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競合車種なきオデッセイが描く国産ミニバン像

11/29 6:01 配信

東洋経済オンライン

 ホンダの上級ミニバンであるオデッセイが11月6日にマイナーチェンジを発表した。もっとも大きな変更はスタイリングだろう。厚みの増したボンネットフードと大型のメッキグリルの採用で、より押し出し感の強いフロントフェイスとなった。この外観の変更により、国内市場で高い人気を誇るトヨタの高級ミニバン、アルファード/ヴェルファイアに販売でどこまで追いつけるかという声も耳にする。だが、大前提としてオデッセイとアルファード/ヴェルファイアでは車格が違う。

■オデッセイと同じ車格の競合は存在しない

 トヨタには、5ナンバーサイズのミニバンとしてノア/ヴォクシー/エスクァイアがあり、その上にエスティマ、さらに車格が上のアルファード/ヴェルファイアというミニバンの品揃えだった。このうちエスティマがすでに販売を終えており、現在はノア/ヴォクシー/エスクァイアとアルファード/ヴェルファイアが販売されている。

 ホンダも同じように5ナンバー格のステップワゴンがあり、オデッセイ、そして最上級のラグレイトや後継のエリシオンがあった。しかし、エリシオンはすでに販売されていない。

 オデッセイと同じ車格で競合となるのは、トヨタ車ならエスティマ、日産ならプレサージュ、マツダならMPVだ。しかし、プレサージュは2009年、MPVは2016年に販売を終了している。したがって国産ミニバン市場において、オデッセイの直接的な競合は存在しない。

 では、国産ミニバン市場において競合車種が存在しないオデッセイは、どのように生き残ろうとしているのだろう。

■マイナーチェンジの狙い

 現行オデッセイは、2013年のフルモデルチェンジによって5代目が登場した。そして、5代目がデビューして今年で7年目になる。この間に情報通信技術や運転支援技術などが飛躍的に進化し、実用性も含め時代にあった装備の拡充が求められた。今回のマイナーチェンジでは、そうした進歩を見た目でわかりやすく伝えるために、内外装の改良が施されたといえるだろう。

 外観は、アルファードなどに限らず、軽自動車も含めてメッキを多用したギラギラとした顔つきが近年の流行りである。たとえメッキを多用しなくても輸入車を含め、顔つきを大きく見せるラジエターグリルの採用が広がっている。

 ミニバンは外観の輪郭がどれも単なる四角い箱状となりやすいので、顔の表情の強さで見分けさせる意図もあるだろう。かつて、エリシオンが逆にグリルの小さな顔つきを採り入れたが、あまり人気は得られなかった。

 内装で目につくのは、従来の7インチから10インチに拡大されたダッシュボードの大型ディスプレイだろう。近年は、地図表示といったカーナビゲーション機能のみならず、外界の情報検索、車庫入れの後退時に周囲の安全を確認するため設けられたカメラの画像を映し出すなど、ディスプレイに多機能製が求められる。視認性の良さや扱いやすいタッチパネルが当たり前になり、大画面が必須になっている。また、大型ディスプレイは先進的な印象も与えることから多くのメーカーが取り入れている。それにオデッセイも対応した形だ。

 室内の実用面で、ダッシュボードの助手席側に設けられた小物入れや座席の撥水・撥油機能の追加により、汚れを落としやすくするなどの改良が施されている。5ナンバー格のミニバンほどではないにしても、子供を同乗させるシーンを想定した3列ミニバンとしての機能性向上だ。

 同様に荷物などで両手が塞がった状況で側面のスライドドアや後方のゲートを開閉する際に、手の動きや足を蹴り上げる動作などで操作できる機能が設けられた。特にスライドドアは、キーを所持して近づくとLEDランプが点灯し、それに合わせて手のひらを横へ動かすと、その方向へドアが開いたり閉じたりする。他社では、後方のゲートと同様に足の動きで開閉させる方式があるが、光の案内に合わせた手の動きで開閉するのは初めてだろう。今回のマイナーチェンジでオデッセイとして初採用となった、足を蹴り上げる動作で車体後方のゲート開閉を行う方式は、他社のSUVなども含めて採用例が多い。

■動力はエンジンとハイブリッドの2種類

 動力は、ガソリンエンジンと、2つのモーターをガソリンエンジンに組み合わせた「e:HEV(イーエイチイーブイ)」と呼ぶハイブリッドの2種類。ガソリンエンジンには、CVT(ベルト式無段変速機)が組み合わされる。

 ハイブリッド車のe:HEVは、新しい名称だが、技術としては以前からある「i-MMD(インテリジェントマルチモードドライブ)」と呼ばれる2モーターハイブリッドシステムと同様の方式だ。ホンダは、これまで3つのハイブリッド方式を使い分けてきた。だが、小型車向けに開発された1モーター方式「i-DCD(インテリジェントデュアルクラッチドライブ)」がリコール問題を経て不採用となり、2モーター方式のi-MMDに統合されたことから名称変更となったのだろう。

 このハイブリッドシステムは、2つのモーターを搭載しているが、1つは発電用で、もう1つが走行用となり、3つの走行モードを使い分ける。

 イグニッションを入れたとき、搭載するリチウムイオンバッテリーに十分な電力が残されている間はモーターのみで電気自動車(EV)のように走る。バッテリー電力が減るとハイブリッド走行になるが、このときガソリンエンジンは発電に使われるだけで、走行はモーターで行う。高い速度で安定して移動するような場合は、ガソリンエンジンの回転数が低めで効率のよいところを使うため、ここではエンジンを動力として走らせる。

 このホンダの2モーター方式は、プラグインハイブリッド車にも適応でき、たとえばクラリティPHEVがその一例だ。

■低重心で差別化を図ったオデッセイ

 1994年に初代オデッセイが誕生したときから3列目の座席は、床下へ折りたためる方式を採用している。これは他社のミニバンが採り入れなかった収納方法である。ミニバンといえども日常的に3列目はあまり利用されないことが多く、床下に収納することでワゴン車のように大きな荷室が得られる。また、操縦安定性の面でも低重心に役立つ。オデッセイの魅力は、背の高いミニバンでありながら壮快な運転を楽しめるところにもある。

 今回のマイナーチェンジで、オデッセイ本来の魅力である実用性の高さや運転のしやすさなどはそのままに、時代に適した改良を受けたといえそうだ。

 一方、世間では競合として比較されることも多いアルファード/ヴェルファイアは、前型から2列目の座席の居住性をより高め、運転手付きのセダンやリムジンからの乗り換えで人気を高めた傾向があるのではないか。もちろん、ミニバンである以上3列シートではあるが、2列目の上質な空間や座席の調整機能と、ハイブリッドを活かした静粛な乗り味は、ほかに代えがたいものがある。

 実際、アメリカなどで永年にわたり送迎用などに活躍したストレッチリムジンは、今となっては天井が低くかなり狭い印象がある。政治家や企業人がミニバンを送迎用に好むのも、アルファード/ヴェルファイアが魅力を掘り起こしたといえるだろう。

■家族や仲間と楽しむクルマという独自性

 オデッセイは、今回のマイナーチェンジにおいてもあくまで家族や仲間のためのミニバンという姿を崩していない。3列目の座り心地は初代から悪くはなく、これに近年の運転支援機能を活用すれば、車酔いも起こしにくくなるはずだ。なぜなら車線維持機能や車間距離を自動調整しながら一定速度での走行を促す機能は、余計なハンドル操作や速度の加減速を減らし、滑らかな走行を実現するからである。

 3列目は、後輪の上に座る位置関係となるため、上下動や姿勢変化の影響を受けやすく、その結果車酔いにつながってしまいがちだ。それが運転支援機能の利用で穏やかな走りとなれば、不快さや不安から解放される。

 競合が去った今、日本にミニバンを流行させた初代から続くオデッセイ独創の魅力をより多くの消費者が体感することになるのではないか。

東洋経済オンライン

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最終更新:11/29(日) 6:01

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