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コロナ禍に新たな脅威「新型インフル」に要警戒

1/19 12:31 配信

東洋経済オンライン

 昨年末からの新型コロナウイルスの感染再拡大で、11都府県に緊急事態宣言が発出された。この緊急事態宣言の法的根拠となっているのが「新型インフルエンザ等対策特別措置法」である。そもそも新型インフルエンザの発生に備えて施行されていたものだった。これを昨年3月に改正して、新型コロナウイルスも適用対象とした。

 つまり、それだけ新型インフルエンザの発生は脅威であり、いずれは発生することを前提に備える必要があった。アメリカでは、その致死率を20%と想定している。現在までの新型コロナウイルスの致死率は日本で1.5%、世界で2.2%とされる。

 その新型インフルエンザの起源となるのが、鳥インフルエンザだ。新型コロナウイルスの蔓延で、あまり大きくは報じられていないが、この冬の日本では、かつてないペースで鳥インフルエンザが拡散している。

 鳥インフルエンザは、シベリアや中国からの渡り鳥が運んでくる。その糞などから養鶏場にウイルスが入り込むと、抗体を持たない鶏にたちまち感染して大量死する。

■鶏の殺処分は過去最多の600万羽

 昨年11月5日に香川県の養鶏場で最初に確認されると、同じ地域の養鶏場に相次ぐ。その後、福岡県と兵庫県で、12月に入ると宮崎県内の養鶏場に広まり、奈良、広島、大分、和歌山、岡山、滋賀、高知、徳島の各県で、西日本を中心に広範囲で確認されていく。

 そして12月24日には、千葉県の養鶏場で確認され、ついに関東にまで襲来した。今年に入ると、1月2日に岐阜県で、11日には再び千葉県で確認された。13日には鹿児島県でも確認されている。

 鳥インフルエンザは家畜伝染病として、発見された養鶏場のすべての鶏が殺処分され、埋められる。これまでに、15県の36カ所の養鶏場で発生し、殺処分は600万羽におよぶ。過去最多が2010年から11年にかけて宮崎や三重など9つの県での約183万羽の殺処分だったことから、今冬の異様さが浮き彫りになる。

 鳥インフルエンザウイルスは鳥から鳥に感染する。本来は人間に感染しないはずだが、このウイルスが変異してヒトからヒトへと感染するようになったものが「新型インフルエンザ」だ。

 毎年流行する季節性のインフルエンザと違って、新しい未知のウイルスにヒトは免疫を持っていないから、新型インフルエンザにはほとんどのヒトが感染してパンデミックを引き起こす。それは昨年来の「新型コロナ」の例を見れば明らかだ。

 これまでに発生した新型インフルエンザとして知られるのは、1918年の「スペインかぜ」(H1N1型)と呼ばれるもので、世界の人口の25~30%が感染し、約4000万人が死亡したとされる。

 それから40年後の1957年には通称「アジアかぜ」(H2N2型)によって、200万人が死亡、さらに10年後の1968年には、いわゆる「香港かぜ」(H3N2型)で100万人が死亡したと推計されている。

■新型は10年ごとに発生している? 

 記憶に新しいところでは、2009年にも新型インフルエンザ(H1N1亜型)が発生している。このときは、WHO(世界保健機関)はいち早く「パンデミック」を宣言した。ところが、新型インフルエンザは弱毒性で、季節性のインフルエンザと大差ないことがわかり、事態は“空振り”に終わった。

 これは、WHOが大手製薬会社と結託した「自作自演」ではないか、と疑われるまでになり、欧州を中心に世界中から猛烈な批判を受けた。このことが、今回の新型コロナウイルスのパンデミック宣言が遅れた事情ともささやかれる。

 いずれにせよ、ここで重要なのは新型インフルエンザの発生するスパンだ。「スペインかぜ」以来、10~40年の周期で新型の発生と大流行が訪れるとするのが世界の潮流だ。

 私が2003年に蔓延したSARS(重症急性呼吸器症候群)の現地取材をきっかけに、新型感染症について取材していた当時、新型インフルエンザの発生周期は10年ごとではないか、とされていた。10年ごとに新型は発生しているが、毒性のない良性に変異していて人体に害がなく、気が付かないだけとの説だ。

 人間には感染しないとされた鳥インフルエンザが、人間に感染して大騒ぎになったのが、1997年の香港でのことだった。5月に高病原性の「H5N1型」ウイルスが3歳の男の子に感染して死亡したのをはじめ、この年の香港で18人が感染して5人が死亡している。

 以降、アジアを中心に世界各地で800人以上の感染が報告され、そのうち半数以上が死亡している。しかも、それまでの新型インフルエンザは「弱毒型」とされたが、こちらは「強毒型」とされ、この強毒型ウイルスは呼吸器感染にとどまらず、血流中にウイルスが侵入して全身感染を起こす。

 ヒトでも肺以外に、脳、心臓、腎臓などで感染が広がっていることが報告されている。これが新型に変異するのではないかと危惧されるところだ。

 これもちょうど10年の周期にさしかかっていた時期でもあった。そこで香港の保健当局は徹底して封じ込めるために、とにかく鶏を殺処分して土中に埋める対策をとった。これがWHOからも高く評価されるところとなり、日本国内で鳥インフルエンザが確認されると、自衛隊も動員されて同じ措置をとっている。テレビ報道などで見る、あの光景だ。

■新型はブタからもやってくる

 新型インフルエンザの発生は2009年を最後に、すでに次の周期に入っている。2009年はブタ由来のウイルスだった。新型インフルエンザは、ブタからもやって来る。

 新型インフルエンザの変異には、大きく3つの経路があるとされる。

 1つは、鳥インフルエンザが鳥の中で蓄積され、ヒトへの感染力を持つように変異すること。もう1つは、前出のように鳥インフルエンザウイルスが感染したヒトの体内で変異する、もしくは、そこに既存のヒトインフルエンザが混じり合い、新型となる。このとき、互いのウイルスの遺伝子が交じり合うことを「再集合」という。

 この「再集合」がブタの中でも起こる。鳥インフルエンザは、本来はヒトへうつらない。だが、ブタには感染する。さらにブタはヒトのインフルエンザウイルスにも感染する。ブタの体内でそれぞれが変異する、もしくは両方の遺伝子が混じり合い、ヒトへの感染力をもった強毒性のインフルエンザウイルスが誕生する3つ目のパターンが考えられている。

 そこで怖いのが、千葉県で鳥インフルエンザが確認されたことだ。千葉県というのは、全国でも豚肉生産が盛んな場所で、生産量は毎年、全国3位から5位の間で推移している。それだけ飼育頭数も多い。加えて、千葉県の採卵鶏の飼養羽数は全国2位(2019年2月1日時点)を占める。

 それにもまして採卵鶏の数が全国で最も多く、鶏卵の生産数も全国トップなのが、隣の茨城県だ。首都圏の食卓を支えているばかりでなく、国内で鳥インフルエンザが確認されると、感染症の専門家の視線は茨城県に向く。ここで鳥インフルエンザが発生すると、人口の多い首都圏にも近く、新型感染症の感染爆発の可能性が一気に高まるからだ。

 その感染拡大の規模は、新型コロナウイルスで実証されている。それだけ、もう1つの脅威が、ひたひたと近づいてきていることを意味している。

■ヒトへの感染リスクは低いとされているが…

 いま日本に蔓延している鳥インフルエンザは「H5N8亜型」で、欧州でも広まっているものがシベリアから持ち込まれたとされる。ヒトへの感染は報告されておらず、WHOも感染リスクは低いとしている。

 いまのところ、国内の鳥インフルエンザは適切に処置されている。だからといって、甘く見ることはできない。それは現在の世界と日本を見ればわかる。こんな新型コロナウイルスの発生と蔓延を誰が予測できただろうか。鳥インフルエンザは1~2月が本格シーズンだ。

 もはや、なにが起きてもおかしくはない。そこに新型コロナウイルスに新型インフルエンザが重なるようなことになれば、それは医療崩壊どころか、大混乱に陥ることは必至だ。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/19(火) 12:31

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