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通信か、半導体か。注目のエッジコンピューティング

2/21 12:38 配信

The Motley Fool

今後も高い成長力を持つと予測されるエッジコンピューティング市場ですが、1口に「エッジコンピューティング」と言っても用途により種類があるのはご存知でしょうか。

関連銘柄に投資の際にはこの違いを理解しておく必要があります。
エッジコンピューティングの市場成長
まずはエッジコンピューティング市場の成長率に触れていきましょう。

エッジコンピューティング市場は今後も成長を続け、2025年には150億ドルを超える市場規模を持ち、平均年成長率では30%を超えると予測されています。

高い成長率を誇る背景として、1つは5Gの実用化やIoT機器の普及、Webサービスやコンテンツの多様化、リモート環境の利用率向上に伴う通信量の増加が挙げられます。

もう1つは、スマートデバイスやAI搭載デバイスの普及により、エッジデバイスそのものも進化を続けており、大量のデータを扱いながら遅延のない処理を行う重要性が高まっていることが挙げられます。
エッジコンピューティングの種類
そもそもエッジコンピューティングの「エッジ」とは「末端」のことであり、我々が直接扱うエッジデバイス(IoT機器)の事を指します。

例えばスマートフォン、パソコン、スマートスピーカー、自動車などです。

クラウド、あるいはコアと言ったデータセンター(集中型の設備)側で行うクラウドコンピューティングやコアコンピューティングの対比として、エッジ(端末)側で処理を行う事をエッジコンピューティングと表現しています。

そして、この「エッジ側」とは、データソースとの距離やレイテンシにより「ニアエッジ」「ファーエッジ」「デバイスエッジ」に分けられます。(デバイスエッジのみ正式な呼称が見つからないため、便宜上このように表現しています。定義は後述します。)

ニアエッジデータソースからおよそ5km~20km程度、レイテンシでは10~25ミリ秒程度となり、Akamai(NASDAQ:AKAM)やFastly(NYSE:FSLY)、CloudFlare(NYSE:NET)と言ったCDN企業のエッジコンピューティングサービスはここに分類されるでしょう。

ファーエッジはニアエッジより距離が近くデータソースからおよそ0.5~5km程度、レイテンシでは2~20ミリ秒程度となり、AT&T(NYSE:T)やVerizon(NYSE:VZ)と言った通信企業のエッジコンピューティングサービスはここに分類されます。

関連記事: 【米国株】AT&Tが力を入れるエッジとは?

デバイスエッジはデバイスそのもの、あるいはデバイスの至近距離で処理を行います。データソースからの距離は数百メートル以内であり、レイテンシにして2ミリ秒程度です。

これはネットワークサービスと言うよりもデバイスそのものに小型且つ高性能なコンピューティング能力を持たせるため、半導体の領域となります。GPUではNVIDIA(NASDAQ:NVDA)やAMD(NASDAQ:AMD)、FPGAではXilinx(NASDAQ:XLNX)やLattice Semiconductor(NASDAQ:LCSS)などが関連します。

日本ではローカル5G、プライベート5Gなどとセットで、エッジコンピューティングを担うサーバーなどのハードウェアをエッジデバイスのすぐ近くに配置することにより、低レイテンシの処理が可能となりそうです(プライベート5Gは2022年に日本のソフトバンク株式会社から提供されるサービスのため、プライベート5G+エッジコンピューティングの実例はまだありません)。
エッジコンピューティングへの投資
それぞれのエッジコンピューティングについて代表的な銘柄を前述しましたが、エッジコンピューティングの目的は「エッジデバイスにおける処理の高速化」です。

これはエッジコンピューティング市場成長の背景に挙げた通り、通信、コンテンツ、サービス、デバイスの進化に伴い需要が増加する「データ通信や処理」を補うために利用されるものであり、エッジコンピューティング自体はそれほど革新的なものではありません(内部の技術自体は日々進歩しているとは思いますが)。

極論を言えば、ネットワーク通信におけるレイテンシがエッジコンピューティングを利用せずとも、エッジデバイス側の要求を軽々満たすのであれば必要なくなるかもしれません。

あるいはエッジデバイスの処理能力が凄まじいものになり、クラウドやコアからネットワークを経由して送られるデータ量が小さくて済むのであれば必要なくなるかもしれません。

もっとも、これらは現時点ではどちらも困難です。

ネットワーク通信が進化しても、デバイス側の処理能力が進化しても、それ以上にサービスやコンテンツで扱うデータ量も増加してしまえば、この先もエッジコンピューティングの需要は簡単にはなくならないでしょう。

ただしエッジコンピューティングはそれ自体が目的ではなく、高速化の手段として用いられる繋ぎの技術である点には注意が必要です。

これを踏まえると、「データ通信や処理の高速化」のために必要なエッジコンピューティング市場のパイは先に挙げた「ニアエッジ」「ファーエッジ」「デバイスエッジ」のどこが大きな割合を占めていくか、と言う思考に至ります。

高速化だけを目的とすれば、デバイスエッジが最も適しています。

例えば、自動運転のように処理遅延が許されない、またはネットワークと途切れると機能しなくなるようなものはニアエッジやファーエッジを活用するわけにはいきません。

しかし道路状況や地形データなど、継続的に取得する必要があるもの、データ量が大きいものはネットワークを経由してデータのやり取りを行うため、デバイスエッジでは要件を満たせないでしょう。

また、コンピューティングは一般的にエッジ側に分散させればさせるほど、設備投資コストがかかります。

デバイスエッジにおいてはデバイス自体に高性能な半導体を組み込むことになるため、価格も高くなりますし、消費電力や物理的な大きさ、重量も増加してしまいます。

過度な分散はクラウドの普及に伴う「集中化」とは逆行するものであり、コスト面を考えるとニアエッジが有利となります。

用途やコストにより選択されるエッジコンピューティングの種類が異なるため、関連銘柄に投資する際には単に「エッジコンピューティングの市場が伸びそうだから」ではなく、例えば「今後はドローンの活用が進むと考えているが、ドローンは小型化・軽量化・省電力化が必要であり、既存のデバイスエッジでは限界がある。そのためファーエッジ技術が活用されると考え、通信企業の投資をするが、FPGAの進化により、従来よりも小型化・軽量化・省電力化可能となり、ネットワーク通信を介さなくても十分な処理が可能となればFPGA関連企業に投資をする」と言ったシナリオが必要になるでしょう。
まとめ
筆者は以前までエッジコンピューティング=ファーエッジ(通信企業)と考えていましたが、より多様なものがありました。

クラウドによりコンピューティングが集中型になり、AIのように処理の仕組みを革新的にするものが普及し、5Gによりデータ通信が高速化し、SaaSの多様化によりデータ通信量が増加し、動画コンテンツの普及やVR/ARのような視覚表現の進化により、コンテンツのデータ通信量はさらに増加し、IoT化によりデバイスがデータ通信を行い、更にデバイスそのものが進化することで自動車、農機、スマート家電、ロボット、ドローンなども高速な処理を必要とするようになり、これらの革新的な技術を繋ぎ支える目的でエッジコンピューティングの必要性が高まりました。

いずれもどれか1つを押さえるだけでは不十分であり、それぞれが複雑に絡み合い相互に需要を高め、進化を促し革新を起こしていきます。

これからも拡大していく技術の進化に後れを取らないようにしたいですね。

関連記事:今注目のデジタルトランスフォーメーション(DX)。投資家が見るべき3つのポイント

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最終更新:2/21(日) 12:38

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