IDでもっと便利に新規取得

ログイン

現金主義の人が実は「損する」納得のカラクリ

10/30 5:21 配信

東洋経済オンライン

「なんらかの事情があって働くのが難しい」「かといって起業もハードルが高い」「投資するにも元手がない」……。そんなスキルも経験もないわれわれはどうすればいいのか? 
新型コロナ感染症の流行により、大きな転換を余儀なくされた2020年。閉めざるをえなくなった店舗や仕事を失った人々も多い。もはや「安定」など存在しなくなった現代で、将来が不安なわれわれはどう自らの資産を築いていけばよいのか。「生きづらい人が生きていく方法」を提示し続けているえらいてんちょうこと矢内東紀氏が、「アフターコロナ」を生き抜くための投資法について、新著『とにかく死なないための「しょぼい投資」の話:お金がなくても生き抜こう』から一部を抜粋してお届けする。

■投資はしたほうがいい。ただ…

 新型コロナウイルスの流行、相変わらず猛威を振るっていますね。もちろん新型コロナウイルス感染症自体が厄介な疫病であるということもあるのですが、そもそも、ウイルスとして強い弱いとかの問題以前として、人々の意識、価値観が大きく変わってしまったということがオオゴトだと思います。

 社会には不安感、閉塞感が満ち満ちています。企業や店舗はバタバタと倒産し、個人事業主は仕事が途絶え、非正規雇用の人を中心に雇い止めになる人が多数発生しています。将来のお金に対する不安を持つ人も非常に多いことでしょう。

 投資をしたほうがいいかどうかでいうと、投資はしたほうがいいです。ただ、不安にかられて、今から慌ててなんとなくの知識で投資を始めても、結構な確率で大爆死することになってしまいます。

 そもそも、何のために投資をするのか、です。死なないために、生きていくために投資をするわけですよね。投資をバクチと一緒にしてはいけません。死なないためには、投資とは何なのか、そもそも価値とは、利益とはどうやって生まれるものなのかを知っておく必要があります。これを知らないと、増えるものも増えないし、増える効率も悪い、なんなら損をする、ということになります。いちばん大事なその部分から説明していきます。

 社会というものは、人間がただ生きているだけで消費する分より多くの価値を産み出さないと成立しません。生まれたばかりの赤ちゃんや、もう十分価値を生み出してきたお年寄り、その他さまざまな理由で自分が生きていくだけの価値を生み出せない人の分まで、社会全体で価値を生み出さないと成立しないからです。

 消費する分以上の価値を産み出すためには、基本的には何らかのアクションを起こす必要があります。寝ていても資産を生み出すものを誰かから受け継ぎ、まったく減らさずに生活できる、というケースは日本では非常にまれです。

 アクションを起こしてリターン、つまり価値を得るための方法には、大きく分けると2種類あります。「労働」と「投資」です。

 「労働」は自らの肉体を使って直接的に価値を生産するものです。何かを生産してそれを売る、どこかの企業で働いて価値を産み出す、などがあります。

 いっぽう「投資」は、株式・証券や不動産などのほかに、事業への投資、人物への投資などがあります。

 すなわち、自ら直接価値を産み出さず、ほかの何かにバウンドさせてから価値を産み出すことが「投資」なのです。

■「現金」に換えると損をするのはなぜか? 

 労働にせよ投資にせよ、アクションに対するリターンは、必ずしも現金と直接交換する必要はありません。むしろ、現金に直接替えると損をすることが多いのです。

 例えばTポイントカードってありますね。あのTポイントは、基本的に1ポイントあたり1円相当として使えます。ところがTポイントは、実は現金に替えることもできるのです。ジャパンネット銀行(今度、PayPay銀行に名前が変わるそうですが)の口座を持っていれば、いくつか条件はあるものの、100ポイントあたり85円のレートで現金化して、口座から引き出すことができます。

 重要なのはこの部分です。Tポイントよりも現金のほうが使いやすいですよね。日本でいちばん使いやすいのは日本円です。何でも買えます。でも、Tポイントを直接現金化すると、相対的に価値が下がってしまうのです。

 航空会社のマイレージサービスもそうです。マイルも現金化することができて、例えば10000マイルを現金にすると9000円ぐらいになります。しかし、マイルを航空券に変換するとだいたい2万円相当の航空券に換えられます。本来の価値は1マイルあたり2円、というところですね。これを海外旅行のビジネスクラスやファーストクラスを購入するのに使用すれば、1マイルあたりの価値は10円を超えることもあります。1マイル2円相当ですから、現金に替えると半分以下の価値しかなくなってしまうけど、特定のサービスに換えると5倍以上の価値にもなりうるわけです。

 つまり、こういう原則があります。「現金(=何にでも使えるもの)に替えると損をする」かわりに、「制約された状況でしか使えないものに換えると得をする」のです。これは、(変動要素はあるものの)「より一般的な価値を持つものに換えるとリターンは少なく、価値が制約されるものに換えるとリターンが大きい」と言い換えることもできます。

■「より使いやすいもの」ほど損をする

 「投資」というものの基本はこのシステムでできています。事業や人に対する投資にも、同じことが言えます。「どこでも使え、誰にでもその価値が理解できるものほど、得をする効率は低い」ということです。

 例えば1万円札を1000円×10枚にくずしたい、というときに、もちろん直接コンビニの店員さんに両替を頼むこともできないわけではないですが、あまり喜ばれることはないですよね。

 お店からするとお釣り用に1000円札を準備しているのに、それをまるごと1万円札に替えられてしまうと、「より使いにくい形」にされてしまうからです。なので、コンビニでガムか何か買って、お釣りを1000円札でもらったりします。この場合ももちろん100円分の商品は買っているわけですが、手持ちの現金は減ってしまいます。この時点で、1万円札の価値の一部を「より使いにくいもの」に変えることによって、喜ばれない1000円札への両替を成立させているわけです。

 昨今は電子マネーが全盛ですが、例えば1万円札をくずすとき、一部を自分の使っている電子マネーにチャージして、お釣りを現金でもらう、という方法もあります。電子マネーは現在かなり普及しているのでほぼ損にはなりませんが、まだまだ電子マネーが使えないところもありますので、やはり「より使いにくいもの」に変化させているという意味では同じです。

 価値や使いにくさをまったく変化させずに、1万円を1000円札10枚に両替する方法はないのでしょうか。ないわけではありません。例えば銀行の窓口に行けば、かなり待つとは思いますが両替できます。また、あなたが大手の銀行に口座を持っているとすれば、その銀行の大きなATMコーナーに両替機が置いてある場合があります。

 この両替機を利用すれば、手数料なしで両替が可能です。しかし、窓口ならば15時までに行かなければいけませんし、休みの日は開いていません。また、両替機は基本大きなATMコーナーにしかありませんから、最低でも駅前ぐらいまでは出なければいけないでしょうし、住んでいる場所によっては支店のある街まで行かなければならない、ということになります。この場合、価値も使いにくさも変化していませんが、あなたがその手間を背負わなければいけないわけです。

■投資で損をしない2つのポイント

 この話からさらにいくつかの重要な法則を学ぶことができます。ひとつは「日頃から付き合いのあるサービスをうまく利用すると、損をしないですむことがある(つまり、得をすることがある)」ということです。銀行があなたのお金を両替してくれるのはあなたが銀行口座を持ってくれていることに対しての特典ですから、口座を持っていない銀行でこのやり方は使えません。

 さらに、銀行の支店や大きなATMコーナーまで行けばまったく損をせずに交換できる、ということは、「あなたが手間や苦労をかけることで損をしないですむことがある(つまり、得をすることがある)」とも言えますね。

 同じところからもうひとつ、「どうせ利用するなら大手や、近くに店舗が多い(または、近くに店舗がある)、あなたがよく知っているサービス」ということも見いだせます。大手はたくさんの人が利用するので店舗数も多いですし、近くに店舗があればそれだけ利用するのに手間がかかりませんよね。

 当然ですが、これらはあなたがどこに住んでいて、どんな生活をしているかによって変わります。青森出身の人は青森銀行、鹿児島出身なら鹿児島銀行をメインバンクにしているかもしれません。あなたが青森や鹿児島に住んでいるならばそれで何の問題もないのですが、東京で青森銀行や鹿児島銀行の支店に行くのは至難の業です。もちろん、あることはあるのですが、都心に1店舗しかありません。

 逆に東京から地方に行った人、例えば三菱UFJ銀行は三大メガバンクのひとつですが、鹿児島で三菱UFJ銀行の支店に行かなければならないと思っても、隣の熊本県まで行かなければ支店はありません。青森はもっと大変で、三菱UFJ銀行は東北では仙台にしかありませんし、そうでなければはるばる海を渡って札幌まで行くハメになります。もちろん、ほかの銀行やコンビニなどでどうにかなることも多いのですが、たいてい手数料をとられますよね。

 ここまで書いてきたいくつかの基本的な法則を、次回はいろいろな分野に適用してみましょう。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:10/30(金) 5:21

東洋経済オンライン

投資信託ランキング