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大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」

1/14 6:01 配信

東洋経済オンライン

 10年に1度とも言われる大寒波が襲来し、全国規模で電力の需給が逼迫している。

 1月8日の平均気温(沖縄を除く)は2020年1月8日と比べて約8℃も低下。九州では1月7日に冬季として過去最大の電力需要を記録した。

 3連休明けの1月12日も電力需給の逼迫は続き、関西電力エリアでは、午前8時台に電力供給に対する総需要の割合を示す電力の使用率が99%に達した。大手電力会社でつくる電気事業連合会や各電力会社は家庭や企業に節電を呼びかけているが、電力の需給は「綱渡りが続いている」(市場関係者)。

■厳しさ増す発電用LNGの調達

 今回、電力需要は2020年12月下旬から急増した。余剰電力を売り買いする日本卸電力市場では取引価格が急騰。年が明けると需給はさらに逼迫し、1月12日午前8時台のスポット市場の取引価格は、1キロワット時当たり200円という史上最高値を記録した。これは需給逼迫以前の40倍近い水準だ。スポット価格はその後も高値更新を続けている。

 逼迫の原因として、火力発電所の燃料であるLNG(液化天然ガス)の調達難が指摘されている。LNG火力発電所は日本全体の発電電力量の約4割を占め、電力需要の増減にスピーディーに対応できる強みがある。ところが、LNGはその性質上、長期にわたる備蓄ができないうえに、調達そのものが厳しくなっている。

 あるエネルギー業界関係者は、LNGのスポット価格の高騰に驚きを隠さない。「新型コロナウイルスの感染拡大で需要が減っていた2020年4月当時の100万BTU(英国熱量単位)当たり4ドル弱だったものが、最近では約28ドルをつけている。これまで20ドルを大きく超えることはなかった」。

 電力会社の輸入代理業務を担う三井物産も「新型コロナの影響でLNGの需要見通しが不透明だった中で、寒波によって電力需要が急増し、在庫繰りが難しくなった」(広報担当者)と説明している。

 LNG需給がタイト化している要因について、中国や韓国の需要急増やオーストラリアのLNGプロジェクトでの設備トラブル、パナマ運河の渋滞なども挙がっている。

 寒波とともに電力需給を逼迫させたのが、LNG火力と並ぶ主力電源である石炭火力発電所の設備トラブルだ。長崎県にある九州電力の最新鋭の石炭火力発電所(松浦発電所2号機、出力100万キロワット)は2020年12月29日にボイラーの付属設備で不具合が発生し、出力を50%に落として運転を続けざるをえない状況だ。

 同じ長崎県にあるJ-POWERの石炭火力発電所(松島火力発電所2号機、50万キロワット)も石炭を細かく砕く装置の故障により、1月7日夜に運転を停止。補助燃料の重油で発電する異例の対応を決め、1月14日の運転再開を目指している。

■相次ぐトラブルや不具合

 J-POWERではほかにも、神奈川県の磯子火力発電所2号機(60万キロワット)がコンベアトラブルにより、2020年10月20日に運転を停止。現在、同1号機(60万キロワット)および2号機とも出力を下げた状態での運転を続けている。また、徳島県の橘湾火力発電所1号機(105万キロワット)も2020年12月25日にタービンの損傷により計画外停止に直面。現在、復旧に向けて作業中だ。

 関電のエリアでは、同社の原子力発電所4基が設備トラブルや定期検査で稼働を停止しているうえ、石油火力の御坊発電所3号機(60万キロワット)で1月4日の起動時に不具合が発生。LNG火力の姫路第二発電所既設6号機(60万キロワット)でもメインタービンの軸受け温度の上昇により、出力抑制を余儀なくされている。

 他のLNG火力発電所でも、燃料であるLNGの確保状況をにらみつつ、低い出力での稼働を余儀なくされている発電所が少なくない。

 東北電力は東新潟や仙台などの発電所で、出力を下げた制限運転を続けている。同社は「寒波が継続した場合に、LNGの在庫不足が起こらないように先々を見越しての対応であり、LNGの不足が生じている状況ではない」と説明するが、東京電力と中部電力が折半出資する最大手の発電会社・JERAなど多くの電力会社がLNG火力発電所の制限運転を続けている。

 電力会社間での電力融通を取り仕切る電力広域的運営推進機関は1月3日以降、ほぼ毎日のように電力会社から他電力会社へ電力を送るよう指示を出している。特に厳しいのが西日本エリアで、東北電力や東京電力の送配電子会社などに対して、九電や関電、中国電力などに向けて融通の指示が出されている。

 電気事業連合会は、日本ガス協会や石油連盟を通じ、都市ガス会社や石油会社に発電用燃料を供給するよう要請している。また、電力会社は海運会社に対し、LNG燃料輸送船の運航速度を上げ、LNG基地への到着を前倒しするよう求めている。

■需給逼迫は長期化の可能性も

 ただ、電力の需給逼迫は長期化する可能性が高く、「東日本大震災当時よりも厳しい」(市場関係者)との声も聞こえる。大震災当時は地震や津波による火力発電所の被害に加え、福島第一原子力発電所で重大事故が発生。東北や関東にある原発が軒並み稼働を停止した。

 それに対し、「今回は、西日本を含めて全国規模での需要急増の継続に燃料の確保が追いつかない点に違いがある。政府は電力会社任せにせず、国民に向けて節電の必要性を広く周知すべきだ。LNG在庫が払底してからでは手遅れになる」(同関係者)という。

 「今のような状況が数週間続くと、資金繰りに支障が出て経営が立ちゆかなくなる新電力も出てくる」(新電力幹部)という声もあがる。電力需給の逼迫は、さまざまな悪影響を各方面に及ぼす可能性がある。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/14(木) 6:01

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