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科学が明らかにした「友だちは数か質か」論争の正解

11/30 5:50 配信

東洋経済オンライン

友だちは「数」か、それとも「質」が大事なのか?  こうした何気なくも、判別をつけにくい問題の答えを、科学はすでに明らかにしていました。「友だちは多いほうが幸せになれる理由」を明治大学法学部教授の堀田秀吾氏による新刊『図解ストレス解消大全』より一部抜粋・再構成してお届けします。

 友だちの数は多いほうがいいのか、それとも親友と呼べる人だけが数人いれば友だちなんてそれほど必要ないのか。友だちをめぐる「数」と「質」のテーマは、誰もが自分の人生で一度は考えたことがあるはずです。

 このテーマは世界共通のようで、友だちに関する研究は世界各地で行われています。例えば、「交友関係が広い人ほど痛みやがまんに強い」というオックスフォード大学のジョンストンとダンバーの研究があります。

■友人が多い人ほど「痛みに強い」

 実験では、鎮痛作用をもつ神経伝達物質「エンドルフィン」が、社会的なつながりやコミュニケーションによって、どれほど脳内で分泌が促進され、効果に変化が出るかを調べました。

 ジョンストンとダンバーは、「友人が多い人ほどエンドルフィンも多く、痛みに強いのではないか」という仮説のもと、18~35歳の健康な男女107人を対象に実験をしました。

 まず、①外向性、②調和性、③開放性、④勤勉性、⑤神経症傾向からなる「性格5因子」から大まかに個人の傾向を調査し、その後アンケートによって、メールやSNS、電話などの毎月、毎週の頻度、さらには連絡をとる友人の数や関係性、および交友関係を調べました。

 そして、被験者らにいわゆる「空気イス」(イスに座るようにひざを90度に曲げたままの状態を維持する姿勢)をさせ、痛みやがまんにどれだけ耐えられるか時間を測定しました。すると、長くがまんできる人ほど交友関係が広い傾向がわかったのです。逆に考えると、痛みやがまんに強いからこそ、交友関係が広がっていくのかもしれません。

 一方で、友だちは「数」ではなく「質」を重視するという人もいるでしょう。京都大学の内田らは、友だち関係の数と質が幸福感とどう関係するかを、日本人大学生を対象に調査しました。

 調査では、学生たちの生活の中で接触する人を、「家族」のような身近な人、「大学の友人」、そして「バイト先などで交流がある人」などの一般的な人間関係に分け、幸福感や身体の健康との関連を調べました。

 結果、家族・親戚や大学の仲間など身近な人間関係においては、付き合いの数と質と幸福度の間にはさほど関連はありませんでした。ただ、身近な人間関係においては付き合いが多いほどストレスが少ない一方で、アルバイト先などでの一般的な人間関係は、多くなるとストレスが増えることが観察されました。これはアルバイトのような付き合いを選べない環境下では、どうしても不満がたまっていきやすいことを示唆しています。

 さらに、各人に「人間関係を広く求めるか?」「狭くても心地よい関係に留まろうとするか?」と、どちらの傾向が強いかによって、数と質の評価が変わるかということついても調べました。

 その結果、人間関係を広く求めるタイプの人は、数が幸福感と関係してくる一方で、狭くても心地よい関係に留まろうとする人は、質が人生の幸福度と関係してくることがわかりました。後者の傾向がある人は、無理をしてまで人間関係を広げることに幸せを見出していないというわけです。

 このように、数と質、どちらがより幸せかはその人がもともと持ち合わせている人付き合いの傾向にもよるので一概に言えないでしょう。ですが、どちらにしても自分が幸せを感じたり、心が落ち着けたりできる交友関係を持つことは、不安やストレスを緩和してくれる一助となるということは忘れないでください。

■「幸せな友人」が自分も幸せにしてくれる

 また、どのようなタイプの友人と一緒にいるかということも大切です。愛知医科大学の松永らは、「幸せな友人の存在が幸福を著しく高める」という興味深い研究結果を報告しています。幸せそうにしている人とともに時間を過ごすと、幸せをおすそ分けできるというわけです。

 この調査では、被験者たちに、人生に起こりそうな出来事をいくつかあげて、それを経験したと想像してもらい、そのときに感じる幸福度を評価するように求めました。

 その結果、幸せな友だちがいると、被験者の幸福度を著しく高めることがわかったのです。たしかに、幸せな友だちがまわりにいると想像すると、きっと自分も幸せになれる、自分は恵まれている、そんな気持ちが向上してきますよね。

 逆に、アメリカ国立衛生研究所のハリリらの研究によると、ネガティブな表情を見ている人とストレスが増えるそうです。

 実験では、被験者に①「人の恐怖や怒りなどの表情」、②「動物や昆虫など自然界の恐ろしいもの」、③「自分に向けられた拳銃や事故、爆発など人工的な恐ろしいもの」のように、不安や恐怖をあおる画像を見せ、そのときの脳の様子を調べました。

 結果、人の恐怖や怒りなどの表情を見たときだけ、恐怖や不安に深く関与する扁桃体という脳の部位が激しく反応することが分かったのです。同様に、ハワイ大学のハットフィールドらは、ネガティブな人と一緒に過ごすと、顔の表情、姿勢、さらには声の出し方や動作まで似てきてしまうことを明らかにしています。つまり、人は、他人のネガティブな言動、心の状態が伝染してくるわけです。

■「幸せ」や「不幸」な気持ちは伝染する

 こういったさまざまな研究から言えるのは、友だちは多いに越したことはないですが、もともとの性格として友だちの数より質で幸福感を味わえている人は、無理に広げる必要はない。そして、感情は伝染するので、どうせならハッピーな友人と一緒にいほうが、ネガティブ傾向のある友人と一緒にいるよりも自分自身の精神衛生的にはいいということです。

 当たり前のことのようですが、こういった実証研究に基づいた根拠を知ることで、より自信を持って、積極的に自分の人付き合いの方向性や方針を確立していけるようになるのです。

東洋経済オンライン

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最終更新:11/30(月) 5:50

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