モトリーフール米国本社、2020年1月7日投稿記事より
よく知られた評判の高い株式非公開企業が上場する際には、投資家の買い意欲は大きく高まり、しばしば上場初日の株価は大幅に上昇します。
2020年に上場したスノーフレイク(NYSE:SNOW)やエアビーアンドビー(NASDAQ:ABNB)といった勢いのあるIPO(新規株式公開)銘柄を見ると、アンダーライター(引受証券会社)から直接IPO株を購入できた投資家は巨額の利益を得ています。
2021年も数多くの企業が上場するとみられ、既に米国証券取引委員会(SEC)に必要な書類を提出した企業も多数あります。
食料品配達サービスのインスタカート、ペット用品・サービスを提供するペトコ、株取引アプリのパイオニアであるロビンフッドには大きな注目が集まっています。
しかし、筆者はある企業に特に注目しています。
コインベースは、現在世界で最もホットな投資分野の1つである暗号通貨(暗号化技術に基づく仮想通貨)において独自のポジションを築いており、2021年に注目すべきIPO銘柄です。
コインベースは暗号通貨の活況からどのように利益を上げているのか
コインベースは米国最大手の暗号通貨取引所で、ビットコインを始め多岐にわたるトークンの取引所サービスを提供しています。
一般投資家には簡易な取引サービスを、上級の投資家にはより高度なプロ向けサービスを提供しています。
さらにコインベースは、自己管理できる暗号通貨ウォレットといったサービスも提供しています。
このウォレットを用いれば、暗号資産を動かすプロセスを簡素化した使い勝手の良いインターフェイスを通じて、ユーザーは相互に暗号通貨を安全に送ったり受け取ったりすることができます。
コインベースに投資するからといってビットコインに関心を持つ必要はありません
ビットコインのような危険な投資はしたくないと考えるのも無理はありません。
過去数カ月間に多くの賢明な投資家が暗号通貨の時流に乗ってきましたが、この暗号通貨の活況はバブルでありいずれは弾けると見る向きも多くあります。
しかしながら、コインベースという銘柄を好むために暗号通貨に投資する必要はありません。
筆者は長いことスターバックス(NASDAQ:SBUX)に投資していますが、コーヒーを好きではありません。
コインベースへの投資も同様です。
コインベースは既に3,500万人もの正式なユーザーを有し、売買高は3,200億ドル、ユーザーがプラットフォーム上に保有する暗号資産は250億ドルに上ります。
さらに同社は100カ国以上で事業を展開し、1,000人以上の従業員を抱えています。
何よりも素晴らしい点は、コインベースはユーザーの取引ごとに手数料を徴収します。
暗号資産の売買に対し0.5%のスプレッドを課し、それに加えて、1)200ドルまでの取引では取引額に応じて0.99ドル、1.49ドル、1.99ドル、2.99ドルの定額手数料、2)基本的には取引額の4%、ただし支払い方法によって減額措置のある(銀行口座またはコインベースウォレットを使用した購入の場合は取引額の1.49%など)取引額に応じた手数料のうち、高額な方を課します。
ただし、プロのトレーダーはこのような高額の手数料を支払うことはありません。
取引量の多いトレーダーに対しては手数料なしで暗号通貨を売買できる段階的な手数料体系を取っています。
しかし、取引量がそれほど多くないトレーダーでも、コインベースの取引の流動性を生み出すという貴重な役割を担っており、成長の早い分野で同社がリーダーシップを築く一助となっています。
内密のIPO
通常、企業は上場プロセスの初期段階において、投資家に対し膨大な量の情報公開を行う必要があります。
しかし、最近のルールでは、IPOを計画する企業は登録届出書(Registration statements)のドラフトを機密ベースで提出することができ、コインベースが12月半ばにSECにIPOを申請した際には、このルールの恩恵を受けました。
コインベースはIPOを進める時期については言及せず、ひとたびSECのレビュープロセスが完了すれば、同社のIPO申請は有効になる見込みとだけ述べています。
一部には2月にも上場の可能性があるとの声もあります。
IPOに向けて情報が公開されるまでは、コインベースがどの程度の利益をあげているのか投資家は知ることはできませんが、同社が有望であることがうかがえる点は既に複数あります。
・同社の手数料収入は、3,200億ドルにのぼる暗号通貨売買高のほんの数パーセントに過ぎないが、合計すれば多額になる。
・ビットコインのブームにより、投資家の暗号通貨取引への関心はかつてないほど高まっており、コインベースは初心者が容易に取引を始められる場所としての地位を確立しています。
・コインベースの手数料は、ペイパル・ホールディングス(NASDAQ:PYPL)やスクエア(NYSE:SQ)といった消費者に馴染みのある企業と比べても競争力があります。
・コインベースは直近では2018年に私募による資金調達を行っており、当時の同社の企業価値は80億ドルでした。これは、ビットコインが最初の大規模な強気相場から急落した後の時期でした。
コインベースに注目
また、コインベースはアンダーライターによるIPOの代わりに直接上場(新株を発行せず、既存の株式だけを上場する手法)を選択することも可能です。
もし直接上場を選択すれば、初日の値上がりの恩恵はウォールストリートの大手証券会社が受けるのではなく、株式を売却する株主が受けることになります。
ビットコインを好むと好まざるにかかわらず、そして暗号通貨の価格が変動したとしても、コインベースへの投資により暗号通貨から利益を得ることが可能です。
コインベースが今後上場する際にIPO文書が公開されますが、そこに何が述べられているかは注目に値します。
2021年は仮想通貨の時代か?各企業が対応に動く
The Motley Fool
最終更新:1/17(日) 12:00
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