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学生退去で損失350万、学生物件大家に困惑の声も《楽待新聞》

1/26 19:00 配信

不動産投資の楽待

新型コロナウイルスによる影響は大学生にまで及び、深刻な問題を引き起こしつつある。緊急事態宣言でアルバイトができず、経済的負担が増している学生も増えてきているようだ。オンライン授業の普及により、「一人暮らしの必要がなくなった」という学生も少なくない。

そこで今回は、コロナウイルスの影響による大学生の退去状況について取材した。学生をターゲットに不動産投資をしている投資家と、コロナをきっかけに実家に戻った学生に現状を聞いた。

■学生の一斉退去で「年間損失250万円」も

神奈川県のとある大学近くで不動産投資を行うHさん。学生物件を中心にアパート8棟全68室を運営している。Hさんの物件はコロナの影響により、68部屋中7部屋(全体の約10%)が空室となってしまった。途中、数部屋は入居が決まったものの「この1年間は、前年に比べて家賃収入が250万円ほど減少しました」と話す。

学生の退去理由はさまざまだ。退去した7人の学生のうち2人は大学1年生で、「オンライン授業のため一人暮らしをする必要がなくなった」と退去した。

また別の2人の学生は、「通学に時間はかかるが、自宅から通うほうが安上がり」という理由で8月と9月に退去となった。残りの3人はコロナの影響かは定かではないが、大学を退学することとなり退去となった。

Hさんによれば「2回目の緊急事態宣言の影響で、部屋探しにくる学生の数は例年の半分にまで減少している」という。一般入試の合格発表が集中する2月以降、緊急事態宣言が解除されて入居希望者が多く来ることを見越し、仲介業者と打ち合わせを進めているという。

現在はポータルサイトに掲載する情報を充実させ、Hさん自身も内覧案内を行い「マンパワーでどうにか空室を埋めたい」と意気込みを語る。

■家賃収入減少でローンが支払えず

兵庫県で大家業を行うAさんも、コロナウイルスの影響による学生退去に頭を悩ませている様子だった。昨年3月から退去が増え、17部屋中7部屋が空室。空室率は約40%にも及び、「年間家賃収入は350万円減少した」と話す。その後も入退去の繰り返しで、現在も状況は好転していないという。

家賃収入が減少したため、ローン返済が厳しくなり、金融機関には元本支払いをストップしてもらうよう交渉した。現在は金利のみ支払いを続けているという。

大学生協や管理会社など多方面に相談に行くも、打開する一手はまだ見つかっていないという。「このエリアは駅から距離があるため、学生以外の入居付けは難しい」とAさんは話す。また、管理会社と相談し、仲介業者への謝礼や入居者へのプレゼントなどを検討するも、入居にはつながっていない。売却も検討したが、空室率が高く、希望額の4割程度でなければ売却できないため断念したという。2月の入試合格発表以降、問合せが増えることを期待して、準備を進めているという。

■学生以外へのターゲット変更も視野に

鹿児島県で不動産投資を行うKさんも、1年前に比べて入居が付かず苦戦している。例年は卒業生が毎年3~4部屋退去し、同人数の新入生が入居することで満室になっていた。しかし2020年は卒業生が4部屋退去後、1部屋しか入居がなかった。その影響で昨年の家賃収入は25%ほど減少してしまったという。

「近隣の不動産会社から聞いた話では、周囲の市町村から一人暮らしのためにやってくる学生が例年に比べて減少しているようだ」と話すKさん。大学から少し距離がある物件の客付けはかなり苦戦しているようだ。

Kさんはオンラインでの授業が主流になっていくことは避けられないと考え、ターゲットを一般の方に変更することも視野に入れているという。ただ、「対象を社会人に変更した場合、クルマ社会のエリアでは駐車場が必須。今の物件には駐車場がない」と話し、駐車場の確保に費用を使うべきか慎重に検討している様子だった。

■退去理由は「経済的負担の軽減」

コロナウイルスの影響で実家に戻る選択をした学生に話を聞くと、経済的にやむを得ない事情を抱えていることが分かった。

コロナウイルスの影響で、一人暮らしを辞め実家に戻った現役大学生3人に話を聞いた。3人が共通して退去理由に挙げたのは、「経済的負担を軽減するため」だった。

千葉県にある大学に通うある学生は、返済義務のある奨学金を借りて大学に通っているという。「家賃5万円のアパートを借りていて、実家に戻ることで年間60万円の支出削減になった」と話した。文部科学省によれば、国立大学の年間授業料は約60万円。国立大学に通う学生であれば、実家に戻ることで十分な補填になる。

また、話を聞いた3人のうち2人が退去を決めたタイミングは、昨年の夏休みだった。昨年前期(2020年4~9月)は、今後の状況を見て判断しようと考えていたが、「夏休み以降も継続してオンライン授業を実施すると大学が発表したため、実家に戻ることを決めた」という。

例えば早稲田大学は2021年度以降、対面授業が7割となることを目標に準備を進めると明言しており、大学によって対応が今後異なる可能性がある。ハイブリッド型授業(同じ内容の授業を対面とオンラインで同時に行い、学生は自由に選択できる)も感染拡大を機に拡大してきており、近隣大学の今後の方針に注視したい。

■学生の負担を減らすための対策を

学生向けマンションを専門に扱う賃貸仲介会社「UniLife」の担当者にも、最近の学生の部屋探し事情について聞いた。

「昨年の夏ごろ、夏休み以降もオンライン授業を継続すると決めた大学が多くありました。その時期を堺に、大学生の退去数は増えている印象がある」という。特に1、2年生が中心で、地方よりも都心のほうが退去率は高いようだ。

同社ではこのような事態に対して、推薦などで既に合格している学生に対しては、「契約をした物件の家賃発生を遅らせる対策をしている」という。少しでも学生の経済的負担を軽減できるように、家賃の発生を入学直前の3月まで引き伸ばしているようだ。

また、感染対策を考慮して、オンラインでの相談や内覧、契約手続きなどを実施している。しかし今後の対策は大学の方針によるところが大きいため、まだ明確に定まっていないと述べた。



今後、更にコロナウイルスの影響が長引くことで、大学を退学、休学する学生が増える恐れがある。またオンライン授業の拡大に伴い、大学の近くに住む学生は減っていくことも考えなければならない。

学生をターゲットにした物件を持っているオーナーは、手遅れになる前に不動産会社に相談し、売却の検討やリフォームによる空室改善などを検討してほしい。現状を打開できる手段がないか、問題を解決できた投資家の事例があれば、今後も共有していきたい。

不動産投資の楽待

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最終更新:1/26(火) 19:00

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