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「鬼滅」でダイドー缶コーヒーが大ヒットの事情

10/30 5:11 配信

東洋経済オンライン

 原作の漫画やテレビアニメだけでなく、劇場版アニメも興行収入100億円突破と記録的な大ヒット作となっている『鬼滅の刃』。その人気にあやかったコラボ商品も、鬼のように売れている。

 ダイドードリンコが10月5日に発売した鬼滅コラボ缶もその1つだ。小型の缶コーヒー「ダイドーブレンドコーヒーオリジナル」をはじめとする3商品に、鬼滅の刃の登場キャラクターをパッケージデザインとして採用した。「ダイドーブレンド」ブランドは1975年の同社創業時から販売する看板商品で、香料無添加などをセールスポイントにしている。

■「ドラゴンボール」や「コナン」を超える

 鬼滅コラボ缶は発売から3週間足らずで販売数量が5000万本(約167万ケース)を突破した。ダイドーが2019年に販売したコーヒー飲料は約2750万ケース。1ケースは、鬼滅コラボ缶のような30本入りだけでなく商品サイズによって24本入りなどと違いがあるため単純比較はできないが、鬼滅コラボ缶だけで、ダイドーの年間販売量の6%相当を売り上げたことになる。

 ダイドーはここ数年、『ドラゴンボール』や『名探偵コナン』など複数のアニメ作品とコラボしてきた。ただ、ダイドードリンコの親会社であるダイドーグループホールディングス(ダイドーGHD)は、「(今回の鬼滅コラボ缶が)過去のコラボ商品の中で一番の売り上げになりそう」(広報担当者)という。

 鬼滅コラボ缶の発売前の2020年2~9月、ダイドーのコーヒー飲料販売量は前年比1割減の水準で推移していた。新型コロナによる外出自粛で、コンビニや自動販売機での購入機会が減ったことが影響した。

 それが一転、コラボ缶発売後の10月は前年比5割増に跳ね上がった。販売チャネル別に内訳をみると、このうち自動販売機での販売数量は前年比2割増、コンビニなど小売りでの販売数量は同2.3倍となった。「市場全体で前年比で1割ほど売り上げが落ちていることを考えると、コラボ缶だけで6~7割増えている状況」(ダイドーGHD広報)という。

 コーヒー飲料は原材料が果汁などと比べると安く、容器も缶だと製造コストが低いため、メーカーにとっては利益率の高い商品となる。業界では「ドル箱商品」と位置づけられている。ダイドーでは売上高、販売数量ともに国内飲料事業の半分をコーヒー飲料が占め、中でも缶コーヒーを柱の商品としてきた。

 ところがここ数年、その缶コーヒーは苦境に立たされてきた。2013年ごろからコンビニで挽き立てのコーヒーが手軽に味わえるようになったことに加え、ペットボトルコーヒーが大ヒットするなどコーヒーの飲み方が急速に多様化。缶コーヒーの販売数量は減少が続き、業界団体の全国清涼飲料連合会の統計でも、ペットボトル容器のコーヒー飲料が増える一方で缶コーヒーの生産量は減っている。

 ダイドーは「詳しい数字は言えないが、缶コーヒーに使われるSOT缶(プルタブの付いた缶)の販売数量は、当社に限らず市場全体で前年比2桁減が毎年続いている」(広報担当者)と話す。

■自販機経由の販売活性化も狙いに

 今回の鬼滅コラボ缶は、ダイドーの国内飲料事業の売り上げと販売数量で8割を占め、全国に27万台設置している自動販売機チャネルの活性化も企図されている。同社の自動販売機経由の売り上げと販売数量は2017年度以降、前年度割れが続いている。

 飲料メーカーからすると、メーカー希望価格で売ることのできる自動販売機から得られる利益は、ほかの販売チャネルよりも高い。コンビニでの販売は、棚を確保するために販促費などのコストがかかり、ドラッグストアやスーパーでの販売は大量販売できる反面、安値販売のために飲料メーカーの利幅が小さくなるからだ。

 さらにはコンビニなど経由での販売拡大も狙う。「缶コーヒーを飲む人の多くは40~50代の男性だが、『鬼滅の刃』のファンは子どもから大人までと年齢層が幅広い。これまで自動販売機で購入しなかったような女性や子どもにも飲んでほしい」と同社は期待を込める。

 SNSでは、缶コーヒーに無縁だった高校生などの若者や女性ユーザーが「鬼滅缶」について言及している。全種類を揃えた画像や「子どものために初めて買った」という新規ユーザーの投稿も見られ、コラボ効果は現れ始めている。鬼滅の刃は、ダイドーの「柱」である缶コーヒーを救うのか。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/30(金) 5:11

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