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「逆流性食道炎」の少しの誤解と症状別の対処法

1/22 15:31 配信

東洋経済オンライン

コロナ禍の自粛生活で、体重が増えた人、お酒の量が増えた人は多いと思いますが、そのなかに「最近、胸やけがひどい」「胃が痛くなることが多くなった」と感じている人はいませんか。よくある症状なので放置しておきがちですが、もしかしたら知らないうちに、逆流性食道炎になっているかもしれません。実は昨今、若い人にもこの病気が増えているようです。
そこで、逆流性食道炎の手術を多数手がけてきた関洋介先生の著書『胸やけ、ムカムカ、吐き気、胃痛、げっぷ……それ全部、逆流性食道炎です。』(アスコム刊)より、症状別の対処法など、知っておきたい「逆流性食道炎」の情報をお伝えします。

■逆流性食道炎とは、どのような病気か

 テレビ番組などのおかげで「逆流性食道炎」という病名は、よく知られるようになりました。実際、私のクリニックに来る患者さんの大半が「私は逆流性食道炎でしょうか?」「逆流性食道炎がひどいのですが」などと最初に言います。

 しかし、少し誤解があります。「逆流性食道炎」は、胸やけ、胃もたれなど胃液の逆流によって起きる病気の「一部」だということです。「逆流」というインパクトのある言葉がマスコミ受けするために、この病名ばかりが有名になってしまいました。まず読者の方には、病名を表す用語を正しく理解していただきたいと思います。

 胃液など胃内容物の逆流によって起こるわずらわしい症状のすべてが逆流性食道炎ではありません。このような症状を起こす病気を総称して「胃食道逆流症(GERD=ガード)」といいます。そのうち、食道粘膜が炎症を起こして「びらん」や「潰瘍」があるものを「逆流性食道炎」(食道に炎症が起きている状態)と呼び、「びらん」や「潰瘍」のないものは「非びらん性胃食道逆流症(NERD=ナード)」と呼んで区別しています。

 逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症の患者さんの割合は、大体4対6です。つまり、「私は逆流性食道炎では?」と言ってくる患者さんの半分以上は逆流性食道炎ではなく、非びらん性胃食道逆流症ということになります。ですがここでは理解してもらいやすくするため、あえてどちらも「逆流性食道炎」と呼ぶことにします。

 胃と食道の間には、下部食道括約筋というゲートがあります。ふだんこのゲートはかたく閉じていて、強酸性の胃液が食道まで上がってこないようになっています。そして、食べ物が食道を下りていったときだけ、その刺激でゲートが開きます。また、食道は蠕動運動によって食べ物を胃に送り出しますが、何かの理由で胃の内容物が食道に逆流してくると、それを胃に送り戻す働きもしています。

 逆流性食道炎とは、下部食道括約筋が緩んで、胃液や胃の内容物が頻繁に食道に逆流するようになることで起きます。これを「一過性下部食道括約筋弛緩」といいます。食道の蠕動運動が弱っていると、それを助長します。また胃酸過多になっていると、逆流による刺激が強まります。

 病気そのものの定義は、「胃内容物の、食道内への逆流によって起こるわずらわしい症状、あるいは合併症があるもの」となっています。ここでいう合併症とは、たとえば食道粘膜の炎症で、それが起きていると逆流性食道炎という病名がつきます。病気発生の原因は、生活習慣、食生活、肥満、加齢、遺伝、メンタル面などです。

■炎症が続くと食道がんのリスクに

 炎症がごく軽い場合は、薬を使わずに生活習慣の改善で治療することがほとんどです。とはいえ気になる症状があれば、少なくとも一度は病院に行き医師に相談することをお勧めします。食道に炎症があっても、明らかな自覚症状のない人が一定数いるからです。

 逆流性食道炎かどうかは胃カメラの検査ですぐに診断できます。食道粘膜に炎症が認められれば、この病気です。食道に炎症があるということは、たびたび逆流が起きていて、胃内容物が食道粘膜を侵しているということです。ただし患者さんが全員、胸やけなどの症状で苦しんでいるということではありません。

 検査や通院は大変だし症状も耐えられないほどではないからといって、放置しておくのはお勧めできません。炎症が続いた結果、食道粘膜が変化して胃の粘膜と同じような構造になる「バレット食道」という状態に進むことがあります。このバレット食道は、食道がんのリスクになってしまいます。

 食事をしたあとに胸やけがする、酸っぱいものがこみ上げてくるといった不快感は、胃から胃液が逆流して食道に上がってくるために起こります。それが「食べすぎたときだけ起きる」とか、「お酒を飲みすぎたときだけ起きる」のであれば、すぐに病院に行かなくても、対処できるかもしれません。

 市販の胃薬で胃酸の分泌を抑えたり、水などを飲んで胃液を薄めたりする方法がよく知られています。「牛乳を飲むと楽になる」とおっしゃる患者さんもいます。同時に、ベルトや帯をゆるめて腹圧を上げないようにすることで、症状をある程度抑えられます。また、胃の中に食べ物が入っている状態で横になるのは避けましょう。食後少なくとも2時間は横にならない生活習慣をつけましょう。

 炭酸飲料を飲むのは逆効果です。ビールやコーラ、炭酸水などは胃で発泡して胃の圧力を上げるので、胃液の逆流を助長してしまいます。「すっきりするから」と飲みたがる人がいますが、注意しましょう。

■体の左側を下にして寝ると効果あり

 朝起きたときの胸やけ、口が酸っぱい感じ、喉の不快感、呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる感じ)は、寝ている間に胃液が食道まで上がってきているために起こることが多いようです。

 症状が出ないようにする方法としては、夕食を腹八分目にする、食べてから2時間は横にならない、おなかを締めつけない服装で寝るといったことがあります。そのほかに、寝る姿勢を工夫する方法もあります。背中に座布団を敷くなどして上体を少し起こして寝たり、左側を下にして寝ると効果があるようです。うつ伏せ寝はお勧めできません。

 日常生活では、腹圧を低くする(前かがみで重い物を持たない、ベルトをきつく締めない、肥満があれば痩せる努力をする)、適度な運動を心がける、脂っこい食事をなるべく避ける、刺激物をとりすぎない、不規則な生活を避ける、ストレスをためないなどを心がけましょう。

 私の患者さんで、横になると胃液を戻すため、座って寝ているという方がいます。とくにお年寄りになると、寝ている間に胃液を戻し、それが気管に入って誤嚥性肺炎を起こす危険があるので要注意です。そこまでいかなくても、胃液は強酸性ですから、気管に入るとものすごい刺激となり、苦しむことになります。

 胃液を戻さないためには、上半身を高くして寝ることです。布団の下に座布団などを入れて、少し角度をつけるだけでも効果があります。病院のベッドのように上体の角度を無段階で変えられるのなら、安眠できる角度を探して寝るようにしましょう。

 上半身を高くすると寝られないという人は、枕を高くするだけでも効果があります。やや固めの高さのある枕に変えるだけで、胃液が口まで戻りにくくなります。いつもの枕でないと寝られない人は、枕の下に薄いクッションなどを入れてみましょう。

 また、寝る姿勢は左側を下にするようにします。右側を下にすると胃と食道の間にあるゲートである下部食道括約筋の圧が低下して、逆流を起こしやすくなるといわれています。

 いずれにせよ症状が起きるのが「たまに」「ときどき」の頻度であればあまり心配はいりませんが、気をつけているのに症状が頻繁に起きる、毎日のように起きるというのであれば、念のための受診をお勧めします。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/22(金) 15:31

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