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セガサミー「赤字のゲーセン」撤退後に残る不安

11/28 9:11 配信

東洋経済オンライン

 傘下にパチスロ大手「サミー」などを抱えるセガサミーホールディングスは11月4日、ゲームセンター運営の子会社「セガ エンタテインメント」(SE)の株式のうち85.1%を売却し、事実上ゲームセンター事業から撤退することを決めた。

 セガサミーホールディングスの里見治紀社長は11月6日に開いた決算説明会で「もしこのままわれわれが持っていたとしても、大幅な店舗削減をしなければいけない」と語った。

 SE株の売却先はゲームセンター向け機器レンタルを営むGENDA社で、売却に伴い約200億円の特別損失を計上する。

■不可避だったゲームセンター見直し

 売却の最大の要因は、セガサミーHD自身の業績低迷だ。新型コロナウイルスは主力のパチスロ・パチンコ機の販売やリゾート施設運営など、セガサミーHDのほとんどの事業を直撃。11月6日に発表した2020年4~9月期決算は、売上高が前年同期比33.4%減の1102億円、営業利益は30億円の赤字(前年同期は146億円の黒字)に沈んだ。

 赤字転落に伴い、セガサミーHDは構造改革委員会を立ち上げ、各事業の固定費などを見直している。中でも4~6月期に臨時休業し、再開後も集客が低迷しているゲームセンター事業の見直しは避けられなかった。同事業は売上高がほぼ半減し、4~9月期は27億円の営業赤字(前年同期は19億円の黒字)となっており、事業を継続するにしても大幅な店舗削減が必要だった。

 そこで譲渡先に浮上したのが、GENDA社だった。同社の片岡尚会長は、2013年から5年間、同業のイオンファンタジーで社長を務め、アジアへの店舗網拡大により同社の時価総額を6倍近くに引き上げた実績を持つ。

 そのGENDAは施設運営の拡大意欲を強く示しており、「今の人員を最大限生かして引き継ぎ、投資してくれるパートナーに譲るのが一番いい。片岡さんと組んだ方が(SE社のビジネスは)うまくいく」(里見社長)と話が進んだ。セガサミーHDは今後、SE社の14.9%を保有する株主として、セガサミーHDで製造・販売しているゲームセンター向け機器を卸し、セガの屋号もGENDA社に貸与する協力関係を続ける。

 多様な事業を抱えるセガサミーHDにとって、ゲームセンター運営事業は旧セガが1965年から営み、「もともと軒先に機械を置いておカネを稼ぐということを創業の頃にやっていたという意味で、(歴史的な意味を持つ)基幹事業」(里見社長)。

 SE社は全国193店のゲームセンターを運営し、事業規模はイオンファンタジー、バンダイナムコに次いで業界3位。2020年3月期の売上高は406億円と、セガサミー全体の売上高の11%を占める。

■パチンコ・パチスロは低迷基調に

 ただ、セガサミーHDのROAは3.0%(2020年3月期)と決して高くない。2020年3月期末の資産規模で311億円のゲームセンター運営を切り離せば、「(グループ全体の)資産効率が上がる」(セガサミーのIR)と期待を寄せる。

 SE社売却の損益面でのプラス効果は早速現れ始めている。11月に公表したセガサミーHDの2021年3月期の業績予想は、売上高2830億円、営業損失15億円(8月5日発表の前回予想は同2770億円、150億円)へ上方修正された。赤字のゲームセンター運営から撤退したほか、新型コロナで市場規模が拡大したゲームソフト・アプリ事業の業績が上ぶれした。

 12月25日までに650人の希望退職を募り、100億円の特別損失を計上するが、2022年3月期は100億円の利益押し上げ要因となる。2021年3月期中にゲームセンター向け機器事業の開発人員を最低100人程度、好調なゲームソフト・アプリ事業に異動させる計画も進めており、反転攻勢の準備は整いつつある。

 気がかりなのは、利益柱であるパチスロ・パチンコ機の販売が低迷していることだ。同事業は2020年3月期にグループ全体における営業利益の84%を稼いだ。2021年3月期の販売予想はパチスロが3万8300台(2020年3月期は12万3336台)、パチンコが8万9200台(同10万4581台)と前期を大きく下回る見込みで、同事業は「2004年のグループ化後に初めての営業赤字になる」(広報)と予想している。

 今期は新型コロナで来店客数が減少し、パチンコホール側の機器の購買意欲が低迷。2021年2月から完全適用される予定だったパチスロ・パチンコ機のギャンブル性の抑制に向けた風営法施行規則の改正が、ホールの経営悪化を考慮して経過措置期間を2021年11月末まで延長することになったため、機器の入れ替え特需も消滅してしまった。

 パチスロはとくに販売状況が厳しい。各メーカーがギャンブル性の規則上限すれすれの機種を開発しようと競い、検定機関に申請が集中している。その結果、検定の作業が「大混雑」(パチスロメーカー関係者)し、メーカー側の事情で発売までの時間が長引いている。

 こうした事態を受け、里見社長は「パチスロ・パチンコともシェアを持っている平和、SANKYO(の従業員数)に対し、(セガサミーでパチスロ・パチンコ事業を担う)サミーは連結で約1400人で圧倒的に多かった。利益を未来永劫出し続けるためには、これを同業他社並み、1000人以下にする必要がある」と人員削減の方針を示した。

■カジノ参入計画に漂う暗雲

 カジノを含む統合型リゾート(IR)への参入計画にも暗雲が漂う。セガサミーHDにとって国内IRの運営は、サミー創業者で里見社長の父親である里見治現会長から引き継いだ悲願だった。実現に向けてIR施設の企画・設計など年間数十億円の準備費を投じてきただけでなく、2017年には韓国企業とで合弁で運営するIR「パラダイスシティ」を開業し、ノウハウも蓄積してきた。

 ただ、新型コロナの影響で国の募集スケジュールに遅れが生じ、セガサミーが運営権の獲得を狙う横浜市ではIRへの反対運動が日に日に勢いを増している。そもそも、国内IRは国や自治体に納める納付金が高額で、海外IR幹部からは「うまみがない」とされてきた。さすがのセガサミーHDも「参入条件などは慎重に見極めていきたい」(里見社長)と、参入への姿勢をトーンダウンせざるを得ない状況だ。

 好調なゲームソフト・アプリ事業で食いぶちをつなぐ間、遊技機事業の収益構造を改善すると同時に、IR事業の展望を見出せるか。創業家出身の社長として、里見社長のリーダーシップが問われている。

東洋経済オンライン

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最終更新:11/30(月) 12:29

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