IDでもっと便利に新規取得

ログイン

育休中の「住宅ローン審査」が不利になるワケ

3/3 14:01 配信

東洋経済オンライン

 子どもができたらほしくなるのが、快適な住まいです。妻の産前・産後の休業および育児休業(以下、産休・育休)の間であれば、物件の情報収集に使える時間が取れるうえに、引越しの日程を調整しやすいとあって、“今のうちに”と考えるのは自然なことかもしれません。

 しかし産休・育休が終われば復職する予定で住宅ローン審査を申込んだものの、金融機関側から融資のお断りを受けるケースは意外と多いものです。

 金融機関にもよりますが、妻の産休・育休中は、住宅ローンの審査においては家計の不確定要素とみなされて、申し込みを断られることもあります。

■不確定要素が多いと判断される

 では、なぜ、不確定要素とみなされるのかというと、職場復帰が確実かわからないからというのが理由のようです。「産休後は必ず職場復職すると言っているのに、何が問題になるの?」と思う人も少なくありませんが、実は、本人の意思とは関係なく、計画どおりに復職できるとは限らない現状があります。

 例えば、保育園に入園できなかったために職場復帰が予定どおりにはいかないことは大都市圏ではよくある話ですし、出産後の心身の調子がなかなか回復しない女性も少なくありません。

 当然職場復帰するつもりだったものの、子どもを育てているうちに離れがたくなり、結果的に離職を申し出るということもありがちです。また、職場復職したものの、時短勤務になり、収入が激減したというご家庭もあります。めったにないことではありますが、生まれた子どもに障害や病気があって思うように復職できないケースもありえます。

 内閣府男女共同参画局の調査によると、出産前有職者率72.2%のうち、第1子の出産を機に離職する割合は約半数を占めています。

 育休を利用して雇用を継続する割合は増えて来てはいるものの、出産を機に離職する可能性は低いとは言えません。そのため、住宅ローンを産休・育休中に組もうとすると、通常のときよりも厳しい審査になる現状があります。

 そのため、産休・育休中に住宅購入するにあたっては、申込先の金融機関の対応を調べたうえで、調整・交渉していくことが大事になります。まず、金融機関の対応についてですが、おおむね、【1】住宅ローンの申込みおよび融資実行も可能、【2】住宅ローンの申込みは可能だが、融資実行は復職後に限定、【3】住宅ローンの申込み自体不可、の3つのパターンに分かれます。

 妻が主債務者として借入れたい場合は【3】となるのが通常ですが、夫婦での借入れであれば【2】が主流の印象です。例えば、住宅金融支援機構のフラット35であれば、借入予定日(つなぎ融資時含む)までに復職予定であれば、連帯債務者としての申込みは可能です。逆に言えば、復職予定日が借入予定日以前ではない場合には、主債務者としての申込みはできません。

■復職して働くことができる証明が必要

 妻の借り入れが可能かどうかは、収入以外の情報を含めて総合的に判断されるため、金融機関と交渉するなら、「育休後に復職してしっかりと働くことができる」ということを客観的に証明する書類を準備しておくことが大切です。

 審査時に、「勤務先が発行した育児休暇の証明書類」(勤務先の承諾や開始、終了期間がわかるもの)と、「復職後の年収証明書類」を用意することができれば、相談に乗ってもらえるところも複数あります。

 育児休暇期間の証明書類は、各金融機関に所定の用紙があるわけではなく、勤め先に頼んで所定の項目を記載した書類に会社印を押印してもらうのが一般的です。

 また、復職後の年収証明書類としては、勤め先に復職後の見込年収証明書を発行してもらうほか、産休・育休取得前の収入を証明する源泉徴収票や確定申告書、あるいは、休暇取得前の直前3カ月分の給与明細と産休・育休取得前1年分の賞与明細などで代用できるところもあります。

 ところで、妊娠中の住宅購入は大丈夫かというと金融機関などによっても対応がわかれるところですが、産休・育休取得の予備軍ですので考え方は準じると考えられます。

 夫婦で収入合算する形で審査にとおっていたとしても、住宅ローンの契約時までに妊娠が発覚した場合は、妻の妊娠を踏まえての再審査となったり、融資金額が減額されるなど、住宅ローンの審査に影響することもあります。

 特に1年以上先に完成予定のマンションなどを購入するケースでは要注意です。これから、家も子どももと考えている人は、物件価格や借入額、借り方なども含め、慎重に検討することが重要です。

 中には、契約した金融機関との調整で、育休期間を予定より短くした人も。金融機関によっては、産休・育休中の返済額について低く抑える工夫を盛り込んだ住宅ローンを取り扱っているところもありますので、情報収集してうまく活用してはいかがでしょうか。

■団体信用生命保険にも影響

 妊娠中の住宅購入について補足すると、団体信用生命保険の申込時に記入する“健康状態に関わる告知書”で、妊娠時の受診も申告の必要があるのが通常です。何事もなく団信OKとなるケースが大半ですが、告知の内容によっては団信に加入できないケースもあり、団信不加入=住宅ローンを組めない金融機関がほとんどです。

 もしも、あきらかに妊娠がわかっているタイミングであるのにもかかわらず、あえて妊娠の事実を告知しないで団体信用生命保険に加入できた場合について言えば、妊娠・出産によって保険事故(たとえば命を落とすなど)が起きると、事実を告げていなかったとして団体信用生命保険からの保険金はおりません。また、詐欺行為を働いたということで融資金の全額返金を求められる可能性もゼロとは言えません。

 したがって、これから前向きな家族計画を考えている場合は、完成済み物件や中古物件など、住宅ローン審査から契約、引渡しまでの期間が長期に渡らない物件を選んだほうが、無難と言えそうです。

 また、すでに産休・育休中であれば、物件引渡し時(融資実行時)と育児休業の期間が最も望ましい形にできる金融機関を探して住宅ローン審査を受けることが大事です。そう考えると、いちばん無難なのは、貯蓄を増やしておいたり、物件価格を抑えるなどして、夫1人分の住宅ローンで足りる物件を選ぶことかもしれません。

 2人で住宅ローンを組むことを重視する理由として、住宅ローン控除を挙げるご夫婦が多いです。せっかく共働きなので、夫婦2人で住宅ローンを組むことで、フラット35などの収入合算(連帯債務)やペアローンであれば、夫婦2人分の住宅ローン控除を受けられてお得になるからです。特に今は、本来10年間だった住宅ローン控除期間が13年に延長されているため、魅力的でもあります。

 ただ、よく考えてみると、住宅ローン控除は、①年末時点の住宅ローン残高の1%、②所定の上限額(高性能住宅5000万円、一般住宅4000万円、中古住宅2000万円など)の1%、③支払った所得税(控除しきれなかった場合は、翌年の住民税からも控除)のいずれか少ない額になります。

 住宅ローン控除について「10年間で最大400万円」といった表現で語られるのは②にもとづく数字ですが、産休・育休中の年収が少ない場合には③にもとづく額が採用されて、思ったほどには住宅ローン控除の恩恵を受けられない可能性があります。休職時の収入とローンの組み方を工夫することも視野に入れておきたいところです。

■家も子どもも両立させることは簡単ではない

 以上、産休・育休中における住宅ローンに焦点を充てて見てきました。無事に住宅購入できた後のことについて軽く触れておくと、「家」も「子ども」も「仕事」もすべてを両立させることは、承知のうえではあるものの決して簡単なことではありません。

 長く休んだ分だけ復職後はしっかり「仕事」をがんばろうと思う一方で、「子ども」に集中できていた育休中からの反動は想像以上に大きいものです。

 出産前と異なり「仕事」だけに集中できない暮らしとなるため、心身共に行き詰まって、最終的に「仕事」を辞める選択を検討する人もいます。これまで、そんなご家庭の家計見直しなどのお手伝いもしてきました。

 助けてもえらえる支援には遠慮なく甘え、手抜きできるところは抜き、時として完璧主義は棚上げすることも大事です。妻の精神的・身体的負担が大きくなりがちのため、夫婦間での思いやりと助け合いは大事です。どうか「夢」のマイホーム取得が、悪夢にならぬよう、購入する物件(物件価格や保育園と通勤を考慮した立地)やタイミングについて慎重に検討していただけたらと思います。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:3/3(水) 14:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング