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「病床数が多い」全国TOP400自治体ランキング

1/20 7:01 配信

東洋経済オンライン

 まったく収束の気配を見せない新型コロナウイルスの感染拡大。病床使用率上昇の報道も相次ぎ、一部では「すでに医療崩壊が起こっている」との声もあがっている。

 OECDの2019年の医療統計によると、人口1000人当たりの病床数は日本が13.1床で、37の加盟国の中で最も多い。しかし「第3波」と言われる現在でも、コロナ対応に充てられる病床は全病床数の3%程にとどまっている。さらに、病床数の地域格差が大きいことも指摘されているが、全国で病床の数は足りているのか。

 東洋経済『都市データパック』編集部では、厚生労働省の公表する「医療施設調査」の結果を基に、全国の自治体ごとに人口に対してどの程度の病床が確保されているのか集計。市区町村の人口1000人当たり病床数を基に、市区と町村ごとの「人口当たり病床数」をランキング化した。

 なお、医療法上、病床は一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床に区分される。新型コロナ患者は感染症病床での受け入れが原則だが、感染症病床は全国に1900床ほどしかなく、緊急の措置として他の区分の病床で対応する状況が続いている。そこで、調査にあたっては全区分の病床を対象とした。

 また、「医療施設調査」は2019年10月1日時点の調査データであるため、コロナ感染拡大後の病床数の変化は反映されていないことに留意いただきたい。

■「病床数が多い」都道府県はどこか

 病床は複数の市区町村を単位とした「2次医療圏」ごとに計画、整備される。そのため、交通アクセスのよい近隣自治体に大規模病院があるケースなど、自治体単独の病床の少なさが必ずしも医療体制の脆弱性を示すものではない。また病床が多いからといって、コロナ対応に盤石な体制が整っているかどうかは個別に見なければわからない。

 とはいえ病床の多さが医療体制の一定の余力を表し、地域住民に安心をもたらしそうだ。隔離が求められる感染症対応では、とりわけ病床の余裕は重要となる。

 都道府県では、高知県が人口1000人当たり26.4床と全国最多で、最も少ない8.3床の神奈川県とは3倍を超える開きがあった。いわゆる「西高東低」の傾向も顕著に見られ、西日本で人口当たりの病床が多く、東日本で少ない。

 とくに、今回、緊急事態宣言の対象となった首都圏1都3県の少なさが目立つ。それでもなお、すべての都道府県でOECD加盟国平均の4.7床を大きく上回る結果となった。

 市区では嬉野市(佐賀県)が人口1000人当たり55.1床、町村では壮瞥町(北海道)が151.0床でそれぞれ最多となった。両市町とも湯治場としての歴史が古く、2019年10月時点で、嬉野市には国立病院機構嬉野医療センターを筆頭に4病院が、壮瞥町は民間2病院が所在する。

 古くから現在に至るまで、治療・療養のため他市区町村からも人々が訪れる“医療のまち”として、人口に対して病床数が多くなっている。

 ランキング全体を見ると、市区では9割超の自治体でOECD平均を超えるものの、町村では半数近くの自治体がOECD平均未満だ。人口当たり病床数が最も多い高知県でも8町村では病床がない。都道府県内でも病床が市区に偏る状況がうかがえる。

■「万全の備え」より「柔軟な対応」

 一方で、病床の多さが医療費の増大につながるとして、国は病床数の適正化(すなわち病床削減)を推し進めてきた。2019年9月には、厚生労働省が「再編統合について特に議論が必要」な424の病院について名称を公表して議論を呼んだが、該当病院に感染症指定病院が含まれていたことなどもあって、新型コロナを受けた削減反対の声も高まりを見せる。

 しかし、新型コロナの感染拡大でわかったことは、近い将来の状況すら予測できない未知の疾病に備えることの難しさだ。限りある資源のもとで「起こるかもしれない病」に備えることは現実的でない。求められるのは「万全の備え」ではなく「柔軟な対応」だ。

 有識者有志で構成される「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」は、「6つの緊急提言」を表明している。その1つ目が「医療資源を最大限に効率的に活用するため、医療機関の集約化・役割分担・連携を大胆に進める」ことだ。例えば、以下のような具体策が提示されている。

 ・重症者対応ができる病院を都道府県単位に複数または2次医療圏毎に原則1つ以上確保
 ・重症者対応のため、対応能力のある医師・スタッフを病院の壁を越えて重症者対応を行う病院に集約

 ・コロナ患者を受け入れない医療機関は、コロナ患者を診療できる医師・スタッフを、コロナ患者を受け入れる病院に派遣することや、回復期に入ったコロナ感染者を感染症対応病院から受け入れること、発熱外来を設けることなどにより、柔軟かつ多様な形でコロナ対策に貢献
 
 あわせて、新型コロナ患者受け入れ病院や医師の派遣を行った病院には手厚く、コロナ対策に貢献しない病院に対しては医療分野以外の一般事業者への支援を踏まえた支援にとどめるなど、メリハリのある財政支援のあり方も提言されている。

 編集部の調査でも、都道府県間あるいは市区町村間で人口当たり病床数に相当の差が見られた。市区町村の枠を越え、状況によっては都道府県をまたいで、医療機関ごとの役割を明確にし、人的・物的資源を柔軟に配置する。そのうえで症状に応じて、宿泊・自宅療養も含め、患者を振り分けることが医療体制を維持するために有効だろう。

 医療資源と患者を集約して集中的に治療にあたることと、そこで新型コロナ対応にあたった医療従事者について、自治体や病院の壁を越えた応援派遣を駆使して、一定期間の休養を確保することが危機を乗り越えるために求められる。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/20(水) 9:49

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