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バブル最盛期並み 米国の住宅市場、コロナ禍で思わぬ活況

11/26 19:00 配信

THE PAGE

 新型コロナウイルスが世界で再び感染拡大する中で、活気づく業界がアメリカにあります。どんな背景があるのでしょうか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストの解説です。

テレワーク浸透と住宅ローン金利低下

 コロナ禍で思わぬ活況を呈しているのは米国の住宅市場です。報道ではニューヨーク中心地の閑散とした様子やアパート(日本でいうマンション)の空室増加が伝えられているため、ややもすると違和感があるかもしれませんが、ここ数か月の住宅関連指標は驚異的な改善を示しています。背景は、住宅ローン金利が歴史的低水準に低下したこと、テレワークの浸透に伴い、郊外戸建て住宅へと移り住む動きが加速していることです。

 まず住宅金利については、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)によれば30年物固定金利は2.77%と史上最低となっています。2019年初の4.5%から、2020年初に3.7%へと緩やかに低下した後、2020年3月以降はFRB(米連邦準備制度理事会)の超大胆な金融緩和によって大幅に低下しました。これが住宅購入意欲の増加に寄与したことは間違いないでしょう。

大都市アパートから郊外戸建て住宅へ

 そこに大都市アパートから郊外の戸建て住宅に移り住む動きが広がりました。テレワークの浸透によってニューヨーク、サンフランシスコなど家賃が著しく高い地域では、アパートを引き払う動きが特に加速しています。消費者物価統計で賃貸物件の家賃を確認すると、これまでの上昇軌道が崩れて下向きのカーブに転じています。こうした家賃の上昇一服が、アパート離れを浮き彫りしています。

 それを横目に、鋭い上昇軌道を描いているのは中古住宅販売件数です。10月の販売件数(年換算値)は9月から4.3%増加して685万件となりました。前年比ではプラス26.6%と極めて大幅な伸びを記録し、水準は住宅バブル最盛期にあたる2005年に比肩しました。中古住宅販売件数は2016~19年の4年間の平均が約540万件でしたから、グラフの形状はかなり鋭角です。こうした下で中古住宅の在庫(販売可能戸数)は前年比で約20%減少し、販売価格(中央値)は前年比で約15%上昇しています。

新築住宅も好調…米経済の強い回復力

 また中古に比べて市場規模が小さい新築販売も好調です。9月の新築販売件数は95.9万件とこちらも住宅バブル最盛期の水準に並んでいます。そうした旺盛な需要を背景に、新築住宅の着工件数(戸建て)は100万件を超えるペースで増加し、前年から20%強の伸びを示しています。その活況は、住宅建設業者の景況感を示すNAHB住宅市場指数に現われています。直近の数値は、1985年の統計開始以来の最高を3か月連続で更新しています。このように現在の米国住宅市場はあらゆる指標が著しい改善基調にあり、米国経済の回復力の強さを物語っています。

 米国のGDP(国内総生産)は、個人消費と住宅投資で約7割を占めます。したがって、どんなに経済の不透明感が強かったとしても、人々が消費に積極的である以上、実体経済は強さを保つことができます。コロナ禍の長期化で人々のマインドが委縮し、節約志向が強まり、消費が停滞してしまうことが危惧されますが、好調な住宅関連指標を見ている限り、現在のところその心配はなさそうです。

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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

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最終更新:11/26(木) 19:00

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