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日経平均3万円の背景に「従業員より株主重視」 統計が示す増えない給料

2/28 19:35 配信

LIMO

株価が上昇を続けています。世界的な株高の流れに沿っていることが主因なのでしょうが、大きな目で見ると日本企業の収益が好調なことも一因のようです。日本企業が従業員より株主を重視していることが背景にあるのだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

グローバル・スタンダードで日本企業が変質

高度成長期の日本企業は「従業員の共同体」と言われ、株主には出資に対する「応分の謝礼」として配当を支払うものの、利益が出れば賃上げで従業員に報いる、というのが普通でした。その後もバブル崩壊までの日本企業は従業員の共同体でした。

しかし、バブル崩壊後の長期低迷期に「グローバル・スタンダード」なる言葉が流行り、企業は株主の物だから儲かったら株主に配当するのが当然だ、という考え方が広まりました。

日本経済は2000年代にも2010年代にも長期にわたる景気拡大を経験しましたが、いずれの場合も「景気回復が実感できない」と言われました。経済成長率が高くなかったこともありますが、給料が増えなかったことが「体感景気」を冷やしていたのでしょう。

法人企業統計年報という統計を見ると、それが良くわかります。景気の谷から山までの企業の付加価値の増加額、人件費の増加額、株主帰属額(配当プラス内部留保)の増加額を見てみましょう。ちなみに景気の谷は1986年11月と2012年11月、山は1991年2月と2018年10月でした。

バブル景気の時は、付加価値が69兆円増加しましたが、その過半の37兆円は人件費の増加となり、株主帰属は8兆円しか増えませんでした。

それに対し、アベノミクス景気の時には付加価値が42兆円増えたうち人件費はわずか12兆円しか増えず、株主帰属は38兆円も増えたのです。

企業の株主重視は株高要因

こうした日本企業の変質を肯定的に捉える人と否定的に捉える人がいるでしょう。貧富の格差が拡大する要因だ、と考える人もいるでしょうし、筆者のように「景気にとってはマイナスだ」と考える人もいるでしょう。労働者への賃金の方が投資家への配当や内部留保による株高よりも消費に回る比率が高いからです。

もっとも、本稿は株価について考えるものですから、その観点からすれば日本企業の変質は株価を押し上げる要因であることに違いありません。

PER(株価収益率)が一定だとすれば、株主に帰属する利益の増加は素直に株価の上昇要因となるでしょう。最近のPERは以前より若干高く、割高に見えますが、10年前や20年前と比べて株価が大幅に上昇した割にはPERの上がり方が緩やかに止まっていて、割高感も限定的なのは、株主帰属が増えているからですね。

企業が儲かったら配当を増やしてくれる、ということが株主にとってありがたいのは当然ですが、加えて企業が儲かったら内部留保を増やしてくれるので、1株あたり純資産がどんどん増えていき、PBR(株価純資産倍率)が一定だとすると株価が自然に上がっていくわけです。

こうしたことから、バブルだという人がいる一方で、株価の割高感はそれほど強くなく、許容範囲内だと考える人も多いわけですね。

短期的には海外との連動が重要だが

現在は、世界的な株高であり、日本だけが株高だというわけではありません。しかもそれが、世界的な金融緩和がもたらしている株高であることは疑いありません。

ということは、短期的には(今がバブルならば)バブルの崩壊で株価が下がるかもしれませんし、(今がバブルでなくても)金融緩和が終われば株価が下がるかもしれません。

しかし、日本企業が利益を稼ぐ体質になっていること、それが内部留保として一株あたり純資産を増やし続けていること、等々を考えると、長期的な株価の見通しとしては、比較的楽観しても良いのかもしれません。

もちろん、「下がってから買おう」とか「それでも海外株の方が魅力的だ」とか「やっぱり株は怖い」とか、色々な考え方があるでしょう。いずれにしても、投資は自己責任でお願いします。

本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

 参考資料

 ・内閣府 景気基準日付
 ・財務総合政策研究所 財政金融統計月報第474号 損益および付加価値(全産業)
 ・財務総合政策研究所 財政金融統計月報第811号 損益および付加価値(全産業)
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最終更新:2/28(日) 19:35

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