IDでもっと便利に新規取得

ログイン

ジムニー購入者が明らかにする唯一無二の価値

11/22 6:31 配信

東洋経済オンライン

 20年以上の長きにわたって販売された3代目から、待望のモデルチェンジが行われた4代目スズキ「ジムニー」。2018年7月に発売され、発売から2年が経過した今も納車は1年待ちと好調な販売が続く。

 2代目に近いスクエアなデザインの現行型は、登場から約半世紀を経てもコンセプトを大きく変えることなくジムニーならではの価値を提供し続けていると言えるが、このデザインが若年層や女性からも好評だと言う。

 では、実際のところ現行ジムニーはどんな人が買っているのだろうか。

 今回は、購入者の分析を通して、昨今のSUVブームやスーパーハイトワゴンモデルが席巻する軽自動車市場とは一線を画し、唯一無二のポジションを築き上げているジムニーの存在感を見ていきたい。

 データは、市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を使用する。いずれも分析対象は新車購入車のみとする。

<分析対象数>
新型ジムニー:426名、ハスラー:3,204名、クロスビー:411名、N-BOX(カスタム含む):11,725名

■購入者層はライバルと明らかに違う

 まずは、ジムニーがいかに「競合車が存在しないクルマであるか」を示したい。購入時の検討状況について聞くと、「他に検討した車はなかった」が82%となっており、指名買い率が圧倒的に高いことがわかった。

 指名買いをしなかった人たちが比較した上位車種は「ハスラー」「クロスビー」「N-BOX」だったが、それら3車種の「他に検討した車はなかった」は50%程度となっており、ジムニーの特異性が見える。以後もハスラー、クロスビー、N-BOXの3車種は、比較の対象として見ていこう。

 続いて、性別・年齢からジムニーユーザーの属性を見ていく。

 女性比率は32%で比較対象の3モデルよりも低いが、先代モデルの購入者(2014年1月~2018年6月契約まで)においても女性の割合は31%と同等だった。また、20~30代が占める割合を足し合わせると29%であり、ハスラー、N-BOXよりやや少ない。

 昨今のキャンプ・アウトドアブームや「角ばっていてかわいい」というイメージに呼応し、女性人気が高まっているかと思われたため、意外な結果ではあった。まだ納車待ちが続いている状況を考えると、購入に踏み切っていない層も多くいると思われる。

 ジムニーは歴史的に見てもモデルチェンジの周期が長いので、需要が落ち着いてきたあたりで再度確認してみたい。なお、今回比較した車種は軽自動車中心のため、女性比率は全体的に高い傾向にあることは、補足しておく。

■歴代ジムニーからの乗り換えが多数

 購入前に乗っていた車(前有車)を調べてみると、「ジムニーからジムニー」の乗り換えが最も多かったが、前モデルの販売期間が長かったこともあり、多くの車種に分散している。

 その中では、同じ軽自動車SUVの三菱「パジェロミニ」や、同じスズキ車である「ワゴンR」が若干多かった。4位がトヨタ「アクア」というのは、意外なところかもしれない。

 では購入時の決定権は、誰にあったか。ジムニーは「すべて自分1人の考えで決めた」が約5割と高い。

 このスコアは以前の記事で紹介した、初代スバル「レヴォーグ」とほぼ同じである。ジムニーとレヴォーグでは方向性はまったく違うが、「すべて自分1人の考えで決めた」の多さは、こだわりや利用目的をしっかりと持ったユーザーに愛されるクルマ、という点で共通している。

 また、「決定のこだわり度」を「1:ぜひこの車種にしたい」「2 :ぜひとはいわないがこの車種にしたい」「3:なるべくならこの車種にしたい」「4:なんとなくこの車種にした」の4つの選択肢で確認してみたところ、ジムニーは「1:ぜひこの車種にしたい」が81%と、突出して高かった。ハスラーは48%、クロスビーは50%、N-BOXは47%だ。

 加えて、「買い増し(増車)」の多さも特徴的だと言える。

 これは、単なる移動手段ではなく、新たな楽しみや価値を提供してくれる存在として捉えられているからだろう。「ジムニーにしかできない役割がある」「ジムニーがあったらやってみたいことがある」と、趣味などにひも付いた購入が一定存在することが伺える。

 実際、購入目的では「キャンプ」「レジャー・スポーツ」「運転すること自体を楽しむ」といった項目が高く出ており、日常利用よりも特別なシーンやマインドでの利用が想定されている。

 楽しみを重視することやこだわりの強さという点では、ほかのデータでもはっきりと出ている。

 「車は自分にとって趣味」「車は買ったままではなく自分なりに手を加えたい」「多少高くてもいつまでも使えて飽きのこないものを選ぶ」の設問において、「あてはまる」のスコアがほかの車種より高かったのだ。

 「購入時の前提条件」(複数選択方式)の結果から、ユーザーが何をジムニーに求めるかを見ていくと、ジムニーの強みが明らかになった。1つは、ジムニーという「車名」の強さだ。

 一般的に「車名」のスコアが高くなるには、車種に歴史があり、長きにわたり愛されてきたという要素が必要となる。今回、取り上げた車種以外を見渡しても、スズキの中でこの項目が30ptを超えるのはジムニーのみだ。このことからも、ジムニーが唯一無二の存在であることがわかる。

 ちなみに他メーカーで30ptを越えるのは、トヨタ「クラウン」、同「ランドクルーザー」、日産「スカイライン」、ホンダ「S660」、レクサス「LS」、同「GS」、フォルクスワーゲン「ゴルフ」などだ。

 また、「特定の機構」のスコアも高い。これは主にメカニズムについてのスコアで、ラダーフレーム構造であることや、MT車の用意があることが求められた結果だと読み取れる。

 一方で、「安全運転支援機能」のスコアは低い。また、「購入予算」「燃費」のスコアも低く、ユーザーが重視している点とそうでない点がはっきりと出ていると言える。

■オンリーワンの立ち位置は揺るがない

 最後に、「購入車を気に入った点」を確認してみよう。

 「スタイルや外観」「駆動方式」などの評価が高く、一方で「乗り心地」「燃費の良さ」に高評価をつけた人は少なかった。先の「購入時の前提条件」からも見えたとおり、そうした点はそもそもジムニーに求められておらず、ジムニーのキャラクター通りの結果となっている。

 人々のニーズや価値観、日々接触する情報、それらに応じたマーケティング活動が多様化する中、“違い”を生み出し、競合と差別化することが困難な昨今。ジムニーが示した“長きにわたってコンセプトを変えない”という開発・販売戦略は、オンリーワンの立ち位置の獲得という形で結実した。トレンドが日々激しく変化する現代において、やり続けることの価値を示した1つの成功事例と言えるだろう。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:11/22(日) 7:48

東洋経済オンライン

投資信託ランキング