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成長企業は「課題の深刻さ×市場規模」で見抜く!敏腕ファンドマネジャーが直伝

2/23 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 「課題の深刻さ」×「市場規模」に注目して、強い銘柄を長期保有する――。設定来13年間で基準価格を23倍にして、2020年も88%の上昇を達成したDIAM新興市場日本株ファンド。特徴は上場時から中小型の成長株を長期保有することにある。特集『最強のテンバガー』(全18回)の#4では、運用を担当する岩谷渉平氏に、銘柄選びの視点や、今後5年、10年と成長が期待できるテーマについて聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

● 上場時から中小型の成長株を長期保有 運用ファンドの基準価額が13年間で23倍に

 ――運用ファンドの多くがTOPIX(東証株価指数)を大きく上回って推移しています。特に「DIAM新興市場日本株ファンド」(新規申し込みを一時停止中)の基準価格は13年間で23倍になっています。投資方針や銘柄選びについて教えてください。

 銘柄選びで意識しているのは創業の動機です。もう少し具体的に言うと、どんな社会の課題を解決したいのか。あとはビジネスなので市場規模が大きいかどうか。易しく言えば、みんなが必要としているのか否かです。

 例えば、医療の課題は先史時代からありますが、それをITの活用で解決しているのがエムスリーです。医療分野の課題は、新薬の紹介から、医師の転職、オンライン診療まで裾野が広く、市場規模が大きい。

 医師に薬の情報を提供するMR(医薬情報担当者)関連費用だけでも巨額に上ります。また、成功したビジネスモデルを中国やマレーシアなど海外に展開することも可能です。

 もう一つ重要なのは、難しい問題であるほど、他の企業が参入してこないことです。エムスリーの谷村さん(谷村格・代表取締役)は、その難しい課題に切り込んでいきました。同社はここ10年ほど長期保有している銘柄です。

 ――エムスリーの株価はここ10年で数十倍になっています。PER(株価収益率)も高く、成長継続中とはいえ、利益を確定したくなりませんか。

 あくまでも大事なのは、医療の課題が解決したかどうかです。コロナ禍でむしろ医療課題は増えています。課題がなくなれば、その会社は売りかもしれません。意識しているのは「永続するイシュー(課題)に飛び込む」ということです。ですから、課題の深刻さや市場規模が重要なのです。

 ――具体的に今注目されているテーマや銘柄を教えてください。

 今組み入れている銘柄では、大きなテーマでいえばDX(デジタルトランスフォーメーション)関連です。例えば、情報通信サービスのインフラ部分を支えるアンリツやGMOインターネット。半導体の製造時に必要なマスクブランクスで世界シェア1位のHOYAもそうですね。

 インフラの上で動くサービスには多様なものがありますが、骨太なものでは医療、金融、エネルギー、行政、働き方などのDX化に注目しています。ここは中長期で注目できるはずです。

 DX×医療であれば、エムスリー、メドピア、メドレーなどです。オンライン診療も今後は普及していくでしょう。

 企業経営のDX化では、クラウド名刺管理のSansan、クラウド人材管理のカオナビなどに注目しています。効率化を推進することは、働き方改革にもつながるわけです。

 キャッシュレスやSaaSも大事なテーマです。生産と流通への投資も重要です。具体的には印刷や物流でデジタル化を進めるラクスルのような企業です。コロナ禍ではマスク配布にも時間がかかりましたが、ワクチンの配布はテクノロジーの力で最適化できればいいですよね。

 ――生産性を向上するためにも、デジタル化は不可欠ということですね。

 そうですね。日本は社会課題先進国です。1人当たりGDP(国内総生産)の順位が下がり、少子高齢化が進みます。

 その意味では事業承継も大事になってきます。この分野では日本M&Aセンターですね。日本には400万社以上の中小企業がありますが、後継者不足に悩んでいる企業も多く、M&Aは重要な選択肢です。M&Aの結果として、優秀な人材の流動化が進む効果も期待できます。 

● 日本社会の縮図のインデックスよりも ゲームチェンジをする企業に投資するべきだ

 ――通常、成長企業であるほど人気化して、株価は割高になりがちです。PERなど株価指標は参考にされますか。

 PERは重要な指標ですけれども、1年間の利益に対しての数字です。確認すべきなのは、PERよりも競合です。一時的な成長鈍化や減益は気にしませんが、参入障壁が破られてライバル企業が台頭したときは売却することもあります。

 成長にブレーキをかける要因も確認します。例えば、やる気が低下した経営者が居座っている、短期成果を出すために長期の仕込みが不足しているなどです。

 また、カスタマーサクセス、日本語でいうと「お客さまが成功しているか」も重視しています。お客さまから得られる利益はサスティナブル(永続性)ではありません。だから、短期的には操作できる部分がある利益よりも、売上高や粗利を重視しています。

 IT企業で例えると、エンジニアの給料を削り過ぎないことが該当します。エンジニアに給料をたくさん払うと短期的に利益は減ります。ですが、サービスが栄えれば、最終的に利益は付いてきます。早く利益を刈り取らずに、増収の結果として利益が増えるのが理想ですね。

 ――個人投資家の中には、株価指標が割高なグロース株(成長株)を買うことをちゅうちょする人もいます。

 グロースかバリューかという議論は常にありますけど、そこにこだわる必要はありません。課題の深刻さに対して、解いた量が少なければ成長の余地はありますよね。だから、現時点では株価指標では割高に見えても、課題解決が進めば株価は割安になっていきます。後から考えれば、「あの時点の株価はバリューだったね」となるわけです。これが本来のグロース株投資ではないでしょうか。

 繰り返しますが、「課題」や「市場」が現実にあるわけで、蜃気楼を買っているわけではありません。課題を解いていけば、株価はいずれ割安になります。ただし、保有期間中は競合の出現や、組織の崩壊に気を付けます。

 ――アクティブファンドの多くは、中長期ではベンチマークであるインデックス(TOPIXや日経平均)を下回っています。指数は意識されますか。

 世界の株を買うのであれば、インデックスもいいでしょう。米国株もインデックスでいいかもしれません。ただ、今の日本を丸ごと買いたいでしょうか。日本は伸びていますか、幸せが増えている国でしょうか。もし、そうではないと思うなら、インデックスでない方がいいと思います。

 インデックスに投資するということは、あなたが文句を言っているものも含めて買うということ。日本社会の縮図に投資するのではなく、それをひっくり返す企業やゲームチェンジをする企業に投資するべきでしょう。

 ――運用成績に対するプレッシャーはありませんか。

 インデックスは意識しないようにしています。もちろん負けることもありますが、それもいいことだと思っています。何かと比較されないと、問題点が見えにくいですからね。

 ――近年、ESG(環境・社会・企業統治)投資も注目度が高いですが、銘柄選びに取り入れていますか。

 ESGは重要な考え方ですので、ひとつの切り口として位置付けています。「課題解決」を重要視しているので、このような考え方で投資をすると、結果としてESG投資になりやすいですけれど。

 ――個人投資家に銘柄選びのアドバイスをお願いします。

 まずは身の回りにある自分が課題だと思うものや、つらいことを考えてみたらどうでしょうか。親の介護、子供の受験、自分の英語力……、いろいろあると思います。例えば、英語に悩んでいるのであれば、「オンラインで外国人講師と会話できる」サービスは需要があるのかと想像してみる。欲しいサービスだった場合、次の段階として「自分のように思う人はどれぐらいいるだろうか」と市場規模を考えてみましょう。

 上場している4000銘柄からスクリーニングするのではなく、課題を解きにいく企業を探していくわけです。なぜなら、業績や株価指標などの数字から入ると、なかなか中長期でホールド(保有)するのが難しくなりますから。

 決算を見るときは、直近の数字だけでなく時系列で見るようにしましょう。あとは、今回のコロナ禍のような有事の対応も重要です。有事に強い企業をレジリエントな企業と言いますが、そういった企業を探せばいいのではないでしょうか。

 Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic:Daddy's Home

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最終更新:2/23(火) 6:01

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