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百貨店の「バレンタイン商戦」コロナに克つ秘策

1/28 9:01 配信

東洋経済オンライン

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、首都圏をはじめ11都府県を対象として、2月8日までを目安に緊急事態宣言が出されている。このタイミングで直撃するのは、バレンタインデーだ。

 2020年の日本のバレンタインデーの推計市場規模は約1310億円にのぼり(日本記念日協会による)、今やバレンタインは国民的なチョコレートシーズン。前例のない緊急事態宣言下のバレンタイン、今年はどうなるのか。都内の百貨店に経緯や状況を聞いた。

■不透明なことだらけだった

 1月半ばから2月にかけ、全国の百貨店が開催するバレンタイン催事は注目度が高く、年々動員数と売り上げを伸ばしてきた。しかし、昨年は新型コロナウイルス感染拡大による政府の緊急事態宣言を受け、4月8日から首都圏の百貨店は、約1カ月の臨時休業となった。そもそも、次のバレンタイン催事は開催できるのか――。そんな先が見えない不安を抱え、都内の百貨店、チョコレート関係者は準備を進めてきた。

 「とにかく不透明なことだらけでした」。2月3日から始まる松屋銀座「GINZAバレンタインワールド」のバイヤー・牧野賢太郎さんは明かす。夏には日本から撤退する海外ブランドが現れ、従業員の安全確保のため出店を控えたいというブランドの声も。バレンタイン催事を行うべきかを議論した時期もあったという。

 1月20日から順次、全国14店舗の高島屋で開催されるチョコレートの祭典「アムール・デュ・ショコラ」のバイヤー・古川泰照さんもこう振り返る。「いつまた百貨店閉鎖があるかわからないなか、チョコレートの発注数がなかなか決められず、毎年前年の売り上げをベースに次期目標を立てますが、今年は前年の実績が参考になりませんでした」。

 1月21日から伊勢丹新宿店で始まった、三越伊勢丹が開催するチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」は、海外の人気ショコラティエによる新作や、日本初上陸ブランドが目玉商品となる。担当バイヤーの真野重雄さんは「海外出張がかなわないため、サンプルを取り寄せては海外のショコラティエとZoom会議を繰り返し、何度も意見交換しました。商品の精度向上には例年以上に苦心しています」と話す。

 今年の会場は、徹底した感染予防対策がとられる。営業時間を予定より30分から1時間短縮し、入店時は手指消毒の推奨、サーモグラフィーなどで検温を行う。

 「密回避」のため、松屋銀座は例年の1.5倍の通路を作り、1回の接客時間を制限。高島屋も通路幅を広げて、行列対策の導線を考慮、「試食用チョコレートには必ずふたをつけ、無作為に配らず、希望があれば1人ひとりお渡しします」(高島屋)。チョコの試食はぜひしたいものだが、確かに味わうときはマスクを外す。「お客さまを守ると同時に、販売員の方々も守らなくてはならない」と慎重だ。

 「時差来場」を促すのは、1月16日から始まった池袋西武の「チョコレートパラダイス2021」。混雑が予想される時間をグラフで示し、少人数での来場を呼びかけている。

■オンライン販売が絶好調

 外出控えの傾向から、オンライン販売は好調だ。松屋銀座は、今年初めてバレンタインチョコレートのオンライン販売に踏み切った。80ブランドの商品をそろえたところ「想定を上回る滑り出しで、すでに予想の3倍売れた商品もあります」。三越伊勢丹の「サロン・デュ・ショコラ」のオンライン売り上げは前年比約2倍、 西武池袋本店のECサイトも、12月1日からチョコレートの受注を始め、1月15日時点において前年比約2倍増で推移している。

 高島屋のバレンタインサイトには、初日から予想を上回る注文が入り、1月半ばで売り上げは想定の3倍になった。「アイテム数は増やさず、中身を見直し、売れ筋をしっかりそろえました。タカシマヤオンラインの利用者は、登録の必要がなくチョコレートを簡単に購入できる。継続的に強化してきたオンラインがバレンタインで花開いた感があります」。今年の売り上げ予算は、オンラインを含めて前年並みを見込む。

 オンラインショップのみならず、買い物代行サービスも提案されている。西武池袋本店は、プロのドライバーによる「PickGo 買い物」を導入。スマートフォンにアプリをダウンロードしてチョコを注文すると、最短30分で指定の場所に届く。バレンタイン商品以外にも、オードブルや惣菜・パン・お酒なども一緒に注文できるという。

 ほかにも、来日できない海外の有名ショコラティエとファンをつなぐライブ配信をはじめ、デジタルデバイスやアプリを利用した新サービスに、各社がチャレンジする。オンライン上のコンテンツは、ネットショップとのアクセスがよい。購買方法やコミュニケーション方法の進化が加速し、新しい時代のバレンタインが垣間見える。

 ただ、オンラインは便利とはいえ、やはり会場ならではのよさはある。会場に足を運べば、一度にざっと数百商品を見渡せ、短時間であらゆるチョコレートを俯瞰しつつ好みのものを探せる。友達と話しあったり、接客してくれる人がいたりする楽しさもリアル店の強みだ。「パッケージを手に取ってみたい」「オンラインは長く画面を集中して見るので目が疲れる」という声もある。

■コロナ禍ならではのチョコ

 商品に目を向けると、コロナ禍を意識したチョコレートがユニークだ。松屋銀座は「おうちで楽しむバレンタイン DIYチョコ」と銘打ち、カカオ豆からチョコレートを作れるキットや、ブラウニー作りキットを販売。高島屋は、在宅勤務による運動不足や「コロナ太り」を気にする人へと、糖質やカロリーを抑えたチョコレートケーキなどを充実させた。

 今年は、来場客、関係者、販売スタッフ、従業員など関わる人全員の健康と安全確保のために、主催側があらゆる対策をとって、バレンタイン催事が行われる。

 仮に今年、バレンタイン催事が中止となったらどんな問題が起きただろう。「チョコレートを廃棄せざるをえなくなったかもしれない」(松屋銀座)、「オンライン販売はあるとはいえ、実店舗と同じ効果は期待できない。私たちも取引先も在庫を抱え、大きなダメージになります。普段流通する量と比較にならないくらい、バレンタインにはチョコレートが日本にきますから」(高島屋)。

 バレンタインは人と人とのつながりを深め、1年に一度、とびきりおいしい「自分チョコ」に出会うシーズン。日本ならではのスタイルだ。2021年はそれぞれの立場で感染予防をしながら、多くの人が自分好みの、新しいバレンタインの楽しみ方を見つける年になるだろう。

東洋経済オンライン

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最終更新:2/2(火) 10:43

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