成長を含む)を受けて、人民銀行は流動性の正常化再開に向けて自信を抱いた可能性がある。また、市場での過剰なリスクテイクや一部都市における不動産価格の大幅な上昇にも目を向けたものと見られる。

しかしながら、最近の流動性の引き締めや金利の急上昇は一時的なものである可能性が高いと当社は考えている。実際、2月上旬には銀行間取引金利は低下している。

1月の流動性の引き上げは、資産バブルへの警告や金融引き締めへのシグナルを発したわけではなく、市況や経済データに対応した人民銀行の反景気循環的な政策調整の一環であると考えられる。現在、信用取引や株式質権設定の統計から判断して、株式市場にバブルの強い兆しは見られず、また不動産市場のパフォーマンスは都市間でかい離したままである。

人民銀行は、国内外のパンデミックの状況や景気回復の不確実性など、先行き不透明な状況が続く中で、大幅な金融引き締めや資金調達コストの引き上げは行わないとみられる。

一方、コア消費者物価指数(CPI)上昇率は落ち着いた推移を示している。サービス消費の回復が緩やかなものにとどまり、また商品価格や企業の販売価格の上昇を背景とした生産者物価指数(PPI)上昇のCPIへの波及は、短期的には限定的にとどまると見ている。

新型コロナウイルスの感染再拡大で短期的に消費の不確実性高まる、ただし成長への影響は管理可能

北部のいくつかの都市で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることは、短期的な成長見通しに不確実性を投げかけている。中央政府と多くの地方自治体は、春節の休暇期間中の旅行や集会の制限を強化し、出稼ぎ労働者には祭りのシーズンも職場のある都市に留まるよう奨励した。中・高リスク地域からの旅行者や農村部への旅行者は、強制的なPCR検査と検疫・在宅モニタリングの対象となった。北京はより厳格な水際対策を課している。

とはいえ、今回は、2020年2月の全国的なロックダウンに比べて、リスクレベルに応じて都市や州で異なるウイルス封じ込め規制を敷いており、より的を絞ったものとなっている。

移動制限が厳しくなっていることで、短期的には個人消費が圧迫される可能性があり、オフラインでの小売販売やサービス、特に運輸、観光/ホスピタリティ、レジャーや娯楽が打撃を受ける。これにより、2021年に期待される重要なトレンドである、輸出と投資から消費、更には製造・生産からサービスへの成長源の転換が遅れる可能性がある。

しかし、消費への影響は、季節的に生産活動や輸出が活発になることで相殺されることも考えられる。これは、労働者が働く都市に多く滞在することで、工場の稼働を維持するのに好都合となる可能性があるからである。

より的を絞った封じ込め対策の実施、迅速な政策対応、ウイルスの拡散を封じ込めるための追跡・検査技術の向上、ワクチン接種の展開(1月下旬現在、人口の約1%に接種されているが、現在の進捗状況は春節前に5,000万人にワクチンを接種するという当初計画よりも遅れている)に加え、消費者や企業の社会的な距離を確保することへの適応力の向上(例、在宅勤務やオンラインでの活動の実施など)を考慮すると、全体的な経済的被害は1年前よりもはるかに小さくなると予想している。

2021年は的を絞った支援を継続するとともに金融政策を正常化、急激な政策転換はない見込み

当局は、不動産・金融規制の強化、地方自治体の債務リスク管理に加え、流動性/市場金利の段階的な正常化、信用とマネーサプライの成長の緩やかな減速を通じ、緊急支援措置のテーパリングを継続的に実施するとみられる。人民銀行は、今後も慎重な流動性の調節を継続し、マネーサプライの伸びを管理し、実体経済への的を絞った信用供与を確保しつつ、金融・不動産市場への過剰な流動性の供給を抑えるであろう。

また、当局は、利上げのような、大きく広範な経済的影響をもたらす従来型の金融政策ではなく、マクロ・プルーデンス的な手法を用いて資産バブルリスクの抑制を図るとみられる。

習近平国家主席と人民銀行の易綱総裁を含む指導部は、突然の政策転換や早急な経済支援対策からの撤退はないとの安心感を与えるメッセージを送っている。

易綱総裁は政策の安定性と継続性を強調し、政策は景気回復を支援することと、マクロ・レバレッジ比率の上昇、不良債権の増加、外部環境要因の不確実性などのリスクを防ぐこととのバランスをとりながら進めていくことになる。政策の正常化による潜在的な成長への影響は、企業収益と家計所得の改善によって緩和されることが期待される。

LIMO

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最終更新:3/5(金) 12:35

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