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みずほ銀行が覚悟する融資要請の“第2波"

12/5 6:01 配信

東洋経済オンライン

新型コロナウイルスの感染が再拡大し、一度は落ち着いた企業の資金繰りに再び火がつく可能性が高まりつつある。企業の支援要請に銀行はどのように対応するのか。みずほ銀行の藤原弘治頭取に聞いた。

■事業継続のアドバイスも重要に

 ――足元では、新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。

 ここまでは、官民を挙げて資金繰り支援に対応してきた半年間だった。みずほも資金繰り支援にあたり、ピークの2020年6月時点で1万6000件、金額にすると17兆円の融資を受け付けた。足元で実行済み・実行予定の金額では、コミットメントラインの枠設定も含め11兆円にのぼる。

 これによって、大企業は2021年度通期あるいは上半期までの目線で資金繰りの手当てが終わってきていると考えている。一方、中小企業にはばらつきがある。中小企業の手元現金は月額売上額の1.9倍くらい。2020年末から2021年3月末にかけて、融資の“第2波”が来る可能性がある。

 銀行はこれまで進めてきた政策保有株式の削減によって、資本に余裕ができている(リスクをとった融資ができる)。この余力を劣後ローンなどにシフトし、ビジネスの共創をしていきたい。資本性資金の調達で、大企業は社債発行などの際の格付けを維持できる。

 ここまではとにかく資金提供だったが、事業継続のアドバイスも必要だ。例えば、事業承継。日本の中堅中小企業が360万社あるが、そのうち127万社には後継者がいない。

 コロナ禍は経営者にとって、自分の会社をどうするか考える機会になった。半年を経て、事業の承継をしたり、どこかに(事業を)売却したりといった次のステップを企業にどうするかなどをアドバイスすることも大事だ。

 ――銀行が企業に提供するものは融資だけではなくなってくると。

 そうだ。行員には能動的に提案活動をするように伝えている。顧客からの相談を待つのではなく、まずは対話する。顧客との接点はコロナ禍でかなり増えてきた。

 私自身もトップ対話を増やしている。電話やメールも含めて、平時の2倍くらいの接点を持った。トップの人は経営課題を考える際、社員に相談できず、孤独だ。そこで銀行(の首脳)が相談にのる。

 共通して顧客が言うのは、「潜在的な課題が顕在化した」ということ。課題解決に当たり、銀行、信託、証券をはじめ、さまざまな機能を持っているグループ力の見せどころだ。

 ――そうなると、銀行同士の差別化も進みますね。

 特にメガバンクは、日本全国、世界にネットワークがあり、顧客同士をつなぐところに大きなアドバンテージを持っている。中堅中小やスタートアップにも顧客基盤を持っている。ここでいかに「つなぐ役割」を果たせるかが重要だ。

 ――この半年で感じた変化はありますか? 

 (われわれが)メインバンクでない企業から相談を受けるケースが増えた。官民を挙げた支援でお金の出し手はたくさんあっても、知恵の出し手は多くない。「次世代金融」という言葉を掲げているが、産業調査部なども含め、非金融分野にも活躍のフィールドは広がりつつある。

■みずほにとっての「次世代金融」

 ――「次世代金融」のイメージは人によって異なるようにも思えます。みずほ自身が考える、次世代金融とはどんな姿でしょうか。

 一言でいえば、課題解決業だ。

 金融に限らず、顧客の課題を解決する。その解決の手段として金融を持っているイメージだ。

 日本は課題先進国。このビジネスモデルを国内で確立できれば、後々、海外でも展開できるはずだ。

 ――それはコンサル業に近いイメージですか? 

 コンセプトを作る仕事ではなくて、お客様にアクションプランまで含めて提案し、現場の実践まで寄り添う。金融という手段での実践もできる。

 そのためには、外部との連携も欠かせない。みずほは、「オープン&コネクト」と掲げている。すでにLINE銀行やソフトバンクとの連携のような施策もあり、これを増やしていくことも重要だ。

 ――現在の外部連携はすべて金融につながるサービスです。非金融分野の連携やサービスも出てくるのでしょうか。

 連携するときには互いに強みがないといけない。今、みずほが提供できるのは金融プラットフォームになる。

 ただ、今年11月に「Mi-Pot」というサービスを始めた。データを法人に提供するビジネスだが、これは銀行法改正で可能になったビジネスだ。規制緩和で、銀行グループとしてできることも広がっていく。非金融の領域もこれから広がってくる。

 ――次世代金融を目指すに当たって、人事制度改革も進めています。

 一言でいえば、働きがいを感じてほしい。これまでは会社がアサインする人事だったが、自らデザインする人事に変えていく。改革は、時間・場所・方法の3つを変えていく。

 まず、自分の時間については、週休3日、4日制を導入した。みずほで働いていない時間に、資格を取ったり、家事をしたり、地域活動に参加したりという選択肢を提供する。

 場所については、この11月に丸の内タワーが竣工した。集中して作業できるブースもあれば、みんなでワイワイガヤガヤと議論をするような開けたスペースもある。どこで仕事をするかも、自分で選んでもらう。方法の部分では、兼業副業の解禁などがある。

■「囲い込み」という言葉が大嫌い

 ――週休3日、4日は導入したくでもできない企業が多いです。人が余っていて、コスト削減だという声もあります。

 完全な選択制なので、コスト削減の意図はない。コスト削減なら、もっと別のやり方をしないといけない。

 次世代金融は、今までの連続的な仕事の延長線上にはない。異なる企業から、同じ課題が出てくることもない。とにかく今までのように建物の中にいてはダメで、外で課題を感じなければ、提案もできない。

 外に出る中で、そちらが本業になることだってありうる。私は「囲い込み」という言葉が大嫌い。囲い込むよりも、みずほを選んでもらえるような魅力的な環境を作ることが必要だ。

 ――今のみずほにその魅力はありますか。

 まだ道半ばだ。

 ――何が不足していますか。

 まずは、運用が伴わないといけない。新しい働き方を提示しているので、(従業員には)挑戦してみてほしい。事例が出てくればロールモデルができてくる。それを作っていくことがこれからの課題だ。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/5(土) 6:01

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