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あなたの大切な退職金が標的に!? リスク金融資産との“抱き合わせ販売”に要注意

12/5 20:01 配信

LIMO

サラリーマンがまとまったお金を一度に手にする機会、それは多くの場合、退職金(正確には退職一時金、以下「退職金」)をもらうときではないでしょうか。

退職金はその後の生活を左右する重要なお金

2000年代以降、企業の退職給付制度の見直し・多様化により、必ずしも退職時にまとまった金額を手にするというわけではなくなりました(退職金の分割前払い制度など)。それでも定年を含めて長期間勤め上げた人には、退職金が今後の生活を左右する重要な財源になることは間違いありません。

また、定年を待たずに早期退職を適用した人にとっても同じ状況と言えるでしょう。特に今年は、一連のコロナ禍の影響により、年内一杯で退職する人は例年以上に多いと考えられます。

退職金の額は、職種、勤務期間、勤務時の待遇面、勤務先の業績など様々な要因で異なるため、支給される金額は数百万円~数千万円と幅広くなります。しかし、絶対金額の大小にかかわらず、その人その人にとって極めて大きな金額であることは確かです。

ほとんどの人にとって、退職金の受領は、人生で「最大」の金額を手にする「最後」の機会と言っていいでしょう。

退職金を標的とする金融機関の商品・サービスは多い

したがって、この退職金の使用・活用は、慎重の上にも慎重を期すべきであることは言うまでもありません。ギャンブルや無計画の浪費は論外であり、リスクの高い投機的な投資も避けるべきです。

確かに、65歳など一定年齢に達すると多くの人は(退職金とは別に)年金を受給できます。しかし、ある程度の余裕がある老後生活を過ごすためには、それだけで十分でないことは、昨年大きな話題となった「老後の2,000万円不足問題」を持ち出すまでもなく明らかではないでしょうか。

ところが、世の中には、そうした退職金に焦点を当てたビジネスが数多くあります。ビジネスということは、相手が利益獲得を目的にしていることであり、言い換えれば、重要な退職金が“標的”にされていることを意味します。

その典型例の1つが、金融機関(主に信託銀行やメガバンク等)の“退職者向け特別プラン”という類の金融商品です。これは、支払調書などで退職金であることが証明された資金に対し、優遇金利や無料相談などを提供し、資金預入に結び付けるサービスを指します。

金融機関による特別キャンペーンは、夏季・冬季の賞与支給時にも多く実施されますが、退職金向けの特別キャンペーンはそれを大きく上回る好条件になっているケースがほとんどです。

「3カ月定期預金が年7.00%(税引前)」はこの上なく魅力的だが…

それでは、その商品(サービス)を具体的に見てみましょう。

一例として、ある大手信託銀行が提供する商品(キャンペーン)を取り上げることにします。その商品は「退職金特別プラン~退職者とそのご家族限定」というネット広告で、様々なところで見ることができます。そこからHPにアクセスすると、「定期預金コース」と「投資運用コース」の2つが紹介されます。以下、見出しの抜粋です。

 ・定期預金コース:スーパー定期3カ月 年0.80%、新型定期預金3年 年0.20%
 ・投資運用コース:スーパー定期3カ月<運用50タイプ> 年7.00%、<運用20タイプ> 年2.40%
この中で断トツに目を引くのが、何と言っても投資運用コースの「スーパー定期3カ月<運用50タイプ> 年7.00%」でしょう。3カ月限定とはいえ、年7.00%(税引後5.577%)です! 

現在、スーパー定期と大口定期の金利は預入期間・金額に関係なく年0.002%(税引後0.00159%)です。つまり、たとえば1,000万円預けても利息が年160円弱(税引後)しか付きません。もう金利とは呼べない水準まで低下しているのが実情なのです。

それが、わずか3カ月で約137,539円(税引後、注)も利息が付くとは、にわかには信じられない商品です。

注:1,000万円×7.00%×(90日÷365日)=172,602円 172,602円-35,063円(税金)=137,539円

投資信託の購入とセットでないと享受できない大盤振る舞いの高金利

これを見たら、“何て魅力的なプランなんだ!”と喜ぶ人がいるのではないでしょうか。しかし、冷静に考えて下さい。この低金利下でそんなおいしい話があるでしょうか。

実は、この商品の内容には続きがあります。実際の商品説明は細かくて長いので、筆者が大枠だけザックリ説明すると、この信じられない高金利(税引前7.00%)を享受するためには、スーパー定期に預入する金額と同額以上の金額で投資信託(含むファンドラップ、以下同)を購入しなければならないのです。しかも、総額(=定期預金+投資信託)は500万円以上でなければなりません。

早い話、投資信託の“抱き合わせ販売”です。商品にあった「運用50タイプ」とは、50%以上を投資信託で運用するという意味だったのです。

再認識するべき「投資信託は元本保証のないリスク金融商品である」こと

言うまでもなく、投資信託は元本保証でないリスク金融商品です。一方で、販売手数料が高く、運用手数料も徴収できる投資信託は、金融機関の収益の柱の1つになっています。

特に、日銀がいわゆるマイナス金利を導入した2016年以降の超低金利時代の下、収益低迷に苦しむ金融機関にとって、投資信託の販売は必要不可欠なものとなりました。そのため、この事例だけでなく、どの金融機関も投資信託の販売を強化しています。

話を先ほどの商品に戻します。たとえば、支給された退職金が2,000万円とします。このうち半分の1,000万円を特別プランの高金利定期預金(年7.00%)に預入するためには、残りの1,000万円で投資信託を購入しなければなりません。確かに、3カ月後には137,539円(税引後)の利息を得られます。

しかし、購入した投資信託が値下がりすれば、その得た利息額は一気に吹き飛ぶどころか、その何倍もの評価損失(あるいは実現損失)を抱え込む可能性があります。目先3カ月間の高金利に魅せられたため、結果的には大切な退職金を大幅に減らすリスクがあるのです。

株高の今こそ、退職金によるリスク金融資産購入には要注意

もちろん、購入した投資信託が値上がりすれば、定期預金の高額利息の何倍ものリターンを得る可能性もあります。こうしたリスクを承知の上で、老後の生活を見据えて退職金をさらに増加する方法を選択するかどうかは、まさしく“自己責任”となりましょう。

もう一度言いますが、投資信託は元本保証でないリスク金融商品です。特に、昨今のような株式相場上昇時には一層の注意が必要です。

今年3月のコロナ暴落時、投資信託は軒並み値下がりして、半減以下になった商品も決して少なくありませんでした。わずか9カ月前のことですが、その後の株高で忘れてしまった人も多いように思われます。あの時、泣きながら下落した投資信託を解約した人は決して少なくなかったと推察できます。

金融機関へ相談するときには「カモネギ」になるな

そうは言っても、人生で最後に手にする多額のお金です。退職金の運用方法などで金融機関にアドバイスを求めたい人も多いと思われます。筆者も決して反対しません。

ただ、何の予備知識も持たず、“全てお任せします”というスタンスで相談しに行くのは絶対に止めるべきです。それは、金融機関から見れば典型的な「カモネギ」(鴨がネギを背負ってやって来る)になるからです。

最後にもう一言だけ言わせて下さい。退職金は人生で最後にもらうまとまった金額です。次はありません。失敗は許されないのです。

LIMO

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最終更新:12/5(土) 23:40

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