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発達障害の僕が「親にして欲しかったこと」「してほしくなかったこと」

1/14 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 『子育てベスト100』著者の加藤紀子さんは、借金玉さんの著書『発達障害サバイバルガイド』について、「当事者向けに書かれた本だが、実は子育てにも使える」「親が感じる“子どものことをわかりたい”“でも、どうしたらいいかわからない”という悩みに、具体的でわかりやすいヒントを教えてくれる良書」と、この本を絶賛しています。
今回、この二人の対談が実現。「子ども」「親」それぞれの立場から、発達障害と子育てについて語ってもらいました。(取材・構成/イイダテツヤ、撮影/柳原美咲)
※対談第1回はこちら:発達障害の僕から「自分の子は発達障害?」と悩む親に必ず伝えたい2つのこと

● 「○○するな」は親から子への呪い

 加藤紀子さん(以下、加藤) 借金玉さんはご自身の体験を踏まえて、子から親へ「こういうことを欲しかった」「こういうことはして欲しくない」ということを挙げるとしたら、どういったことがあるでしょうか?

 借金玉 僕の場合は毎日毎日父親から「ちゃんとやれ!」と言われるのが本当に辛かったです。自分は頑張ろうと思っているのにできない。みんなはできてるのにできない。でも、10歳の子どもって、「ちゃんと」って何をすればいいのか、本当にわからないんですよ。

 あとは、加藤さんも『子育てベスト100』で書いていましたけど、やっぱり過保護というか「先回りしちゃう」のはあまりして欲しくないですね。「○○してはいけない」「危ないことをしてはいけない」と強く禁じるのは、けっこうな呪いになってしまいますから。

 加藤 発達障害の子を持っていると、特にそうしてしまう傾向はありよね……きっと。

 借金玉 どうしても心配ですからね、僕の親もそうでしたけど。特にADHDの子なんて、車が走っている道路に向かって爆弾みたいに飛んでいきますからね。

 心配なのはすごくよくわかるんです。でも、禁止しても飛んでいっちゃう子はまだよくて、特にASDの子なんかは、禁止されたら「世界の上限」を作ってしまって、そこからまったく出なくなります。その呪いの方が怖いなと僕は思っています。もちろん、危ないことをしたら叱るのは大事なんですけど。

 加藤 子どもの周りを先回りして危険を回避してしまうという話は、日本だけでなく、世界的な傾向でもあって「ヘリコプターペアレント」とか「カーリング育児」なんて言葉が生まれるくらい、けっこう問題になっていますね。

 借金玉 それはホントよくないですよね。僕の場合は親に反抗しまくったことで過保護から距離を置いてきたので、なんとか回避できましたけど。呪いを真正面から受けてしまう子もいるので、本当に注意した方がいい。「助けてくれ!」と聞こえたら「浮き輪を投げる」くらいでいいと僕は思うんですけど。

 加藤「助けてと聞こえたら、浮き輪を投げる」いい表現ですね。

● 「何もしてこなかったから、何もできない」という末路

 借金玉 あくまでもたとえ話なんですけど「1000回やったら3回くらい死ぬスポーツ」ってあるじゃないですか。マウンテンバイクで山から猛スピードで駆け下りるとか、激流をラフティングするとか。

 僕自身はああいったスポーツが大好きなんですけど、自分の子どもがあれをやるって言ったとき、親として「がんばって、やってきなさい!」と言えるかどうか。これってけっこう大きいと思うんですよ。実際のところ「下手したら死ぬかもしれないこと」をやらせないっていうのは、「何もやらせない」のと同じなんですよね。

 僕ももう35歳の大人ですから、「問題を起こして欲しくない」という親の気持ちもわかるんです。でも、「問題を起こす」のはもちろん問題ですけど、成長する過程で「起こすべき問題」を起こさなかった子は、後々もっと大きな問題が出てきそうな気がするんです。大学生くらいになったときに、ドバっとその問題が吹き出してくるというか。

 逆に子どものうちは、問題が起こるって言ったって、せいぜい警察に怒られるくらいなんで。

 加藤 それはすごくわかりますね。適度に挫折や失敗を経験しておかないと、その方がより問題になる、というのはよくある話ですもんね。

 先ほど触れた「ヘリコプターペアレント」は、親が子どもの失敗を心配するあまり、先回りして障害物を取り除いたり失敗から守ろうとしたりするのですが、アメリカのメアリー・ワシントン大学が2013年に行なった調査では、ヘリコプターペアレントに育てられた大学生はうつ病になりやすいと報告されています。

 東京大学で「失敗学」という新しい学問に取り組んだ畑村洋太郎名誉教授は、失敗を「ワクチン」にたとえ、親は子どもにたくさん失敗の経験をさせることで、心と体に「失敗」という抗体をつくっておこうと唱えています。

 借金玉 僕は過保護って「良いこと」と「悪いこと」をはっきり分けるところから始まっていると思ってるんです。「これは危ない」とか「こういうことは恥ずかしいからやめなさい」とか、全部「良いこと」「悪いこと」をはっきり区別しちゃってますよね。

 多くの発達障害の子を見ていると「リスクを過剰に忌避するタイプ」と「何でもやってみちゃうタイプ」に分かれてくるんですが、「過剰忌避のタイプ」の子の場合、親が過保護であることがすごく多いですね。たくさんのことを禁止されてきた、というか。

 そういう子に話を聞くと、「自分は何もしてこなかったから、何もできない」と言うんです。

 加藤 それは怖いですね。

 借金玉 過保護と禁止はすごくリンクしていて、本当に怖いです。

 学校の通学路を守ることは大事なんですけど、でも「なぜ通学路を守ることが大事なのか」を考えることなく、ただ「それ以外の道を歩くこと」を禁止されて「一生、通学路を歩いて生きる」という子の方がやっぱり怖い気がしますよね。

 加藤 私の本では「過保護」と「過干渉」をわけて考えているんです。これは児童精神科医の故・佐々木正美先生の考えに共感するからなのですが、「過保護」は子どもが望んでいることをたくさんやってあげること。一方で「過干渉」は、子どもが望んでもいないこと、むしろ嫌がっていることをやりすぎることです。

 借金玉さんがおっしゃっているのは「過干渉」に近い話だと思うんです。過干渉によって子どもが主体性をなくしていくのは、本当に怖いと感じます。

 借金玉 加藤さんの本のなかでも「失敗をしよう」という項目があって、「親が自分の失敗談を話すことも大事」って書かれていたんですけど、そういうのってとても必要だと思います。

 加藤 親が積極的に失敗談を子どもに話すと、子どもも「失敗していいんだ」ということを学びますもんね。

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:1/16(土) 20:20

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