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日本の水際対策が「超絶甘すぎる」と断言する訳

1/13 18:01 配信

東洋経済オンライン

 新型コロナウイルス感染の第3波がとてつもなく大きくなる中で、日本の「水際対策」のお粗末さが露呈している。

 政府の方針によって、全世界からの外国人の新規入国は昨年12月28日午前0時に停止。感染力が強いとされる新型コロナウイルスの「変異種」が広がるイギリスと南アフリカからの新規入国はすでに止めていたが、その対象をすべての国・地域に広げた。少なくとも今年1月末まではこの方針を貫くが、緊急事態宣言中は継続される可能性が高い。

 1月13日になって政府は11の国と地域とのビジネス往来が可能な「ビジネストラック」での入国を禁止する方針を固めたが、世論の批判に押された格好だ。

■日本人の帰国などは継続

 もともと外国人の新規入国を停止した後も一部のビジネス往来は継続していた。ただ、今後も長期滞在ビザ保有者の再入国、永住者、日本人の帰国などでも一定数の入国がある。

 問題はこのルートにおける新型コロナの感染拡大を防ぐことだ。とくにいったん広がってしまったら爆発的な感染拡大につながる恐れのある「変異種」を文字どおり水際で食い止めなければならない。しかし、政府の打ち出す一連の方針・対策を見ていると、何とも心もとない。

 政府は1月8日、海外からの入国者に対する新たな水際対策措置を発表した。まず1都3県で再発令された緊急事態宣言が解除されるまでの期間、すべての入国者・再入国者・帰国者に対し、現地を出国する72時間以内の検査証明書(陰性証明書)の提出を必須とする。検査証明書がなければ最低でも3泊は国が指定する宿泊施設における待機が必要となる。誓約書の提出も条件となる。日本国内の感染拡大に加えて、新型コロナの「変異種」を防ぐ必要がある中で取られた措置だ。

 1月12日現在、日本入国者の空港での対応として、イギリス、南アフリカ以外から入国する場合は、日本に到着後、空港で検査を受けた後、公共交通機関を使わずに入国後14日間は検疫所長が指定する場所(自宅、社宅、親戚・友人の家、マンスリーマンション、自身で予約したホテルなど)で健康観察のために待機する必要がある。

 検査証明書がない場合には、入国後に検疫所が確保する宿泊施設で待機となる。入国後3日目(入国日を含まず)に再度検査を受けて陰性と判定された段階で宿泊施設を退所し、その後は検疫所長が指定する場所で入国後14日間待機となる。

 イギリス・南アフリカからの入国についてはさらに厳しい。日本に到着後、空港で検査を受けた後、陰性の場合でも入国後に検疫所が確保する宿泊施設で待機となる。入国後3日目(入国日を含まず)に再度検査を受けて陰性と判定された段階で宿泊施設を退所し、その後は検疫所長が指定する場所で入国後14日間待機となる。

 検査証明書がない場合には、入国後3日目の検査に加え、入国後6日目の検査も必要で、いずれも陰性だった段階で宿泊施設を退所し、その後は検疫所長が指定する場所で入国後14日間待機となる。

■イギリスから帰国の男性が健康観察中に会食

 今回の水際対策が強化される前、防ぎようがあったはずの日本へのコロナ変異種の侵入を水際で食い止められなかったという残念な事態が起こった。12月22日にイギリスから帰国した男性が導火線だ。この男性は羽田空港に到着した時点では、PCR検査が陰性だったことから入国。帰国後14日間は健康観察の期間として検疫所長が指定する場所で待機する必要があったが、その期間中に会食したのだ。会食した人数は合わせて10人にのぼった。

 その後、この男性の新型コロナへの感染が確認されただけでなく、男性と会食した10人のうち、都内在住の男女2人がイギリスで流行しているコロナ変異種に感染していたことが明らかになった。男性が「検疫所長が指定する場所で14日間の待機」という国の要請を守らず、しかも感染リスクの高い会食の場に参加したことが、コロナ変異種を水際で食い止められなかった要因になったことは疑いようがない。

 これに限らず、日本の「水際対策」はそもそも緩み切っていた。

 昨年4月以降、羽田空港、成田空港、関西国際空港などにおけるPCR検査は鼻の粘膜で採取する方式を採用。海外からの入国者・再入国者・帰国者については、PCR検査の結果が出るまでの間は国が確保した宿泊施設で1~2泊の待機が必要だった。入国者のほとんどが宿泊になったことで、待機や公共交通機関の不使用などについての説明をしっかり受けたことに加えて、日本国内も自粛モードになっていたことで、しっかり守られていた。

 ところが、同8月にPCR検査の検体採取が唾液による方式に変更され、結果が出るまでの時間が大幅短縮された。海外からの入国者・再入国者・帰国者は飛行機の到着から数時間(早ければ2時間以内)で到着ロビーに出ることが可能となった。これが「入国後14日間は検疫所長が指定する場所での待機」「公共交通機関を使わない」という国からの要請が緩むきっかけとなってしまった。

 多くの到着客は公共交通機関を使わずに迎えの乗用車、レンタカー、ハイヤーなどを利用していたものの、一部は要請を無視。到着ロビーや鉄道駅などで公共交通機関の利用制限を呼びかけるポスターを無視するかのように、リムジンバスや鉄道などを利用して自宅などに戻っている光景が成田空港などで見られるなど、まさにザル状態になっていた。チェック機能などは存在していなかった。

 これを受けて、昨年12月に入って政府も動き出した。12月16日から東京空港交通(エアポートリムジン)では入国者専用バスとして、羽田空港および成田空港から都内(赤坂・新宿方面)ホテルへのバスの運行を開始した(宿泊する場合のみ利用可能)。京成電鉄では特急「スカイライナー」の8号車を専用車両として帰国者・入国者のみが利用できる輸送サービス「KEISEI SMART ACCESS」を12月28日から始めた。

■「要請レベル」のままで水際対策と言えるのか

 だが、そもそも、日本人の帰国を含む海外からの入国者に対して、性善説に基づいた「要請レベル」のままで水際対策と言えるのか。厳格な管理も罰則もないのだから、公共交通機関を使ったり、指定の場所での待機を要請されている期間中にもかかわらず、不用意に感染リスクの高い行動を取ったりする人が一定数出てしまうのは、制度設計上、防ぎようがない。

 感染者の入国を水際で止めることは国の責任だ。空港で陰性でも今回のように後日、陽性が明らかになる場合もある。入国を認める以上、帰国後14日間の行動は国が責任を持って管理する体制が必要で、それが物量的な面で難しいのならば入国者数を制限したほうがいい。

 違反者への罰則が可能な法整備も早期に必要という声も上がっている。いずれ感染者数が減ってくれば再び外国人の入国が増加する局面も来る。入国後14日間の待機についてのルール違反をした場合に罰金を科す、外国人ならビザを取り消す、国外退去させるなどの厳しい措置が必要であり、すぐにでも議論する必要があるだろう。

 幸いにも日本は島国であり、入国者の大半が空港から入国するため水際対策を行いやすい環境にある。にもかかわらず、今のお粗末な水際対策では、後世に禍根を残す事態となりかねない。

■PCR検査免除で入国していたケースも

 筆者は昨年12月に何度か成田空港で取材をしたが、到着ロビーには外国人の姿が多く見られた。母国に一時帰国していた留学生が日本に戻ってきたり、長期滞在ビザ保有の外国人が到着したりしたケースなどが多かったようだ。

 日本政府観光局(JNTO)が発表した昨年11月の訪日外国人数は前年比97.7%減の5万6700人。このうち最も多かったのは中国人の約1万8100人、次にベトナム人の約1万4700人となっている。昨年11月の日本人の出国者数は約3万0700人で外国人の入国者のほうが圧倒的に多い。

 一方、昨年10月30日からは感染症危険レベルが「レベル2」に引き下げられた韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国(香港、マカオ含む)、ブルネイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドからの入国者について、14日間の待機や公共交通機関を使わないルールはありながらも、最近まで日本到着時のPCR検査が免除になっていたことはあまり知られていない(現在はPCR検査が再度必須になった)。

 島国で入国者の管理ができる以上、世界的な蔓延が収まるまではすべての入国者に対しての空港でのPCR検査を行わなければ、水際対策にならない。今一度、「水際対策」という言葉の意味を噛みしめたうえでの、厳格なルールの策定と徹底した運用が求められている。

東洋経済オンライン

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最終更新:1/13(水) 18:01

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