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「米を冷まして食べる」のが病気を遠ざける根拠

1/23 17:01 配信

東洋経済オンライン

リモートワークも徐々に定着し自宅にいる時間が長くなったぶん、自炊することが増えたという人は多いのではないでしょうか。せっかくなら自炊の機会を賢く利用しつつ、ムリなく、ムダなく、食生活で体重も体調もセルフコントロールしたいものです。
そこで味方にしたいのが主食となる「炭水化物」、食材なら「お米」です。栄養学・食品化学が専門の笠岡誠一教授の著書『腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。』には、健康につながるお米の食べ方が書かれています。本書を参考にしながら、「食の常識」をアップデートしていきましょう。

■お米には食物繊維がたっぷり含まれている

 「炭水化物=糖質」と認識されている人が多いかと思いますが、炭水化物の中には糖質のほかにも「食物繊維」が含まれています。食物繊維は、野菜だけでなく、穀類やイモ類、豆類にも豊富に含まれます。

 現代人は食物繊維の摂取量が足りていません。そして、日本人が最も多く食物繊維を摂っている食材が「お米」です。健康のために頑張って野菜を食べている人は多いと思いますが、効率的に食物繊維を摂るには意外にも、お米などの炭水化物をたっぷり食べることが必要なのです。一方で糖質制限をすると食物繊維が不足し、便秘になってしまうこともあります。

 お米には、でんぷんや食物繊維のほか、タンパク質まで含まれています。しかも、お米のタンパク質には健康維持に欠かせない必須アミノ酸がすべて入っています。さらに、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含まれており、お米は大変優れた栄養食と言えるでしょう。さらに炭水化物には普通の食物繊維とは異なる、ハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」まで含まれています。

 炭水化物の糖質(でんぷん)の中には、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)という成分があります。レジスタントスターチは糖質ではありますが、「消化しにくい」(レジスタント)「でんぷん」(スターチ)という名前のとおり、食物繊維と同じような、いや、それ以上の働きをします。

 食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、腸内環境を良好にするには両方を摂取することが大切です。腸の善玉菌の栄養になったりする水溶性食物繊維、そして、腸にたまった有害物質を回収したりする不溶性食物繊維、両者とも腸内環境を整えるうえで欠かせない働きをします。

 レジスタントスターチは、それら水溶性と不溶性、両方の食物繊維の機能を兼ね備えているのです。だから、腸内環境を非常に効率的に整えていくことができます。さらに、普通の食物繊維は直腸を素通りしてしまうのですが、レジスタントスターチは直腸にもしっかりアプローチして、体によい善玉菌を届けることができます。

 このようにレジスタントスターチは、食物繊維よりも効率的に、腸全体をくまなく掃除しながら腸内細菌に栄養を与えることができるのです。これが「ハイパー食物繊維」と呼ばれるゆえんです。

■研究でわかったレジスタントスターチの不思議な特徴

 レジスタントスターチの存在が発見されたのは、1980年代のことでした。毎日食べていたにもかかわらず、このときまで、その存在に誰も気づかずにいました。そして現在、研究技術の進歩により、レジスタントスターチには腸内環境を良好にする大切な役割があることがわかってきました。

 レジスタントスターチには、不思議な特徴があります。それは、「冷ますと増える」ということ。加熱後のでんぷんを冷ますと、伸びてしまったブドウ糖のひもが再び絡み合って、たくさんの結び目ができます。こうなると消化酵素でもブドウ糖のひもが解けなくなり、消化されにくくなるのです。

 例えば、炊きたてのご飯に比べて、冷ましたご飯には約1.6倍の量のレジスタントスターチが含まれています。つまり、ご飯を冷ますとレジスタントスターチの量が増えるということです。

 レジスタントスターチの測定法が確立されたのは最近であるため、昔の人がどれだけ摂取していたのかはわかりません。ただ現在より保温技術が整っていなかった頃は、「冷たいご飯」を今よりたくさん食べていたことは間違いないでしょう。ということは、昔の日本人は意識しなくてもたくさんのレジスタントスターチを摂取していたと考えられます。

 さて、実際に毎日の食事で、どのようにレジスタントスターチを増やしていけばよいのでしょうか。日本人の食物繊維の摂取目標量は、1日当たり男性21グラム、女性18グラムです(「食事摂取基準」2020年版による)。しかし、実際の摂取量は平均およそ14グラムなので、男性ならば約7グラム、女性ならば約4グラムの食物繊維を意識的に補う必要があります。

 いろいろな種類のでんぷんを調理した直後のレジスタントスターチ量は、平均するとでんぷん全体の約3%で、それらを冷ますと約12%までアップするという報告があります。計算すると、3食すべて温かいご飯を食べていた人が、すべて冷ましたご飯に変えた場合、増やせるレジスタントスターチの量は、およそ9グラム。ご飯を冷ましただけで、食物繊維の摂取目標量をクリアできることになります。

■レジスタントスターチの上手な摂り方

 突然、毎食のご飯を冷まして食べるのには抵抗があるでしょうし、そこまでしなくても、ちょっと工夫をすれば摂取目標を達成できます。まずは、1日1食、実践してみましょう。

 おすすめは、毎日の昼食をレジスタントスターチメニューに変えてみることです。昼食にレジスタントスターチを食べると血糖値が急激に上がらないため、午後にだるさや眠気を感じにくくなります。また昼食にレジスタントスターチを摂っておくと、夕食のときにレジスタントスターチを摂らなくても夕食後に血糖値が上がりにくく、肥満の予防にもつながると考えられます。

 朝にお弁当を作っておけば、お昼までにはお米が冷めてレジスタントスターチの量が増えているので、特別な手間もかかりません。また昼食なら、うどんやそば、パスタなどの冷製メニューも取り入れやすいかと思います。ちなみに炊きたてのご飯ならば、常温で1時間冷ますのが、最も効率的にレジスタントスターチを増やせます。

 お昼ご飯にレジスタントスターチメニューを取り入れた際に実感される効果は人によってそれぞれですが、だるさや眠気がとれる、血糖値の上昇抑制やインスリンの分泌抑制などが考えられます。そして、早ければ1~2日で、便の量が増えて排便がスムーズになったと感じる人もいるでしょう。

 効果が感じられたらいつもの炭水化物を冷まして、こつこつ摂取量を増やすといいでしょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/23(土) 17:01

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