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高齢者向け「持病があっても入れる保険」は本当にトクなのか…? その意外な「真実」

3/3 5:01 配信

マネー現代

元なんて取れない

(文 週刊現代) 〈持病がある方も85歳まで申し込めます〉

〈万が一の病気に備えて保険料がお手頃〉

 そんな謳い文句が並ぶ高齢者向け保険の広告に、見覚えはないだろうか。月数千円で安心できるなら安い。こう思った人は、ちょっと待ってほしい。

 いったい何のために保険に入るのか。はたしてその保険に入って得になるのか。そう考えてみたことはあるだろうか。

 実際に販売されている商品を元にみてみよう。

 国内大手保険会社A社では、「持病があっても入れる」と謳う引受基準緩和型終身医療保険を販売している。70歳で入ると、男性は月3955円、女性は月3481円の保険料を払う。平均余命まで生きれば、払込総額は男性76万円、女性84万円となる。

 「これで受けられる保障は、入院給付金が日額3000円です。上限である60日入院しても、18万円しか受け取れない。結局、2ヵ月に及ぶ入院を4~5回もしないと、元は取れないのです」(ファイナンシャルアソシエイツ代表の藤井泰輔氏)

 どの保険会社の医療保険でも、4~5回、長期入院しない限り元を取れないのは変わらない。各社が競っているのは保険商品ではなく、〈資料請求をされた方に抽選で、米沢牛をプレゼント〉などのキャンペーンなのだ。

 民間医療保険に入っている人は、自分がすでに保険に入っていることを見落としている。あなたも、国民健康保険という「優秀な保険」に入っているではないか。

 「どれだけ高額な医療費がかかったとしても、健康保険には高額療養費制度があるため、自己負担上限額は決まっています。

 一般的な高齢者なら、上限は月5万7600円で済むのです。しかも直近12ヵ月で3回、高額療養費制度を使えば、4回目からは自己負担上限が4万4400円まで下がる多数回該当という制度もある」(藤井氏)

 相続対策になる、という宣伝に乗せられて、高齢者をターゲットとした死亡保険に飛びつく人もいる。はたして本当に必要なのか、立ち止まって考えてみよう。

 「保険会社B社の終身保険に60歳の持病がある男性が加入したとします。もらえる保険金が100万円で、月5074円の保険料を払う契約です。

 この人が70歳で亡くなれば、払い込んだ保険料は約60万円ですから、40万円得します。しかし76歳ごろで払込保険料が100万円を超え、その先は長生きすればするだけ損します」(藤井氏)

 保険金には非課税枠があるが、9割の人は相続税とは無縁だ。早く死ぬか遅く死ぬかというギャンブルをして、非課税枠にこだわる必要はない。

 近頃人気の葬儀保険はどうか。「葬儀には平均195万円、お墓の購入には平均約160万円かかる」と言われれば、保険でおカネを用意しなければならないような気もしてくる。

 月1000円ほどで始められ、商品によっては最大300万円を受け取れる。いいことずくめのようだが、本当にそうか。

 コロナの影響もあり、100万円以下の出費に抑えられる家族葬や、約20万円で行える直葬が当たり前になりつつある。巷間言われるほど、葬儀にはおカネがかからなくなっているわけだ。それならば、損する可能性もある保険にわざわざ入る意味もないだろう。

 安心したいから。そう思ってうろたえる高齢者は、保険会社からすればいいカモなのである。

 『週刊現代』2021年2月20日号より

マネー現代

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最終更新:3/3(水) 5:01

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