IDでもっと便利に新規取得

ログイン

「仕事ができる人」ほど部下を育てるのが下手という残念な事実

1/25 17:31 配信

東洋経済オンライン

人事コンサルタントとして、1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、300社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般に携わってきた西尾太氏による連載。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

■マネジャーに求められているのは「人を育てること」

 あなたは、人を育てることが得意ですか? 

 マネジャーなら、または今後マネジャーを目指すなら、人材育成は必ず求められるスキルです。その上手・下手によって評価が決まり、今後のキャリアにも大きく影響してきます。今回は、人材育成の大事なポイントについてお伝えします。

 マネジャーに求められるものは、大きく分けて2つあります。ひとつは、チームのPDCAを回す「タスクマネジメント」。もうひとつは、人を育てる「ヒューマンマネジメント」です。

 マネジャーとは、小単位の組織を率いる、あるいは自己の専門性を活かしながら、周囲を巻き込むレイヤー(階層)です。

 否応なく「自分ひとり」では済まされません。周囲への影響力を発揮しながら、成果に責任を持てるレベルであらゆる判断ができなければ、任せてもらえません。

 昨今、とくに求められているのは、ヒューマンマネジメントのスキルです。少子化による採用難、リモートワークによるコミュニケーションのあり方の変化などによって「1 on 1」の導入が推奨されるなど、先進的な企業ほど人材育成に力を入れています。

 若手が辞めないよう積極的に寄り添い、悩みを聞き、コミュニーケーションを深め、能力を最大限に引き出す。

 マネジャーには、今こうした行動が強く求められています。「そんなことをしている時間はない」と口にする管理職も少なくありませんが、それではマネジャー失格です。人事の立場からすると、そういう人は管理職から外れてもらうしかありません。

 とはいえ、人材育成は非常に難しいスキルであるのも事実です。そして「仕事ができる人」ほど、実は苦手な傾向があります。

■育成上手と育成下手を分けるのは「人への関心度合い」

 人事評価を決める評価会議などに立ち会っていると、育成上手な人と育成下手な人は、見ていてはっきりわかります。

 その違いとは、「人への関心度合い」の高さです。

 育成上手な人ほど、部下の評価に悩んでいます。「なんであいつはこんなことをするんだろう?」「なんでこんなことを言うんだろう?」「どう伝えたらいいんだろう?」と、1人ひとりについて考え、その理由を分析し、悩み、そしてフィードバックの内容を考えたうえで、本人に伝えています。

 一方、育成下手な人は、そもそも部下に関心がありません。極端な例としては、部下の人事評価がすべて同じ「A」だったりします。「可もなく不可もなく!」という評価です。これ、実は最悪です。

 どう考えても、チーム全員が同じ評価なんてことはありえません。しかし、ある部下を本当は「B」と評価していても、その理由を考え本人に伝えるのは面倒なので「それなら全員Aでいい」と、いい加減な評価をつけてしまったりするのです。

 それでは、部下は自分の改善点に気づくことができず、成長できません。

 まずは、部下に興味関心を持つ。そして、3~4年先までのキャリアビジョンやライフビジョンを一緒に考えて、どう実現するのか話し合い、能力を伸ばす方法を考える。

 人事評価も適切に行い、伸ばすべき点と改善すべき点を明らかにし、1人ひとりに対して、丁寧にフィードバックする。

 マネジャーに必要なのは、こうした行動です。とくに大切なのは、「部下が目指すもの」を明らかにすること。

 目指していないことに対して、あれこれ言っても部下の頭には入りません。そして、当然ながら部下も能力を伸ばそうとは思いません。

 「3年後、5年後には、こうなっていようぜ!」という目標を上司と部下で共有し、本人がわからない場合は、一緒に考える。

 その目標に向かって「ここはできてるね」「ここは足りないね」とアドバイスを続けていく。これが人材育成の基本です。

 ただ、こうしたプロセスをきちんと踏んで、人を育てていくのは、簡単なことではありません。手間も時間もかかります。

 だからこそ、人への関心度合いが重要になってくるのです。

■要注意!  仕事ができる人ほど、育成下手になりがち

 仕事ができる人が、人材育成も得意かというと、実はそんなことはなく、むしろ苦手な人が多く見られます。

 仕事ができる人は、できないことが信じられません。できない人の気持ちもわからないため、「なんでできないの?」などと言いがちです。

 しかし、これは人材育成におけるNGワード。できる方法を一緒に考えるのが、マネジャーの仕事です。

 また、教えるよりも、自分でやったほうが手っ取り早いため、部下がやるべき仕事を奪ってしまい、成長の機会損失をさせてしまうケースも少なくありません。

 マネジャーに昇格するのは、エースで4番が多いため、こうした矛盾が生じやすいのです。

 日本では、ほとんどの管理職がプレイングマネジャーです。自分の成績も上げながら、部下も育てるというのは無茶な注文ではありますが、マネジャーである以上、育成上手も目指さなくてはなりません。

 自分ができることを、どう分解し、どう論理立てて教えられるようになれるかが、プレイヤーからマネジャーになるときの大きな壁になります。

 まずは、部下に興味関心を持つこと。そして、ティーチングとコーチングを使い分けることを意識していきましょう。

■ティーチングとコーチングをうまく使い分けよう

 「ティーチング」とは、答えを教えてやってみさせること。「コーチング」とは、相手から答えを引き出すことです。

 部下を育てるためには「こうやるんだよ」と答えを教えることも大切ですが、「どうしたらいいと思う?」と自分で考えさせることも重要です。

 人材育成が苦手な人は、ティーチングはできても、コーチングができなかったりします。とくに仕事ができる人ほど、部下に自分で考えさせることが不得意だったりします。

 自分にとってはわかりきった答えでも、そこを我慢して、「どうしたらいいと思う?」と考えさせる。

 部下が間違ったことを言ったときでも、「こうやってやればいいじゃん」とすぐに正解を教えない。

 「もっといい方法があるんじゃないかな?」

 「そもそも、この目的って何だっけ?」

 そんなふうに声をかけながら、最低限の軌道修正だけをして、本人に考えさせていくことが大切です。

 ティーチングもコーチングも、多くの専門書が出ています。マネジャーは、答えの教え方も、引き出し方のスキルも必要です。こうした勉強は、一度きちんとしておいたほうがいいでしょう。

 そのうえで、仕事ができる「かっこいい姿」を見せましょう。上司が「ああなりたい」と思える人でなかったら、部下は成長する気になれません。

 いつもツラそうで、しかめっ面をして、グチを言っているだけの管理職だったら、コーチングをしても、うっとうしいだけです。

 余裕がなくても、余裕があるように見せる。どんなに忙しくも、部下の話を聞く時間をちゃんとつくる。

 楽しそうに、かっこよく仕事をしている姿を見せるだけでも、部下の育成につながります。

 ただし「背中を見て育て」だけでは通用しないのが、今の世の中です。ティーチングとコーチングも使い分け、育成上手を目指しましょう。それが、自身の成長や評価にもつながります。

アルファポリスビジネスの関連記事
今後のビジネスで「T型人材」が生き残る理由リモート時代に求められるコミュニケーションスキルとは? 人事がこっそり教えるリモート時代の「社内人脈」のつくり方

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:1/25(月) 17:31

東洋経済オンライン

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング