IDでもっと便利に新規取得

ログイン

41歳女性「交際10日でプロポーズ」に至った経緯

10/30 9:01 配信

東洋経済オンライン

 結婚とはハイリスク・ハイリターンな行為だなと思う。最もリラックスしたい時間と場所を赤の他人と共有するからだ。

 朝食に毒でも混ぜられたら気づかないままあの世に行ってしまうだろう。実際には死ぬほど極端な危険はほとんどなく、多くの場合は財産と人間関係の一部を失うぐらいのリスクだ。それでも結婚に及び腰になってしまう人は少なくない。

 得られるものも大きい。信頼関係で結ばれた誰かと生活を分かち合うことは大きな安心をもたらしてくれる。結婚相手の関心事や人間関係に特権的に入っていけるし、世の中には夫婦だからこそ楽しめることもある。その気になれば自分の世界を数倍に広げていける。

■自意識と慎重な性格が結婚を遠ざけていた

 医療関係の専門職として働く田原純子さん(仮名、41歳)は、「及び腰」のまま30代後半まで過ごし、今年の春に4歳年上の紀之さん(仮名)と結婚した。生来の性質と年齢に関する自意識が原因だったと純子さんは自己分析する。

 「結婚願望はずっとありました。でも、私はやることが人よりも遅いほうなので、きっと結婚もみんなより遅いだろうな、30歳ぐらいでの結婚かな、と子どもの頃から思っていました」

 20代後半の頃、働きながら大学院に通い、現在の仕事に必要な資格を取得した純子さん。大学院を卒業して転職した先で、8歳年上の同僚と付き合い始めた。

 しかし、今度は彼のほうが転職をして遠方に赴任してしまう。新たな仕事に就いたばかりの純子さんは「会社を辞めてついて行く」気持ちにはなれなかった。お互いにバリバリと働いている30歳前後のカップルにありがちな別れである。純子さんは32歳になっていた。

 「年齢のこともあるので、次に付き合う人は将来を一緒に考えられる人でなくちゃ、と思うようになりました。もともと慎重な性格で、『ダメなら早めにサヨナラすればいい』という考え方はできません。さらに年齢を意識し始めたので、ますます難しくなりました。友人に『紹介して』とお願いして、実際に『こんな人がいるけれど、どう?』と言われても、会ってダメだったことを考えると行動に移せませんでした」

 純子さんのようなタイプは、辛抱強く寄り添ってくれるカウンセラーがいる結婚相談所を利用するのがいちばんいいと筆者は思う。ただし、結婚相談所に登録している男性は純子さんと同じぐらい「真剣だけど慎重」なタイプが多いため、平行線のまま交わらない可能性もある。

 また、いわゆる婚活の場は、膨大な会員データベースからお互いを選び合うことが主流なため、男性は年収や職業、女性は年齢や外見の不利によってお見合い候補から外されてしまいがちだ。最も有利なのは、見た目が爽やかで学歴も収入も高くて安定的な職業の30代男性。純子さんは女優の牧瀬里穂に少し似ている美人であるが、それでも集中力を高めて主体的に婚活しなければ、条件のいい同世代男性をつかまえることは難しいだろう。

■勇気が出ず、何もないまま1年が過ぎて…

 純子さんは婚活を本格化しないまま30代後半に突入。そこでチャンスが訪れる。同業の先輩があるイベントに誘ってくれたのだ。その会を主催していたのが現在の夫である紀之さんである。

 「人見知りな私にも優しく話しかけてくれていい人だな、と最初から思いました。私は社交性がないので、前に出られるタイプの人に憧れます。彼の見た目も好きでした。イケメンではなく、内面がにじみ出ているような外見です。彼を紹介した友だちからは『顔じゃなくて味をとったんだね』と言われました(笑)。褒め言葉だと思っています」

 ただし、すぐに交際を始められたわけではない。純子さんはその場で楽しさを表現したつもりだったが、純子さんのたたずまいと外見に同じぐらい好意を持ったという紀之さんからは「僕に興味はなさそう」と思われてしまったらしい。純子さんの不器用さがわかるエピソードである。

 またすぐにイベントで会えるだろう、という思惑も純子さんにはあった。しかし、不定期の会であり、純子さんには1人きりで参加する勇気はない。そのまま1年が経ってしまった。

 「また同じ先輩に連れて行ってもらう機会がありました。そのときには40歳になっていたので、早く結婚しなくちゃという気持ちが弱まっていたと思います。『もう人生は半分過ぎたんだな。結婚はいつしてもいいし、しなくてもいい』と。それまでは婚活サイトをよく見ていましたが、老人ホームを探すようになっていました(笑)」

 独身男性との出会いを探すよりも、友だちができればいいなというフラットな気分になっていたと純子さん。前回とは違い、紀之さんとも笑顔で会話することができた。肩の力が抜け、視野が広くなり、魅力も増していたことだろう。

 純子さんの変化を否定するつもりはない。しかし、アラフォーの独身男女をひたすら観察している筆者としては言っておきたいことがある。「婚活はもういい。ご縁があれば結婚したいけれど、これからは自然体でいく」と宣言する人は少なくないが、そのまま独身で人生を過ごす可能性のほうが圧倒的に高いのが現実だ。

 その覚悟と準備があるのならば言うことはないが、誰かと一緒になることを目指すのであれば安易に「自然体」になることはお勧めできない。「求めよさらば与えられん」という聖書の言葉どおり、求めなければ何かを得ることは難しいのだ。

 純子さんもようやく積極性を発揮した。3度目は勇気を出して1人でイベントに参加したのだ。そこで紀之さんとLINEを交換し、紀之さんにすすめられたマンガを読んだ感想などを送った。

 それからの展開は早かった。昨年秋に初デートをし、2カ月後には交際を始め、なんとその10日後には紀之さんからプロポーズされたのだ。

 「彼の地元までドライブしに行く途中でのことです。思わず『早!』と言ってしまいました(笑)。嬉しかったけれど、感情に任せて結婚を受けてしまっていいのかがわからなかったからです」

 ドライブしながらたくさん会話をしたところ、紀之さんはお互いの年齢を考慮して子どもができる可能性が高いうちに結婚しようと思ってくれたことがわかった。純子さんは「この人以上の男性はいない」と思いつつ、「子どもができるかどうかは年齢のことがあるのでわからない」と伝えた。そして、とにかく2人が一緒にいることが幸せで、プラスアルファで子どもが来てくれたらよりいい、という点で合意。帰路、海岸で夕陽を見ながら婚約を交わした。

 新婚生活はコロナ禍と重なってしまった。独身時代は公私ともに全国を飛び回っていた紀之さんも完全にリモートワークになり、純子さんよりも自宅にいるようになった。純子さんはそれが嬉しい。

 「付き合って結婚するまでが短かったので、2人で過ごす時間が長くていいなと思っています」

■結婚生活で得た温かな気配と安心感

 仕事以外はとくに何かをしているわけではない。お互いのおすすめマンガを読んだり、一緒に料理をして食事をしたり。ちなみに、紀之さんは片付けが苦手なタイプであることは交際時から純子さんは把握していた。

 「彼の1人暮らしの家に行ったら、お金が床に落ちていました(笑)。でも、生理的に嫌な汚さではありません。これは私のほうが変わらないと一緒には住めないな、と思いました」

 純子さんにはある経験がある。紀之さんと同じように片付けができない男性と付き合っていた際、強く言っても改善されず、相手を怯えさせてしまうばかりだった。

 「私の母はものすごくきれい好きで、子どもだった私が片付けができていないと夜中でも叱りつけてやり直させるような人でした。子ども心に『それは違うな』と思っていたんです。モノの置き場所をあまり細かく分類しないなど、苦手な彼でも片付けられる工夫をしようと今では思っています。片付けは私の趣味にすぎないのです」

 家事は7割方純子さんが担っている。しかし、「社交的なオタク」である紀之さんとの共同生活は楽しいと純子さんは笑顔を見せてくれた。

 「学生時代から20年以上、1人暮らしでした。気楽でいいけれど、生活を作っていく感じはしません。人と話すには、約束をしてから家の外に出ないといけないし……。今は、家の中に紀之さんがいる温かい気配があります。何気ないことも共有できるし、1人じゃないという安心感は例えようもなく大きいです」

 警戒心が強い人見知りを自認する純子さん。「真逆な性格」の紀之さんと結婚したことで、人間関係が広がっていくのを感じる日々だ。人生の残り半分を、純子さんは新鮮な気持ちで送れることだろう。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:10/30(金) 9:01

東洋経済オンライン

投資信託ランキング