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捨てるゴミでわかった「普通の金持ちと大富豪」の圧倒的な差

12/5 6:01 配信

東洋経済オンライン

捨てるゴミでその人が「お金持ちかどうか」がわかるというゴミ清掃芸人の滝沢秀一氏。彼がゴミ清掃の現場で見た、「ちょっとしたお金持ち」と「普通のお金持ち」「ものすごいお金持ち」の捨てるゴミの違いについて解説。『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと』から一部抜粋・再構成してお届けする。

 大量の洋服が定期的に排出されるのは一般的な家庭が多い。洋服は自己投資のひとつではあるが、新品に近い洋服が多いと散財に見える。トップクラスの高級住宅地では使い古した婦人用の洋服が1枚入っている程度のもので、大量に洋服を捨てるという光景は見たことがない。

 ゴミにはその人の哲学が含まれていて、その集合体は地域柄を表している。これはもう「ゴミ社会学」ではないかとよく言っているが、その考えは今でも変わっていない。

■高級住宅地ほど「圧倒的にゴミが少ない」

 結論から言うと、最高級クラスの高級住宅地は圧倒的にゴミが少ない。後々、詳しく説明するが、SSランクの金持ちが最もゴミが少ない。客観性を保つため、ベテラン清掃員何人かに取材した。

 「昔の金持ちはどんなゴミ出してたんですか?  バブルの頃とか」

 「え?  金持ちのゴミ?  あー、昔から金持ちはゴミ少ねえよ、お前も本に書いてたじゃん、そのとおりだよ」

 「へぇー、昔から?」

 「昔からだよ。ちなみに昔は質屋しかなかったから、彼氏と別れたのかわからねえけど、高級な腕時計を捨てていたとかはあったな。まだ動いているやつ。質屋はなかなか行けないじゃん?  今はネットで売れるから、そんなのは見なくなったけどな。時代が浮かれているってのはあったけど、それでも、ほかの地域に比べたら少なかったよ」

 時代とともに回収する物は変化しても、本質は変わらないのかもしれない。30年も40年も前から変わっていないので、向こう30~40年先の金持ちの心理も、そうそう変わらないだろう。一般庶民も本質的にはそんなには変わらないと思われる。

 ゴミ清掃員を何年間もやっていると、お金持ち、一般庶民の家庭に限らず、「なんでこれにお金を払ったのだろう?」ということばかり考えるようになった。何に金をかけて、その結果、どうなりたくて、どんな気持ちになりたくて、これを手に入れたのだろう?  そしてその傾向はどんな人たちに多いのだろう? と考えながらゴミを回収し続けた。

 さて、今回の本題。高級住宅地にもランクがあるという話だ。

 高級住宅とひとくくりに言っても上中下がある。ゴミを見てランク分けしたのだが、これが不思議なことに、ネットで土地の相場を調べてもきっちりそのランクにあてはまるから面白い。高級住宅地とその他の住宅地と分けて考えるのはあまりにも雑なので、高級住宅地の中でもランクによって特徴を抽出する。なお、六本木ヒルズ的なところは、担当していないので含まれていない。

 ちなみにゴミの話ではないが、全金持ち地域に共通して、正月は玄関に飾るしめ縄率が高い。一般家庭でも見られるが、比べ物にならない。高級住宅地の全家庭と言えるくらい、しめ縄を飾っている。これは信心深いというより、しめ縄を飾る楽しみに気の回る余裕があることを意味する。

 あと意外なのは、太った人をあまり見ない。汚い格好をしている人はいるにはいるが、SNS等で見かける「私は成功者だ」と言っている小太りな金持ちは、ここにはいない。きっと僕の回っているところは、生粋の金持ちで、成り上がった人たちとはまたタイプが違うのだろう。

■「ランク梅」の高級住宅地

 では、高級住宅地の「下」から話したい。高級住宅地の「下」というと、よくわからないパラドックスが生まれるので、うな重みたいに「梅」と名づけよう。誰が高級住宅地の「下」だよと怒られてはかなわない。

 高級住宅地の梅は、一般庶民と変わらず、スーパーでも買い物をする。ゴミ袋も指定のものがなければ、スーパーの袋で出すこともしばしばある。その中にさらりと松坂屋の紙袋が入っているので、そうかここは高級住宅地なんだと再確認させられる。その松坂屋や高島屋の袋の中からビニール袋に入れられた生ゴミが出てくると不思議な気分になる。お金持ちもこうして生活しているんだなあ、と金持ちだけ異空間で生活している訳ではないことを示す。しかし毎回高島屋の紙袋でゴミを出すご家庭があるので、やはりここは高所得者のご自宅。

 ただ、梅の高級住宅地は、一般庶民とそう遠くない生活をしている。先日、清掃車の回転板を回したときに、残したカレーが飛び出してきた。ふふふ、金持ちでも本当の一流にはまだまだ遠い金持ちだな、本当の金持ちはこんなゴミの捨て方をしない、と、まるで自分が最高峰高級住宅に住んでいるような勝ち誇った顔に、カレーがぶっ掛かったものだった。

 この地域の住人が好んでいるものは、オーガニック食材宅配サービスだ。よく見る。いくらくらいかかるのだろうとネットで調べてみたところ、スーパーと併用すると月の食費が1、2万円高くなる程度だった。頑張ったら出せない額ではないが、毎月この出費が重なるとなかなかの痛手だと思える値段設定。梅金持ちは、何でもかんでも手当たり次第物を買うのではなく、このような出費が続いてもへっちゃらな体力がある。

 金持ちも手軽さを求めるんだと共感する一方、考え方によってはお金で時間を買っていると感じさせる。僕なんかはやはり、節約するために手間を掛けてしまう。夏には節約のために手作り経口補水液を作って持っていくあたり、もはや変態の域に達している。

 ただ、ここの地域の残念なところは、食品ロスも少なくない。賞味期限が切れそうな備蓄用のレトルトカレーが一気に出されたり、多少しなびたかなーという程度の丸ごとキャベツ、大根、ニンジン、変わり種だと大量のウェハース(もらったのか? )などが出できたりする。

 あと、ここによく出てくるのは、剪定(せんてい)された葉や雑草だ。庭があるのだ。地味なことだが、都内の、しかも高級住宅街で庭付きなのがどれだけすごいか。都会から離れた地域の人はあまり理解できないかもしれない。

 しかし、売れない芸人から見ると、その収入は天文学的数字。ただ、これが梅の金持ちではなく、最高峰の高級住宅地の松だと、そこまで剪定された葉が出てこない。おそらく業者が刈り、そのまま引き取っているからだろう。梅のお金持ちの方は、業者に頼みつつも排出は自分でするか、もしくは時間に余裕があるのか自分で雑草を抜いているのかもしれない。少し親しみが湧く。金持ちになったから万々歳という訳ではなく、庭を維持するために労力を必要とする。

 ほかにも、回転板に挟まれて、大量の旅行の写真が飛び出してきたことがあった。終活で処分しているのだろうか、大量の夕日の写真だった。人が映っておらず、プライバシーに関する物ではないが、いろいろなところを旅行したのだろうと想像させる夕日だった。人生の中でその人がどのように楽しんで生きてきたのか、スライドで見ているようだった。うちなんて家族そろって旅行なんてそうそう行けない。これだけ旅行に行けるとは、まあそういうことだ。

■「ランク竹」の高級住宅地

 続いて竹の高級住宅地。ここでは目を凝らすと、生活ゴミの中に見慣れない美容液が出てくる。松や梅もそこそこ出てくるが、高級美容液はランク竹の高級住宅地から出てくることが多い気がする。

 僕は男性なので、美容系の物にあまり詳しくないが、CMやドラッグストアで見かける有名なものではないことくらいは判断できる。お金持ちの使うものに興味があったので、一度だけ、出てきた美容液を調べたことがある。商品名は伏せるが、アンチエイジングシリーズと記されており、価格は3万9800円だった。腰が抜けそうになった。え?  こんな7、8センチ程度の大きさの物が3万9800円!? と声が漏れた。

 もうひとつ言えることは、今はもう当たり前になっているウォーターサーバーだ。水を入れるでっかいペットボトルみたいなやつが金持ち地域で出始めた頃、こりゃ一体なんだげと思った。今ではウォーターサーバーのペットボトル自体を見なくなったが、当時は宇宙人でも見るような目で観察したものだ。

 アンテナが立っているお金持ちに商品が浸透して、値段が落ち着いた後に、一般家庭に降りてくるパターンが世の中にはありそうだ。企業の動きが見えて世の中が面白くなってくる。そんなこと、みじんも考えないで生きてきたのでこういう点で考えてもゴミ清掃めっちゃ楽しい。

 見識が広がる、ちゅーもんだね。ただ竹の高級住宅地も、一般住宅地と変わらないなぁとガッカリすることも事実としてある。中にはクレーマーがいるのだ。

 それは、僕が小さい頃から地名を知っていて憧れてもいた金持ち地域でのクレームだった。

 「朝から出していたのに、何で回収してくれないんですか?」

 どういうことだ?  完全にうそなのに何でそんなことを言うんだ?  いつもゴミが出ているのに運転手も含めてもうひとりの清掃員と3人で「この家、出していないっすねー」という会話をしているから、間違いなく朝出し忘れている。そんな言い方をするなんて、金持ちけんかせずと言うけど、本当なのかねえなんて話をしていた。

 仕方がなく回収に行くと、一軒だけポツンとポリバケツを出していた。「間違いない。こんなの出てなかった。ここだけ取らないなんてねえよな」と運転手がつぶやいた。「本当ですね。あ、いいですよ。俺端っこに座っているんで、取ってきちゃいます」と言って車から降りた。ポリバケツからゴミを取り出したときに、なるほどー、そういうことかーとうなずいた。

■ポリバケツで悟った「人生の困難」

 ポリバケツの底が得体の知れない水分で汚れているのである。

 なるほど、なるほどー。神は細部に宿るとはいうが、それを象徴している。ポリバケツ自体が汚れているのは、きっとお手伝いさん的な人を雇っていないからだろう。憧れの金持ちの地域に住んでいても、人生のゴールではないと、まざまざと見せられた気がした。高級住宅地に住んでも、生活は続く。住んだら人生、成功ではない。成功とは、生活し続けることだと、僕はそのポリバケツで悟った。

 見えもあるだろう。周りがしている生活を自分もしない訳にはいかない。隣の奥さんが持っているバッグと同等の物を持たなければならないのかもしれないし、アンチエイジングシリーズを買って、隣の奥さんとも張り合いたいのかもしれない。

 この地のゴミを見てから、僕は、金持ち地域に住んでも生活が圧迫されていれば、手放しでうらやましいとは思えなくなった。わからないよ。予想でしかないから。しかし清掃員である僕は、ほかの家はポリバケツの底も締麗にしてあるのを見ているので、ここだけ汚いのはそれなりに理由があると思う。ゴミ清掃員もただゴミを回収しているだけではない。

 中には住む土地が自分のアイデンティティーの一部になって、無自覚に苦しんでいる人もいる。身の丈に合う物に囲まれることが、いちばん幸せなのではないかと考えさせられる回収であった。高級住宅地にも高低があると思いながら、僕は取り出したゴミを清掃車に放った。

 さてさて、本題。正真正銘のモノホンの、厳選熔煎の金持ちはどのようなゴミを出すのか?  これはもう冒頭に説明したように、めちゃめちゃゴミが少ない。

 本当にゴミを厳選しているのではないだろうか?  めちゃめちゃというよりめためた質素である(どういう意味だっ)。いや、質素というと語弊がある。高級ワインが入っていただろう木の箱やら、直送の海の幸が入っていただろう発泡スチロールの箱が時折出て、豪勢の片鱗は見せる。だが、生活ゴミ自体は極端に少ない。

 欲しい物はすべて手に入れて、そのほかの物には価値がないと主張するように、不必要な生活用品は出てこない。僕はこの土地の資源を回収したことがないから、あまり詳しくは語れないが、チラリと通ったときに見る限り、缶やびんもあまり多くないように見えた。

■金持ちが捨てる「謎のゴミ袋」

 一方で、謎の「ゴミ袋」がこの地域から頻出する。一体こりゃ何の袋だ!? とよく首を傾げたものだ。この袋でゴミを出す家庭は1軒や2軒ではない。持ち手がオレンジ色で破けにくい、強度のあるゴミ袋、だ。ほかのゴミ清掃員に聞いても、わからねえんだよと言うばかりで謎は深まった。

 しかし滝沢清掃員が全力で調べたところ、クラッシュボックスと呼ばれるゴミを圧縮するゴミ箱の専用袋か、もしくは大型スーパーで売られている割高のゴミ袋のどっちかだと判明した。クラッシュボックスとは、3万円弱のゴミ箱で、上から圧縮してゴミを小さくする特別なゴミ箱、だ。ゴミが小さくなるということは出す回数が減る。

 自分ちを思い起こせば理解できるものね。リサイクルできない、どうしても捨てなければならない紙や油の入っていたプラ容器などを可燃ゴミに入れるけど、結構かさ張るもんね。これをギューと押し潰せば、確かに袋の中にまだまだゴミが入るので、捨てる回数も減る。ゴミが少ない秘密はこれなのか? とさえ思う。

 もう1つの可能性、大型スーパーで売られている割高の袋の価格は、単純計算で1枚11.5円。わが家で使っているのは計算すれば1枚6円程度。5円ぐらいの差でも、枚数を重ねていけば、差は聞いていく。

 これが金持ちの底力。

 誰も見向きもしない、捨てるだけのゴミ袋にまで、庶民代表の滝沢と差をつけてくる。生活の最後に考えるようなゴミ袋にまで差があるのかと思うとクラクラする。ゴミにまで金をかけられる、気を回せる余裕があることが金持ちならではのゴミの悟りの域。これはもう凌駕と言ってもいいのかもしれない。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/6(日) 14:21

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