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GAFAMに忍び寄る反トラスト法訴訟。そもそも反トラスト法とは。そして何が問題なのか?

1/8 10:18 配信

The Motley Fool

2020年10月にグーグル社(アルファベットの子会社)(NASDAQ:GOOGL)(NASDAQ:GOOG)が司法省から提訴され、12月にフェイスブック社(NASDAQ:FB)も司法省および多くの州から提訴されました。

その根拠となっている法律が、反トラスト法です。

この法律は過去にもマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)を提訴した根拠にもなった法律です。

そして、それ以前にはAT&Tの分割も行わせた法律です。

企業活動に比較的寛容なアメリカではありますが、この法律はあまり甘く見ない方が良いと思っています。

今回は、これがどういう法律かということの概略をご紹介すると同時に、マイクロソフトの際との比較と、今後の影響などを考えてみたいと思います。
反トラスト法とは
反トラスト法とは、一つの法律ではなく、「シャーマン法」「クレイトン法」「連邦取引委員会法」の3つの法律の総称です。

この反トラスト法は、自由主義経済を守るため、巨大独占企業の行動を制限するために、連邦レベルで制定された法律です。

その背景には、市場の自由競争に完全に委ねていた結果として、最終的に自由主義経済の発展への弊害や、消費者への不利益な状況が起こってしまったことがあげられます。

反トラスト法の中核規定の一つであるシャーマン法第1条では「州間の又は外国との取引又は通商を制限する、全ての契約、トラスト若しくはその他の形態による結合又は共謀は、違法であると宣言される」と定めています。

談合・カルテル・トラストなどが禁止行為として定められています。

この規定の解釈から、反競争的行為も禁止行為とみなされるようになっています。

現在では、この反競争的行為という観点からの提訴の方が多いかと思います。

自由主義経済、市場主義経済が、全体最適をもたらすものとして信じられてきましたが、実際には経済理論で言う「市場の失敗」という状況が起きてしまっています。

すなわち、市場メカニズムに決定を委ねた結果として、効率的な資源配分を実現することを阻んでしまうことが起きるということです。

簡単に言えば、例えば、ある企業があるビジネスでほぼ独占的な状況になってしまうと、価格体系やサービス体系も最適ではなくなります。

競争がないことで、価格は下がりにくくなる、と言えば分かりやすいかもしれません。
グーグル提訴の理由
今回のグーグルの提訴にあたって、司法省が上げた理由は以下のようなものです。

アンドロイド提供先に自社の検索アプリ(Google)を初期搭載させ、競合他社サービスの初期搭載を禁じる排他的契約を結んでいること
アップルやサムソンなどのデバイスメーカーに毎年数十億ドルを支払い、自社サービス(検索エンジン、OS、ブラウザ)を標準装備として搭載するよう促し、競合他社の成長を阻害している
結果として、米国におけるインターネット検索の約90%、モバイル検索では95%をGoogleが独占している
圧倒的な検索エンジンのシェアを利用し、インターネット広告でも独占的な立場を築き、小規模な競合他社の参入を阻害している
健全な競争を阻害する戦略により、消費者の選択肢を減らし、引いてはイノベーションを抑制している

「排他的契約」検索サービスの独占状況、その独占状況の利用でインターネット広告でも独占的状況を作り、小規模競合他社の参入を阻害するなどが具体例として提訴の理由になっています。

全体としては、そのような巨大化し独占的な地位を持っていることで、「健全な競争の阻害」を行い、「消費者の選択肢を減らし」、「イノベーションを抑制」していることが問題である、ということです。

グーグル社として、そもそもそんなことを企図して、そうした地位を築いた気はないでしょう。

競争に勝つための戦略の中で築いてきた地位ですし、彼らは独占的地位に甘んじていると、イノベーションが猛烈な勢いで進んでいる中では、あっという間に競合に遅れをとってしまいます。

そして、競合しているのは、検索エンジンを開発している会社だけではありません。
マイクロソフト提訴との共通点
今回の提訴の理由は、1998年のマイクロソフトの提訴の理由と似ています。

OSでの独占的地位により、インターネットブラウザ(Internet Explorer)を標準ブラウザとしてバンドルしており、排他的取引を要求していたことなどが提訴の理由でした。

連邦裁判所では、マイクロソフトの反トラスト法違反が認定され、OS部門とアプリケーション部門の分社化などが命じられました。

マイクロソフトの控訴により、地裁差戻になり、最終的に和解決着までに12年の年月を要し、多大な時間とコストを割いています。

その直接の結果ではないかもしれませんが、マイクロソフトはスマホ対応が完全に遅れてしまいました。
トラスト法に意味はあるのか?
マイクロソフトのケースでも大変もめた訳ですが、20年ほどの間に社会の状況、技術革新の状況も大きく変わってきています。

現在の巨大テクノロジー企業の成功が、プラットフォーム化に成功していることにあるからです。

そしてこれは、インターネットの普及によってもたらされたもので、利用者・消費者にとっても独占的な方が便利であるということです。

皆と同じものを使っている方が、相互の通信や互換性の観点から便利になります。

利用者が増えれば増えるほど、そのサービスやインフラの価値が高まるというネットワーク効果によって、グーグル、フェイスブック、アマゾン、あるいはウーバーなどが勝者となっています。

消費者にとっても、プラットフォーム化した企業のサービスを使う方が便利であることが多く、不利益を被っているという意識はあまりありません。

こうした状況を勘案すると、独占的な地位であることそのものが、本当に問題なのか、という疑問も沸きます。

その地位を利用して明白な競争阻害行為を行っているかどうか、というところにフォーカスされるべきなのかもしれません。

司法省は、グーグル社の分割を求めていますが、グーグルがトラスト法違反を行っていると判定されたとしても、分社化はかえって消費者にとって不利益かもしれません。

構造的な措置ではなく、当該行為をさせない措置を、和解などで決着していく方向ではないかと想像しています。
まとめ
この訴訟の影響と株価という観点で考えた時、現時点では判断が付きにくいかと思いますが、決着がつくまでかなりの時間と労力、そして訴訟費用を使うことになります。

マイクロソフトの株価はITバブル時には他のIT企業同様に上昇しましたが、連邦地裁での敗訴を機に、ITバブルのピークを前に下落しています。

その後も株価はパッとしない状況が続きました。

企業分割や過去の買収の巻き戻しのようなことは起きないかもしれませんが、今後の企業活動、特にM&Aに対してはより厳しい制約条件が付く可能性が高くなります。

それは、将来のコストとなって返ってくる可能性があります。

この反トラスト法違反として目を付けられているのは、グーグルやフェイスブックだけではありません。アップル(NASDAQ:AAPL)も同様です。

まだまだ始まったばかりですが、グーグル社にとっても、フェイスブック社にとっても、マイナスをどれだけ抑えられるか、という点で考えた方が良い案件です。

この裁判でクロとされて、何らかの措置が和解によって実施されると、それによって新たな企業が台頭してくるかもしれません。

マイクロソフトの和解案によって、グーグルにとって成長しやすい環境が出来たように、歴史は繰り返すのかもしれません。

The Motley Fool

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最終更新:1/8(金) 10:18

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