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「問題解決できても出世できない人」の残念な訳

10/31 6:21 配信

東洋経済オンライン

業務知識もあり、問題解決スキルもあり、日頃から頑張って仕事をしているのになぜか成果が出ない。そんな悩みを持つ方は、「もっと問題解決スキルを高めなくては」と考える前に、別の方向から自分のスキルセットを見直してみましょう。
『プロの課題設定力』の著者である清水久三子さんに、ビジネスパーソンがプロとして認められるために身に付けておきたい「課題設定力」について教えてもらいます。

 以前、私がコンサルタントとして働いていたときのことです。若手の育成方法について当時のクライアントとお話ししていた際に「同じような学歴で入社し、分析力や実行力などの問題解決スキルもあまり違わないように見えても、仕事の成果に差が出てくるのはどうしてだろう」と聞かれたことがあります。

 その要因はいろいろあると思いますが、1つ思い当たるのは、「課題設定」ができるかできないか、そこにあるのではないかということです。

 昨今、「問題解決」は市民権を得た言葉となってきました。ビジネスパーソンに限らず、小学生を対象とした問題解決の書籍も出ています。一方で「課題設定」は、比較的なじみの薄い言葉ではないでしょうか。少なくともスキルやノウハウとしては、まだまだ認知されていないようです。しかし課題設定は、問題解決と同じかそれ以上に重要なビジネスのコアスキルなのです。

 問題解決力や、業務知識や、あるいは常日頃の頑張りは十分なのに、それが仕事の成果に結びついてない。そう感じることが多い方は、ぜひ一度、課題設定力に目を向けてほしいと思います。

■問題と課題の違い

 では、課題設定力とはどのような力なのか。そのことを説明するために、まず「課題」という言葉の定義を、ハッキリさせておきましょう。

 おそらく皆さまも、社会人になる以前から、それこそ小学生の頃から「クラスの課題」「学力向上の課題」など、日常的に耳にし、口にしている言葉だと思います。だから、「何を今さら?」と感じても無理はありません。しかし、次のような質問を投げかけると、意外に返答に困る方も多いのです。

 「課題と問題の違いは何ですか?」

 もちろん、文脈や、その言葉が使われる状況によっても、微妙に意味やニュアンス、レベル感が変わってきます。ですので「課題とは?」「問題とは?」という問いに対して唯一無二の絶対的な答えはないのですが、少なくとも本稿で「課題」「問題」と記述するときには、何を意味しているのか、そこを明確にしておかないと、「課題設定(力)」についてきちんと理解してもらうことはできません。

 そこで本稿では、「課題」「問題」を、次のように定義することにします。

「課題」
「現状」と「あるべき姿」のギャップを把握したうえで、「現状」を「あるべき姿」にするために、なすべきこと。
「問題」
「課題」の達成(「現状」を「あるべき姿」にすること)を阻む要因。
 つまり、本稿で定義する「課題設定」とは、

「現状」と「あるべき姿」を正確に把握し、「現状」を「あるべき姿」になることを阻む優先順位の高い「問題」を見極め、「現状」を「あるべき姿」に近づける方法を考えること。
 ということになります。言い換えると「今何をやるべきかを見極める」ことです。

■問題と課題を混同する罠

 課題設定と問題解決の違いがわかっていない人が犯す誤りとして、よくあるのが「課題」と「問題」を混同してしまうことです。もう少し正確に言うと、「課題を達成するために解決すべき問題」と、「課題の達成にあまり関係のない問題」の混同です。

 繰り返しになりますが、課題とは、「現状」「あるべき姿」「問題」の3点セットで考える必要があります。「現状」を「あるべき姿」にしようとすると、障害となるさまざまな要因や事象が出てきます。これを「問題」と呼びます。そして重要なのは、「あるべき姿」の実現の障害になるものだけが「問題」だということです。

 例えば、「(今は未達だけど)営業部の成績はこれくらいが妥当だと思われる」という「あるべき姿」があったとします。そして、それを実現すべく、営業部の実態について調べたところ、「営業日報を書くのに時間がかかっている」「営業部員の遅刻が多い」という現状が判明したとしましょう。これらは確かに憂うべき事実かもしれません。

 しかし、「よし、これらを改善するために問題解決に取り組もう」と考えるのは勇み足です。なぜなら、その2つの事実が「あるべき姿(営業部の成績を上げる)」の障害になっているかどうか、まだわからないからです。

 営業日報を書く時間を短縮できても、営業部員の遅刻を減らしても、それが営業部の成績向上に結びつかないかもしれません。

 もしそうであれば、それらは、いま抱えている課題に対しての取り組むべき「問題」ではないのです。であれば、至急解決しなくてはならないものとして取り上げなくてもよいかもしれません。

 「現状」から「あるべき姿」までを線で結んで、その間にあって妨げとなっている「問題」だけが、その課題で取り上げるべき「問題」です。今は、たくさんの「(一見)問題らしきもの」「(一見)やるべきこと」があふれています。ですので、本当に「あるべき姿」の実現のために解決が必要な問題が何なのかを見定めることが重要なのです。

 「問題」らしき事象や、「一見やるべきこと」らしきものにやみくもに取りかかっていては、時間がいくらあっても足りませんし成果に結びつきません。

■課題設定は経営層だけの仕事ではない

 いま何をやるべきかを見極める。言葉にすると簡単ですが、実は難易度が高く、ビジネスの成否はある意味ここで決まります。どんなに問題解決力が高く、業務処理能力が優れていても、最初のスタート地点である課題設定を間違えては、それらを発揮することはできないからです。その後どんなに頑張ろうとも、間違った方向で成果が出るか、かけた労力と比べて見劣りする成果しか得られません。

 「あるべき姿」を設定するというと、「それはマネジメント層の仕事だろう」と思われるかもしれません。しかし、現代のビジネスシーンでは、この課題設定が現場のビジネスパーソン1人ひとりに求められているのです。

 課題設定ができるようになれば、あなたはプロフェッショナルとして認められ、「またあなたに仕事をお願いしたい」と言われる、代替不可能な人材になれるのです。と同時に、これまで磨き上げてきた問題解決力や、業務知識や、あるいは常日頃の頑張りが、非常に効率的かつ効果的に、仕事の成果に反映されるようになるのです。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/31(土) 6:21

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