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知らないとCF悪化も、リフォーム費を正しく「経費」にする方法《楽待新聞》

1/20 19:00 配信

不動産投資の楽待

賃貸経営にはリフォーム工事がつきもの。しかし、その費用を「修繕費」と「資本的支出」、どちらに分類するかによって税務上の取り扱いは大きく異なります。

「修繕費」は文字通り、建物や設備などを元の状態に戻すための費用です。一方「資本的支出」とは、単なる修繕ではなく、物件の価値向上や、耐用年数の延長につながるような支出のことを指します。資本的支出に該当するものは資産として計上され、経費にすることができません。では、リフォーム工事を行った際、その費用の分類先はどのように決まるのでしょうか?

今回はその判断の方法と、それらが賃貸経営にどのような影響があるのかについてお話したいと思います。

■修繕費か資本的支出か…判断基準は?

リフォーム・リノベーション費用が経費になるかどうかの判定は、修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、「その工事が実質的にどのようなものなのか」という観点から判定します。

以下に具体的な判断基準の考え方を挙げておきます。

【1】設備の新設・取替えに要した費用は「資産計上」
エアコンや給湯器など、設備を新しいものに取り替えた場合は、資産計上したうえで減価償却を行うのが原則です。ただし、青色申告者の場合は、1つにつき30万円未満のもの(総額300万円まで)は全額経費にできます。また、旧設備の撤去にかかる費用も全額経費にできます。

【2】確実に原状回復といえるものはすべて「経費」
金額にかかわらず、確実に原状回復に該当する工事は、すべて修繕費にできます。なぜ修繕が必要になったのかという修繕の必要性も重要な判断要素となります。そのための見積書、請求書、写真などの証拠書類を残しておきましょう。

【3】20万円未満ならすべて「経費」
資本的支出に該当するものであっても、1つの修理、改良のための工事費用が20万円未満であれば、すべて修繕費にできます。なお、単に分割払いによって支払時期を分けた場合、毎月の支払いではなく全体の合計金額が20万円未満かどうかで判断します。

【4】60万円未満または取得価額の10%以下ならすべて「経費」
修繕費か資本的支出かが判断できない場合は、金額で判定することになります。支出した金額が、60万円未満または修繕した固定資産の前期末時点の取得価額の10%以下である場合には、修繕費にできます。

ただしこの基準は区分不明なものだけに適用されるため、確実に資本的支出と言えるものには適用できません。

なお、賃貸事業を開始する前のリフォーム費用は、固定資産を取得するための費用の一部と考えられます。したがって、その内容が修繕のための支出であっても、修繕費ではなく、全額を資産計上しなければならないのでご注意ください。

■どっちに分類? ケーススタディで学ぶ

ここでは大家さんからよくある質問を基に、リフォーム費が修繕費と資本的支出のどちらに分類されるのかを見てみましょう。

1.外壁の塗り替え
外壁塗装については、塗装材として特別に上質な材料を用いていなければ、修繕費に該当するものと考えます。これについては、国税不服審判所の平成元年10月6日の裁決が参考になります。

ただし外壁をタイル張りにするなどの工事は、通常の維持管理を超えるものとなるため、資本的支出になると思います。

2.屋上防水工事
雨漏りを補修するための工事は修繕費で問題ないと考えますが、雨漏りの経路が特定しにくく、完全に雨漏りを防止するためには屋根全体に防水工事をする方法以外にない場合には、全体を修繕費と判断できる可能性があります。(国税不服審判所 平成11年10月15日裁決)

そのためには、工事担当者の証言、施工前・施工後の写真、見積書などの証拠書類を残しておくようにしましょう。なお、雨漏りの補修するために行った工事であっても、物理的に付加した「屋根カバー工法」による工事が資本的支出と判断された裁決(国税不服審判所 平成13年9月20日)がありますので、注意してください。

3.システムキッチンやユニットバスの取替費用
システムキッチン、ユニットバスの取替費用は、建物の価値を高め、またはその耐久性を増すことになると認められるから、その全額が資本的支出に該当します。(平成26年4月21日裁決)

なお、システムキッチン、ユニットバスが建物と物理的、機能的に一体不可分の内部造作と認められる場合には、建物と同じ耐用年数で減価償却していくことになります。

すべてを金額だけで判定するのではなく、工事金額と工事内容の両面から「修繕費」か「資本的支出」かを区分するようにしましょう。

■資本的支出とした場合、どうやって減価償却する?

資本的支出として資産計上した場合、耐用年数の期間にわたって毎年、少しずつ経費に計上していくことになります。では、その際の耐用年数はどのように決まるのでしょうか?

具体的な例で考えてみましょう。たとえば、耐用年数47年のRCマンションを、25年目に1000万円かけて大規模修繕したとします。その支出が資本的支出に該当する場合には、新たに耐用年数47年の資産を取得したものとして、1000万円をその年から47年で減価償却することになります。したがって、年間の償却費は以下の通りとなります。

1000万円×0.022(定額法による償却率)=22万円/年

取得したときから25年目に修繕したとしても、47年-25年=22年の残存年数を耐用年数とすることはできませんのでご注意ください。

■修繕積立金を「小規模企業共済」で経費にする

資本的支出はキャッシュフローが悪くなりますが、古い間取りや設備で空室が埋まらないなど、リノベーションが必要な場合があると思います。

そのため、キャッシュフローが悪くなることを想定したうえで、計画的に積み立てを行っていく必要があります。ただ、修繕積立金は経費にはなりません。そこで、「小規模企業共済」を活用すれば、実質的に経費として積み立てることができます。

小規模企業共済とは、個人事業主や会社の役員が事業を廃止、あるいは役員を退職した場合などに、掛金に応じた共済金を受け取れる制度です。

掛金の支払時、その全額が所得控除になります。生命保険料控除が最大12万円ですので、それと比べると大きな節税ができます。ただし、掛金は月額最大7万円(年84万円)までしかかけられません。

共済金を受け取るときには、受け取った金額に課税されますが、税金上のメリットがあります。受け取り方や事由によって、一時所得、退職所得、雑所得で課税されますが、退職所得控除、公的年金控除などがあり、税金が少なくなるようになっています。

ただし、掛けた年数が20年未満で解約した場合は、元本割れになってしまいます。また、個人で賃貸経営をしている場合には、事業的規模が必要であり、かつ、本業がサラリーマンでないこと、法人で賃貸経営をしている場合には、役員であることが加入条件となります。

■まとめ

「修繕費」と「資本的支出」を適切に区分して対策を行うことで税額が大きく異なり、その結果キャッシュフローにも差が出てくることになります。

キャッシュフローを良くするためには、なるべく修繕費で計上できるよう、工事金額と工事内容の両面から判断し、その判断した際の証拠書類を忘れずに保存してください。また、確定申告書の貸借対照表のページの「本年中における特殊事情」を記載する欄に、あらかじめその根拠を記載して提出するのも有効な方法だと思います。

不動産投資の楽待

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最終更新:1/20(水) 19:00

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