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部下がいつの間にか距離を置く「残念な上司」の2つの特徴

1/16 18:31 配信

東洋経済オンライン

「あの人、一言多いんだよな」など、他人の「残念な面」に私たちは敏感です。あの振る舞いを直せばもっと良くなるだろうに――しかし、その一方で自分自身もそんな風に見られ、誤解されているのではないかと思う人も多いでしょう。宝塚大学・東京メディア芸術学部教授の竹内一郎氏が上梓した『あなたはなぜ誤解されるのか』を一部抜粋・再構成し、残念な人にならないための、振る舞い方を紹介します。

 「残念な人」という流行り言葉があった。職場を見渡すと、本人が思っているほど周囲の評価が高くない人がたくさんいる。頭もよくて、弁も立ち、仕事もできるのに、人望がない人たちといえばよいだろうか――。

 他人を見て「あの人のあのしゃべり方や関節を鳴らす癖、人を見下す態度が変われば、随分評価も変わるのに」と思うことは多い。

 あの上司、いつも一言多い。部下がポカをやった時にただ注意すれば済むのに、後で自分の自慢話が入るから、結局部下の心が離れていくんだよ。あの感じの悪い髭、必要以上に自分を偉そうに見せているのに自分では気付かないんだろうなあ。

 とはいえ、さわらぬ神に祟りなし――。放っておこう。結局、その人から人が離れていく――。付き合わないわけではないが、心の底では信頼していない。こうしてその人は「残念な人」であり続けるのだ。

 人の「残念」はわかる。問題は自分の残念をどうするかである。人の残念を指摘する本はこれまでもあった。しかし、それをどうするかという提案は少ない。自分は変えられるが、他人を変えることは至難の業だ。

■自分の振る舞いは年齢に応じて変えるべき

 新著『あなたはなぜ誤解されるのか――「私」を演出する技術』で示したかったのは、「自分をちょっとだけ演出すれば、人の間の心の溝やストレスは大幅に減らせる」ということだった。

 「見せ方」を意識して、言動をちょっとだけ変えれば、人は付いてくる。ちょっとだけ変えれば、無駄な対立や軋轢を回避することができる。

 本稿では、組織で管理職やリーダーを務める方に、いくつか気を付けてみてほしいポイントを挙げておこう。「年齢/立場」と「成功体験」。この2つには要注意である。

 私は現在、64歳だ。大学のゼミで、自分が40代の頃には「冗談っぽく」話せば、学生は「冗談なのだ」と受け流してくれた。だが、近年は「自分は冗談っぽく話しているつもり」でも、真顔で「そうだったのですか?」と聞いてくる学生が増えてきた。学生の理解力が低下したのではない。私の一言は、自分が思っているより重くなっていたのである。

 自分の振る舞いは、役割に応じて、年齢や立場に応じて、変化させなくてはならない。それには相手のリアクションで、自分がどう見えているか、察しながら対応を変えて行くのがよい。

 多くの人は、それを自然にやっている。注意しなくてはならないのは、快感が伴うときである。気持ちが良いことは、ついつい長くやってしまうものだ。酒に酔った時の、説教や自慢話はとりとめがない。気持ちがよいからだ。快感が邪魔をして、自分のセンサーが壊れてしまう。知らず知らずのうちに人の心は離れている。

 もう1つの「成功体験」に気を付けるとはどういうことか。むろん、成功体験があること自体は素晴らしいが、その副作用は知っておかないといけない。 

 学生時代は勉強もできたし、仕事でも成果を挙げてきた、子供も世間体のよい学校に行っている、という人にも落とし穴がある。自分では当たり前のことを話しているつもりでも、周囲には自慢話に聞こえてしまうのである。

■成功した人の特徴

 宮沢喜一元総理の有名な逸話がある。新しく担当になった記者には細かく学歴を聞き、東大以外だと露骨に態度が変わったという。自身の出身である東大法学部以外は認めなかった。この話はさまざまなバリエーションがあるが、それだけ当時の記者が嫌な思いをしたということである。

 ここまでの人は今では珍しいかもしれないが、何かにつけて自分の恵まれた状況を口にしてしまう人は多い。家族も兄弟も、職場の仲間も、皆その人を疎んじている。あなたと飲んでいても、自慢話か説教を聞かされている感じで、酒がおいしくない、と。

 私は成功した人に特有の欠点があると考えている。自分の成功法則からなかなか逃れられない、ということである。成果を出したのだから、自分のフォームはできている。自信も備わっている。その分だけ自分の考えに捉われやすくなる。

 新しい職場に移った時には、そこで働く人の気質の分析を試みることだ。そして、優等生や成功者は「聞かされているほうが楽しくない話はしない人」という役を演じるつもりになるとよい。

 優等生的な人生を歩んできた人は、「相手を楽しませるホスト」が今の立場なのだ、というくらいに自分の役を設定したほうがよい。自分が楽しい思いは十分にしてきたのだから、今は人を楽しませる役割なのだと割り切るのである。相手を立てるだけの余裕がある人間なのだ、と思ってもよい。

 一般社会では、管理職になると、「指示を出す人」「部下にいうことを聞かせる人」という立場がしばらく続く。その時期はあまり、部下には好かれないものだ。そういうときほど、「どう話せば相手が気持ちよくやってくれるか」を考えなくてはならないものだ。

 もちろん、そんな時期は、人生全体から見ると長くはない。その後を上手に生きている人は「聞き役」を上手に演じていることに気付くだろう。その人は仕事のできる人から、できない人に至るまで、みんなに慕われているものだ。

■謙虚すぎても嫌味にみえることも

 ただし、謙虚すぎても、かえって嫌味である。謙虚さ、というのも快感につながりやすい。へりくだっている自分に酔っているといえばよいか。ほどほどの謙虚さは難しい。謙虚に振る舞いたいときは「謙虚すぎない役」を演じるのである。それだけでブレーキがかかる。

 政治家が「有権者の皆様」に対して必要以上にへりくだった言葉を使うことがある。総理大臣であっても「国民の皆様のお気持ちが第一と考え」といったことを口にする。しかし、実際にはそんな風には思っていないことは見え見えだ。

 丁寧語が必要以上に多い政治家は、信用されないものだ。「皆様のご意見を賜りまして」などは丁寧語が過剰すぎる。本当に期待されているのは「国民の声を丁寧に聞きながら最後は私が責任を持って決める」という姿勢だろう。

 では、相手が受け止めたくなる非言語情報とはどういうものだろうか。私も人前で話すことが多いので、人にどれほど誤解されているかを、日々実感している。非言語コミュニケーションの専門家であり、舞台演出家なのだから、誤解を招かない訓練をしているほうである。

 それでも授業後の「リアクション・ペーパー(受講者が書くアンケートのようなもの)」や講演後の「感想文」を読むと、誤解をまったくなくすことはできないと実感する。人によっては、私の想像を超えた受け止め方をするものだ。

 恐らく人前で話す習慣のない人は、自分が日々膨大な量の誤解を生んでいることに気付いていない。

■快感が伴う言葉は相手を不快にさせる

 自分なりにトレーニングを積む前と積んだ後では、誤解のレベルに雲泥の差がある。もちろん、トレーニングといっても、ジムに通って習うようなものではない。

 日々の人付き合いの中で「人の振り見て我が振り直せ」を実践しているか、いないかの問題である。「ああいう局面ではああいう役に徹する」「こういう場面ではこんな人格で切り抜ける」――。

 周囲を虚心坦懐に見渡せば、自分を演出するヒントがたくさん得られることに気付くだろう。即効性のある心得を1つ。言ったときに、快感が伴う言葉は概ねよろしくない。相手をバッサリ切っている可能性がある。そうして一度感情をこじらせると、普通ならうまくいく案件さえ壊れてしまうことがある。

 論理がしっかりしているほうが勝つ、というのはせいぜいディベートの世界の話なのである。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/16(土) 18:31

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