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村上世彰がN高で語る「ニトリ、島忠TOB」の評価

12/3 7:21 配信

東洋経済オンライン

2020年10月30日、高校生の前にパソコンの画面越しで現れたのは、投資家の村上世彰氏だ。「物言う株主」として一躍有名となった村上氏は、最近もレオパレスや島忠のTOB(株式公開買い付け)をめぐる動きの中心人物として、話題を集めている。
そんな村上氏が力を入れるのが投資教育だ。2019年5月からはN高等学校の部活動の一つである「投資部」の特別顧問を引き受け、高校生に株式投資の指導を行っている(2019年度の講義は『村上世彰、高校生に投資を教える。』として書籍化)。投資部は村上財団より提供された1人20万円の資金を元手に、株取引をする。コロナ禍において、部員たちは何を考えて投資したのか。そして村上氏が語った投資のアドバイスとは何か。オンラインで行われた、村上氏と部員の面談の様子をお届けする。

■売った株が急上昇、買い直すべきか

 N高投資部部員(以下、部員):飲食のデリバリーの需要が、コロナ禍の中で高まっていると思います。現在はもちろん業績を伸ばしていますが、コロナ禍が終わって通常の状態に戻ったとしても、需要は高まり続けるのではないかと考えました。そこで株を買ったところ、すぐに株価は2~3割上昇し、私としては「一旦ここは売りだろう」と思って手放したのです。

 ところが私の予想は外れて、株価は上がり続け、売却したときから約2倍の株価になってしまいました。その後、少し下落した場面で再び買い戻したのですが、このように一度売った株を、また値上がりしたところで買うことについてはどう思われますか。

 村上世彰(以下、村上):良いと思いますよ。一度売った銘柄をまた買うというのは、その銘柄についてずっと考えていたということです。考えた結果、その会社の将来も考えたときに、株を持っておくべきだという結論になったのなら、それはそれでいいと思います。

 ただ、その会社の将来性が良いと思って株を買ったのなら、もう少し長期的な視点で持ち続けても良かったかもしれないですよね。あなたはその株について、1000円台で買って、少し上昇したところで売ってしまったけど、その後3000円台になったわけだから、惜しかったなと思います。

 将来性の良い株を見つけたとしても、どのタイミングで買ったらいいのか、どのくらい持ち続けたらいいのか、というのはそう簡単な問題ではありません。上昇したところで一旦売却し、下がったらまた買うという方法も悪いわけではありません。

 投資のやり方には1つの正解があるわけではありません。自分にとって良い方法を経験の中から見つけていくことが大切で、そのために今経験を積んでもらっているということなのです。

 一生懸命考えながら投資し、実際に投資した経験からいろいろ学んでください。そして、自分なりの投資のやり方を見つけてくださいね。

 部員:オンライン医療を手掛けている会社が伸びるのではないかと思い、投資したところ、順調に株価が上昇して、利益を得ることができました。事業提携、新規事業など、さまざまなニュースが出て、株価が上がっていきました。こうしたニュースによって投資タイミングを考えることについて、村上さんはどう思いますか。

 村上:ニュースに注目して、投資タイミングを考えるヒントにするのは、もちろん良いことだと思います。ただし、ニュースだから皆が同じ情報を見ているわけです。それを見て売る人もいれば、買う人もいますよね。自分でさまざまな情報を調べて消化して、考えることが大切です。

 ある会社への投資を考える場合には、『会社四季報』の記事から始まり、その会社の決算資料、ホームページ、さまざまな記事やニュースなどできるかぎり情報を集めて考えるということが大事です。そして、その会社の将来性はどうなのか、今の株価水準は割安なのか、ということを自分なりに判断するようにしましょう。

 また、良いニュースが出たから買い、悪いニュースが出たから売り、と単純に判断できるほど投資は簡単ではありません。良いニュースが出ても、それがすでに株価に織り込まれていて、むしろ割高な水準になっているなら、その後下がってしまう可能性もあります。

 逆に悪いニュースが出ても、それがすでに株価に織り込まれていて、かなり割安な水準になっているなら、そこから株価が上がっていく可能性もあります。その会社の資産内容、事業内容、将来性、割安さなどの要素を、すべてよく考えたうえで、「このニュースによって株価は大きく上昇していきそうだ」とか、「このニュースでもまだ買いではない」などと考えてみましょう。

 もちろん、判断が間違ってしまうこともあるでしょう。そのときは、どうして間違ったのか反省することで、判断力が増していきます。さまざまなニュースに接し、自分自身で考えながら投資の体験を積み重ねる中で、投資判断の精度は上がっていくはずです。

■景気や物色傾向の転換点はどう判断する? 

 部員:実はその後、10月になってから、特にニュースがないのに株価が急落しました。注目された結果、株価が上がり過ぎたので、その揺り戻しで下がったのではと思いました。

 けれど証券会社の相場解説を読むと、来年にかけて景気回復期待が高まる中で、株式市場での物色傾向が、ウィズコロナ株から景気敏感株に移りはじめたということが書かれていたのです。景気の転換点や、銘柄の物色傾向の転換点などはどのように判断することができるのでしょうか。

 村上:これは、なかなか難しい問題です。結論から言うと、「こうしたら、景気の転換点や、銘柄の物色傾向の転換点が判断できるよ」というのは、残念ながら無いと思います。もし明確な判別法があるなら、皆がお金持ちになりますね。

 株価が下がった理由についても、景気動向だけでなく、その会社自身の動向、株価の割安さ・割高さなど、さまざまな要因が絡んでいるはずです。ですから、株の売買タイミングを考えるときは、景気動向、企業動向、株の割安さ・割高さなどを考慮しながら、自分で考えて、「もう割高な水準まで来たから株は一旦売っておこう」とか、「かなり割安だし、景気敏感株としてそろそろ浮上しそうだから買っておこう」というように判断していくことが大事です。

 ただ、今の状況に関していうと、新しく発足した菅政権は「景気をなんとか腰折れさせないようにしたい」という意向が強いようなので、今後追加景気対策が出る可能性が高いのではないかと見ています。そうした流れの中では、景気敏感株の株価が回復しやすいかなとは思っています。

 部員:投資部の活動に参加するにあたって、『村上世彰、高校生に投資を教える。』を読みました。その中で、村上さんは子どもの頃から投資をしていたということが書かれていましたが、村上さんが子どものときには、どのようして投資の勉強をしたのですか。

 村上: 私は子どもの頃から、日経新聞と会社四季報を読んでいました。もちろん、これらを隅々まで読むというのは、子どもにとっては大変なことなので、まずは自分が関心のある記事を見つけて読んだり、関心のある会社を見つけて会社四季報を見たりしていました。

 株式投資をやるうえで、日経新聞と会社四季報に親しむというのは、やはり一つの有効なことなのかなと思います。新聞は、ざっと見渡して関心のある記事を読むことから始めれば良いと思います。徐々に関心のあるテーマが広がり、新聞を読む範囲は自然と広がっていくはずです。

 四季報は、全上場企業のデータと近況をコンパクトにまとめた情報誌として、最も優れたものだと思います。ページをめくると、興味をひかれる企業、関心をひかれる投資テーマなどがいくつも見つかると思います。

 このように、投資に必要な情報がいろいろと得られると思いますし、それを元に、今後の経済の流れはどうなるか、どんなビジネスや会社が伸びるのかということを自分で考えることが大切です。

■敵対的TOBの意義とは? 

 部員:10月29日に、ニトリホールティングスが島忠に対するTOB(株式公開買い付け)を行うことを発表しました。ニトリは、島忠の賛同が得られなくてもTOBを強行する、つまり敵対的TOBも辞さないと表明しています(編集部注:11月13日に島忠はニトリの買収提案を受け入れた)。

 敵対的TOBは、村上さんが日本で初めておこなったと聞いています。敵対TOBというと、日本ではあまりイメージが良くないですが、どのような意義があるのか教えてください。

 村上:島忠に関しては、数年前から株を買い、株主として経営の改善を求めてきました。島忠の経営陣が、会社のもつ資源を十分に生かしているとは思えず、企業の価値を十分に高めているとは思えなかったからです。私はこれまで、経営資源がきちんと生かされていない会社の株を買っては、経営改革を迫るということを行ってきました。島忠もその一環です。

 経営資源が十分に活かされていない状態というのは、株主にとって不幸なだけでなく、従業員にとっても不幸なことです。さらに、経済全体が停滞する原因にもなっており、社会全体にとっても不幸なことなのです。

 私としては、投資家として行動を起こすことで、こうした状況を正していきたいという気持ちを常に持っています。上場企業の経営者たちが、経営資源を生かしてまじめに取り組めば、日本経済は大きく浮上できると思っているからです。

 つまり、私としては、まじめにやっていない経営者に対して、「もっとまじめにやりなさいと」と言うつもりで敵対的TOBも含めた「物言う株主」として活動しているわけです。実際に、これまで私が関わってきた会社の多くは、業績、企業価値、株価も上昇させてきました。そのことは株主にとっても従業員にとっても社会にとっても有益なことだったと思っています。

 島忠の件も、ホームセンター大手のDCMとニトリがTOBに乗り出しました。株価はここ数年3000円前後で推移していましたが、ニトリによるTOB価格は5500円でした。ニトリの経営陣から見ると、島忠は5500円以上の価値があるが、島忠の経営陣は経営資源を十分に生かしきれていないと判断したわけです。これによって株主は大きな利益を得ることになり、島忠も企業価値を大きく向上させられると思います。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/3(木) 7:21

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