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隗より始めよ、ESG投資に取り組む運用会社で社内改革が進展

11/26 18:45 配信

モーニングスター

 7月20日に新規設定された「グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無)『愛称:未来の世界(ESG)』」(アセットマネジメントOne)が設定後3カ月余りで残高が7000億円を超える巨大なファンドに育ったことに象徴されるように、今年は「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が広く浸透し始めた1年だったといえる。運用会社は競うように、株式ファンドのみならず、債券ファンドでもESG要素を折り込んだ運用商品を提供し始めている。ただ、ESG投資を進めれば進めるほど、運用会社自身が自らの姿勢も正さざるを得ないと感じられるようだ。運用会社が発行している「スチュワードシップレポート」、「サスティナビリティレポート」などには、「隗より始めよ」とばかりに、ガバナンスやダイバーシティ(多様性)などに積極的に取り組む姿勢がうかがえる。
 

 投資判断にESGの要素を取り入れるESGインテグレーションの基本は、企業との対話だ。決算数値には表れない経営陣の姿勢などが、サステナビリティ(持続可能性)の観点で望ましいものであるかを判断し、それに反するものであれば改善を促している。多くの運用会社は、国連PRI(責任投資原則)に署名し、責任ある投資家として、投資の意思決定プロセスにESGを組み入れることを明確にしている。そして、“責任ある機関投資家”の諸原則(スチュワードシップコード)を明らかにし、スチュワードシップ活動(建設的な目的を持った対話=エンゲージメントなどを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すこと)に取り組んでいる。
 

 国内の大手運用会社は、PRI事務局の年次評価で既に最高評価の「A+」を得ている。野村アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、アセットマネジメントOne、三井住友トラスト・アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメントなど、「スチュワードシップレポート」等で、年次の評価結果について高い評価を得ていることを誇っている。
 

 ただ、近年はPRIで「A+」に評価されるだけでは十分といえないようだ。各社それぞれに、一段と踏み込んだ社内改革を行っている。たとえば、今年5月に国内の主要な運用会社が参加する30%Club Japanインベスターグループが、「多様な働き方の進展とダイバーシティ経営の推進を応援します」というメッセージを発し、取締役会への女性の比率の向上を促している。このようなメッセージを発する主体として、インベスターグループに参加するアセットマネジメントOneは、今年初めて女性を執行役員に登用した。
 

 あるいは、野村アセットマネジメントは、既に同社が社外取締役が過半数を占める監査等委員会の傘下機関として経営の監督を受ける体制にあるが、11月に改訂した議決権行使基準において、取締役会に社外取締役が中心となる「モニタリング・ボード」への移行を後押しすることを議決権行使基準の一つとすることを明示した。欧米企業では「モニタリング・ボード」が一般化しているものの、日本の企業は、多くが社内取締役(経営陣)を中心に構成される「マネジメント・ボード」、または、「アドバイザリー・ボード」である点の改革を促す狙いがある。
 

 また、日興アセットマネジメントは11月19日に国内の婚姻の平等に対する支持を表明した。先進7カ国の中で、日本のみが婚姻の平等を法的に認めていないことを是正する必要があるという主張だ。この支持表明に先立って、同社は社内外においてダイバーシティとインクルージョンを推進し、非営利団体「work with PRIDE」からLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、および、トランスジェンダー)に関する取り組みを評価する「PRIDE 指標 2019」、「PRIDE 指標 2020」において最高評価である「ゴールド」を2年連続で受賞している。また、同社は、2018年8月に気候変動が企業業績や財務に及ぼす影響の分析・開示を求める「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFD報告書を発表している。
 

 このような各社の取り組みは、ESG投資の推進には、運用会社自身が率先して変化する必要があるとの考えが背景にある。運用会社自身がサステナビリティの体現者である方が、投資先企業との対話において、改善策を提案するに際して、より説得力のある提案ができ、企業の行動変革を促す力も強いと考えられる。このような活動は、大手運用会社を中心に積極的な取り組みが見え始めたところであるが、業界全体に広がることによって、国内企業全体の中長期的な成長力を引き上げる効果が期待される。まずは、動き始めた運用会社のESGに前向きな取り組みが、業界全体に広がるかどうかを注目していきたい。(写真はイメージ。提供:123RF)
 

モーニングスター

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最終更新:11/26(木) 18:45

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