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【マンガ】日本のデフレがまったく解決しない理由を、皆さんは知っていますか?

12/2 6:01 配信

マネー現代

(文 中野 剛志) ----------
中野剛志著『マンガでわかる 日本経済入門』(講談社)が話題になっている。経済評論家の中野氏は「なぜ日本経済が長期停滞しているのか?」という、誰もが抱く疑問に真正面から切り込み、デフレが終わらない理由から、今話題のMMT(現代貨幣理論)をどう理解すればいいのかを解説している。
Amazonでは、「マクロ経済の入門書にぴったり」「小学校高学年以上、全国民必読」と、とっつきにくい経済書のイメージが変わったとのレビューが多数。そんな同書の第一章では、「日本がデフレから抜け出せない、たったひとつの理由」について解説する。マンガと解説を無料公開しよう(第二章も後日公開)。
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ジャパニフィケーションの原因は?

 長期にわたって経済が停滞し、成長できなくなってしまう状態は、今では「日本化(ジャパニフィケーション)」などという不名誉な名前で呼ばれています。かつて「奇跡」とも言われた経済成長を成し遂げ、1990年代の半ばまでは成長してきた日本経済は、どうして成長しなくなってしまったのでしょうか。

 これまでの改革や経済政策の効果がなかったのは、日本が成長しなくなった最大の原因を取り違えていたからです。それは、ずばりデフレなのです。実際、日本経済が成長しなくなった起点は1998年ですが、この年に、日本経済はデフレになりました。それからずっと、デフレ、あるいはディスインフレ(ディスインフレーション : 物価がほとんど上がらない状態)のままです。

 経済には、インフレ(インフレーション)とデフレの二つの現象があります。 インフレは、需要(消費や投資)が供給よりも大きい状態が続くことで起きます。 買い手が多くて、売り手が追い付かないから、モノの値段が上がっていくわけです。

 買い手が売り手より多いということは、モノがよく売れるということですから、景気がいいということです。企業は、製品を 作れば売れるので、どんどん設備投資や製品開発をして、労働者を雇って、製品をたくさん作って売る。

 労働者はどんどん雇われるし、給料も上がる。給料が上がれば、消費をたくさんするので、また製品が売れる。これが続けば、経済は成長します。つまり、インフレ(需要>供給)になると、経済は成長するということです。

デフレ脱却はシンプルな理屈

 もっとも、石油危機のように、産油国が石油の輸出を減らしたので石油価格が上がったとか、天候不順の不作によって農産物の価格が上がるという場合があります。

 このように、需要が増えるのではなく、供給が制限されることで起きる物価の上昇は、コストプッシュ・インフレと言いますが、コストプッシュ・インフレは経済を成長させるものではありません。反対に、生活を苦しくし、経済にダメージを与えます。

 経済を成長させるのは、あくまで需要がより大きくなることで、供給が追い付かない形のインフレだけです。

 インフレは、「需要>供給」によって起きるものならば、インフレの反対のデフレは、言うまでもなく「需要<供給」によって起きます。 つまり、売り手はたくさんいるが、買い手がいないのがデフレです。

 モノが売れないから、物価が下がるというわけで、これは、景気が悪い状態です。不景気だから、企業は投資をしないし、消費者も消費をしない。働きたくても、仕事がない。給料も下がる。給料が下がるから財布のヒモが固くなる。そうすると、モノはますます売れなくなる。これでは、経済は成長するはずがありません。

 こういうわけで、デフレ(需要<供給)になると、経済は成長しなくなるのです。そのためには、日本経済 を成長させるためには、まずはデフレやディスインフレを脱却し、インフレにしなければなりません。

 かつて日本が経済成長していた頃のマイルドなインフレ(インフレ率が2~4%くらい)に 戻すことを考えてみましょう。第二次安倍政権は、インフレ率2%という目標を立てていましたが、達成できませんでした。

 では、デフレを脱却するには、どうしたらよいのでしょうか。デフレは「需要<供給」によって起きます。ということは、需要を増やして「需要=供給」にすればデフレは脱却できます。

 さらに、需要を供給よりやや多めにすれば、マイルドなインフレになります。ですから需要、すなわち消費と投資を増やせば、経済は成長するということになります。

橋本、小渕政権が進めたこと

 では、消費と投資を増やす政策とは、どのようなものなのでしょうか。 まず、手っ取り早いのは、政府が消費や投資を増やすことです。つまり、政府支出を増やす積極財政政策です。

 ここで改めて、我が国の経済政策を振り返ってみましょう。日本経済は、橋本龍太郎政権時の1998年からデフレに突入しました。その橋本政権は財政構造改革と称して、政府支出、特に公共投資を削減し、消費税率を5%に引き上げました。

 つまり、政府の需要と民間の需要を大幅に減少させたのです。これでは、日本経済がデフレ不況に突入するのも当然です。

 橋本政権の後を継いだ小渕恵三政権は、公共投資を急増させました。おかげで、日本経済は恐慌をまぬがれ、一息つくことができました。もう少し長く公共投資の拡大を続けていれば、日本経済はデフレを脱却し、成長軌道に乗っていたことでしょう。

 ところが、2001年に成立した小泉純一郎政権は「構造改革」を掲げて、再び公共投資の削減を始めてしまったのです。そして、この公共投資の抑制は今日に至るまで、ずっと続いています。

 2008年には、世界恐慌以来と言われるリーマン・ショックが起きたので、当時の麻生太郎政権は、公共投資を急増させました。これは、デフレ不況対策として正しい政策でした。

 しかし、2009年に成立した民主党政権は、「コンクリートから人へ」をスローガンに、公共投資の削減に乗り出しました。それだけでなく「事業仕分け」と称して、その他の政府支出の抑制にも努めました。

 2012年に成立した第二次安倍政権は、公共投資を増やしたかのように言われていますが、実績を見ると、民主党政権時と比べて、それほど増えたわけではないのです。それどころか2014年には、消費税率が5%から8%へ、2019年には10%へと増税されました。

デフレ脱却できなくて当然

 ところが日本政府は、その後20年以上にわたって、小渕政権や麻生政権という例外を除いて、基本的に、デフレ対策である積極財政をしてきませんでした。それどころか、政府支出の削減や消費増税など、いわゆる「緊縮財政」を基調としてきたのです。これでは、デフレから脱却できなくて当然です。

問題は、財政政策だけではありませんでした。 平成の歴代政権、とりわけ橋本政権や小泉政権、そして安倍政権は「構造改革」「成長戦略」と称して、規制緩和、自由化、民営化、そしてグローバル化といった政策を推進してきました。その目的は生産性の向上にありました。

 しかし、思い出してください。 日本経済はデフレでした。デフレとは、需要よりも供給が多い状態です。生産性を向上させるということは、供給力がアップするということです。

 需要よりも供給が多くなり、もっとデフレになります。「構造改革」や「成長戦略」は、デフレを悪化させる政策でした。これでは、経済が成長するはずもありません。

 日本経済が成長しなくなった理由は、ひと言でいえば、インフレ時に行なうべき政策を、デフレ時にやり続けているからです。

マネー現代

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最終更新:12/2(水) 6:01

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