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サブリース新法が来月施行、不当な勧誘は減るか?《楽待新聞》

11/24 19:00 配信

不動産投資の楽待

今年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(通称、サブリース新法)が国会で成立した。サブリース新法はサブリース契約の適正化を目的とした法律だ。12月15日の施行に先立って、国土交通省は先月、サブリース業者の行動基準となる「ガイドライン」を策定した。

ガイドラインの主なポイントは以下の3つ。
(1)規制の対象となる「勧誘者」の明確化
(2)禁止される「誇大広告」などの明確化
(3)オーナーに説明すべき内容の明確化

今回策定されたガイドラインでは、これまで明確になっていなかった用語や運用のルールについて具体例を用いながら説明している。今回の新法がサブリース契約の現場にどのような変化をもたらすのか。あらためて考えてみたい。

■サブリースの仕組みをおさらい

本題のガイドラインの説明に入る前に、まずはサブリースの仕組みを不動産投資初心者に向けておさらいしておこう。

サブリースとは、アパートなどの賃貸住宅を管理業者がオーナーから一括で借り上げ、入居者へ転貸することだ。オーナーにとっては、空室が発生しても一定の賃料収入が保証されるというメリットがある。ただし、サブリース業者が急に倒産したり、契約を解消されたりした場合には保証が途切れてしまうというデメリットもある。

近年、サブリース業者とオーナーとの間でトラブルが発生するケースが多い。主な例としては、オーナーへの支払い家賃が突然減額されたり、サブリース業者から一方的に契約破棄を言い渡されたりしたものがある。

オーナーは事前に、サブリース業者から支払い家賃の減額交渉や契約解除を要求されることがあるという情報を知らされていないことが多い。サブリース契約ではこうした借主(サブリース業者)と貸主(オーナー)の情報の非対称性がたびたび問題視されていた。

こうした情報の非対称性を解消するために定められた今回のサブリース新法。そのガイドラインで特に重要な3つのポイントを順番に説明していく。

■ポイント1:規制の対象となる「勧誘者」の明確化

不動産投資の知識をつけるために不動産投資セミナーに参加する人もいるだろう。そこでサブリースについて説明され、業者の紹介を受けることもあるかもしれない。今回のガイドラインでは、このようにサブリースを紹介する「勧誘者」の定義が明確になった。

国交省はガイドラインで、勧誘者を「オーナーとサブリース業者を繋いで一括借上げ契約を締結するために、サブリース業者が勧誘を依頼する者」としている。建設会社、金融機関などの法人のみならず、サブリース業者からの勧誘の委託を受けた個人が当てはまる場合もある。サブリース契約自体を勧めたり、サブリース契約を前提とした資産運用の提案を行ったりすると、この勧誘者に該当する。

なお、新法施行後は、勧誘者がオーナーを欺いて勧誘したり、オーナーに対してサブリース事業のリスクを誤認させて勧誘したりした場合、サブリース新法に違反したとみなされて罰則の対象になる。

また、この時勧誘を依頼したサブリース業者も処分の対象となる。そのため、サブリース業者は、勧誘者を監督してガイドラインに則った適正な勧誘を行わせる必要がある。

■ポイント2:禁止される「誇大広告」などの明確化

サブリース契約の広告で「30年間家賃保証」や「10年間空室なしで安心」といった文言を見かけたことはないだろうか。こういった聞こえの良い言葉は今後、サブリース新法の禁止行為に該当するかもしれない。

実際より良いものに見せかけて相手を誤認させる「誇大広告」のほか、誤った情報の表示により相手を欺く「虚偽広告」の取り締まりについても今回のガイドラインに記載がある。「空室保証」や「家賃保証」の文言を使う際には、適切な注釈の記載がない場合、誇大広告や虚偽広告を用いて集客したとして罰則を受ける可能性がある。

この誇大広告や虚偽広告に該当する行為を行った場合、最大で6カ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金、またはこの両方が科される。

■ポイント3:オーナーに説明すべき内容の明確化

サブリース新法では、サブリース契約の締結前に不動産の売買や仲介と同様に、重要事項説明が義務化される。今回のガイドライン策定に合わせてこの重要事項説明書の記載例も用意された。オーナーに対して、誤解がないようにわかりやすくリスクを伝えることがサブリース業者に求められる。

勧誘者の誘いに乗ってサブリース業者に任せきりで考えているとリスクを正しく把握できないことがある。また、そもそもサブリース業者との経験・専門知識に大きな格差があることも少なくないので、思わぬ不利益を被る危険性があったのだ。

今回用意された記載例で、契約締結前に書面に記載して説明しなければならないリスク事項が明確化された。オーナーを目指す投資家が契約内容を正しく理解した上で、マスターリース契約を締結できる環境を整えるためだ。

書面に記載するリスクの例としては、「家賃の定期的な見直しがあり、見直しにより家賃が減額する場合があること」や、「契約時に定められた家賃保証の期間中でも、サブリース業者から契約を解除される場合があること」などである。

■サブリースのトラブルは減るのか

ここまで、今回のガイドラインの3つのポイントを見てきた。サブリース新法の施行後はトラブルは本当に減少するのか、サブリース問題に詳しい阿部栄一郎弁護士は次のように話す。

「リスクを把握せずに契約をしてしまうケースは減るでしょう。ただ、契約締結後にトラブルが発生した場合、オーナーの事後の救済は、前にも増して難しくなるかもしれません。事前の説明をきちんと受け、重要事項説明書等も受領していたわけですから」

サブリース新法では、先述した通り罰則も設けられている。今回導入された罰則について阿部弁護士は「金銭的にも、刑期の長さから見ても重いものではありません」と話す。ただし、次に挙げる3つの理由から、「サブリースにまつわるトラブルの防止にはつながるのではないか」と見ている。

1つ目は、サブリース業者のブランド価値や評判が低下するリスクだ。「刑事罰となればメディアに報道されます。社会的信用に傷がつくことを恐れるのではないか」と阿部弁護士は予想する。

2つ目は監督処分を受けて業務が止まるリスクだ。「法令に違反すると、業務停止命令で最大1年間業務が行えなくなります。業者はそれを避けたいはずです」

3つ目は懲役刑を言い渡された場合、宅建士の免許を返納しなければならなくなるリスクだ。「資格剥奪に加えて5年間の宅建受験資格も停止されるので、業務停止以上のダメージがあります」(阿部弁護士)。



オーナーが抱えるサブリース関連のトラブルの多くは、契約前の説明が不十分なままマスターリース契約を結んだことが原因とされている。今回の法改正とガイドライン策定で、今後トラブルが減少することに期待したい。

国交省の担当者は「トラブルが多いからと言ってサブリースが制度として危険だというわけではありません。サブリース契約を戦略的に選ばれる投資家がいらっしゃることも事実です。今回の法案とガイドラインの成立によりサブリース契約の運用が正しい方向に進んでくれればと思っています」と話した。

国交省はガイドラインの周知と説明を兼ね、11月19日から4週に渡ってオンライン説明会を開催している。説明会の様子は動画でも配信されているので、気になる投資家は視聴してみてはどうだろうか。

読者の皆さまは、サブリースのトラブルに巻き込まれることがないように気をつけてほしい。

不動産投資の楽待

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最終更新:11/24(火) 19:00

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