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報道されない「男性の失業率」の増加、実は「雇用崩壊」の超危険シグナルだった…!

12/6 8:01 配信

マネー現代

コロナ禍で男性の失業率増加に拍車

(文 鷲尾 香一) 雇用の崩壊が迫っている。完全失業者数の増加に歯止めがかからず、雇用調整はついに非正規雇用者から正規雇用者に及び始めている。

 現時点では、政府の雇用調整助成金の拡充が、辛うじて失業者の急激な増加を抑えている。しかし、“金の切れ目が縁の切れ目”ではないが、同助成金が切れれば、雇用は急速に崩壊に向かうだろう。

 総務省が12月1日に発表した10月の労働力調査によると、10月の完全失業者数は215万人となり、前年同月比で51万人増加し、9か月連続の増加となった。

 表1は「完全失業者数の推移」、表2は「完全失業者数の前年同月比」をグラフ化したもの(総務省の労働力調査から筆者作成。以下、各表とも同じ)。

 表1の通り、「完全失業者数」は6月にわずかながら減少に転じたものの、その後、7月から再び増加、8月には200万人を超えた後も増加の一途をたどっている。

 特に、男性は8月118万人→9月125万人(7万人増加)→10月134万人(9万人増加)と、失業者の増加が“スピードアップ”していることが懸念される。

 完全失業者の増加がはっきりとわかるのが、表2の完全失業者数の前年同月比だろう。9か月連続の増加はもとより、10月には男性は前年同月比では36万人、女性も同14万人の増加となっており、男性の失業者増加に拍車がかかっていることがわかる。

 これに伴い、表3の「完全失業率(季節調整値)」も上昇を続けており、8月に3.0%を超えた後も止まる気配はなく、10月は3.1%となっている。繰り返すが、失業率でも男性の上昇が顕著だ。

労働者はいても「仕事に就けない」

 さて、就業者数を見ると、10月は6692万人と前月よりも5万人増加(男性は6万人の減少、女性は11万人の増加)したものの、表4の通りに「就業者数の対前年同月比」で見ると、93万人の減少と7か月連続で減少している。

 失業者数の増加は、10月の労働力人口が6910万人と前月よりも13万人増加している一方で、就業者が5万人の増加にとどまったことによる。

 問題は、4月の政府による緊急事態宣言発出を受け、休業要請などにより非労働力化した労働者が、緊急事態宣言の解除以降に労働市場に戻ってきているにもかかわらず、“仕事に就けない”こと。それが失業者数の増加に結び付いている。

 これは、雇用者数を見ると明らかだ。10月の雇用者数は5998万人と前月から37万人増加しているが、表5の通りに「雇用者数の前年同月比」では10月は48万人減少し、7か月連続の減少となっている。

 正規、非正規別では、正規雇用者が3535万人と前年同月比9万人増加し、5か月連続の増加となっている一方、非正規雇用者が2111万人と同85万人の減少し、8か月連続の減少となっている。

雇用調整はいよいよ「正規雇用者」へ

 ここで繰り返し述べてきた“男性失業者数の増加”が大きな問題となってくる。

 表6の「雇用者数の前月からの変化」で見るとわかるように、非正規雇用者は4月に131万人の大幅減少したあとは、5月26万人増加、6月、7月は1万人減少、8月は27万人増加、9月9万人増加、10月32万人増加と、6月、7月を除いて増加している。

 一方で、正規雇用者は4月に57万人増加したものの、その後は増加と減少を繰り返し、その上、増加幅は小幅にとどまっている。

 この傾向は表5の「雇用者数の対前年同月比」からも読み取ることができる。

 非正規雇用者は、前年同月比で9月は123万人の減少だったものが、10月には同85万人の減少まで減少幅が縮小しているのに対して、正規雇用者は9月に同48万人の増加だったのが、10月には同9万人と増加幅が大きく縮小している。

 これは「非正規雇用者の雇用調整が終わりに近づくとともに、正規雇用者の本格的な雇用調整が始まったシグナル」と見て取ることができる。それが、“男性失業者数の増加”に表れている可能性が高い。

安倍政権の失敗と菅政権に期待すること

 筆者は4月28日の「新型コロナ禍の後に待つ『大増税・大不況』というさらなる災厄」で新型コロナウイルスは、政府の緊急事態宣言が解除されても、第2波、第3波が押し寄せる可能性があり、失業者の増加が続く可能性が高いと警鐘を鳴らした。

 特に就職氷河期の再来により、第2就職氷河期世代が生まれる可能性があり、雇用対策の必要性を指摘した。

 安倍晋三前首相は辞任表明の記者会見では自らの功績を問われ、「400万人の雇用を生み出した」ことをあげた。筆者はこれまでに、生み出された雇用のほとんどは非正規雇用だったことで、安倍政権の雇用政策が失敗したことを指摘してきた。

 これに対して、一部のエコノミストなどが、「自らの希望で非正規雇用を選択している人は多く、安倍政権は着実に雇用を生み出した」と評価している。しかし、就職氷河期世代で非正規雇用に就いている人たちの多くは、“正規雇用されない”から非正規雇用に甘んじているのが実態だ。

 そして、新型コロナウイルス禍によって、非正規雇用者は大きな苦難を味わっている。さらに、その苦難は正規雇用者にまで波及する危険性が高まっている。改めて、菅首相は雇用対策に注力するべきだ。

マネー現代

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最終更新:12/6(日) 15:25

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