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再び開業延期、将来見えぬ「ホノルル鉄道」の今

10/29 4:50 配信

東洋経済オンライン

 ホノルルの鉄道計画はまたもや暗礁に乗り上げた。

 時を遡れば、2005年にホノルル高速交通公社(HART)が設立され、2014年からハワイ初の鉄道「ホノルル・レール・トランジット」の建設が始まった。オアフ島西側のカポレイやエヴァはベッドタウンとして開発が進み、それに伴い通勤や通学によって州間高速道路ハワイ1号線(通称H1)の渋滞が年々悪化し、それを解消しようとしたのが鉄道計画の始まりだった。

■アラモアナセンターまでつながるのか

 現在イーストカポレイ駅からミドルストリート駅まで高架鉄道工事が進んでいる。2020年に一部区間(イーストカポレイ-アロハスタジアム間)が開通すると言われていたが、その様子はない。「2017年開通予定だったのが予算不足の問題で建設が遅れ、その後、2020年後半に一部開通、2025年終点アラモアナセンターまでの全線開通という計画だが、はたしてアラモアナセンターまで開通できるのか」とハワイ州観光局公認ラジオ局KZOOニュースディレクターの小椋かりーん弘恵さんは疑問を呈する。

 今のところ、2021年3月にイーストカポレイとアロハスタジアムの間で運行を開始する見込みと言われている。一部開業が遅れた原因の1つは、電線を地下に埋めるなど地下設備の工事に問題があるためで、遅延に伴い数千万ドルの追加費用が必要になるという。

 当初53億ドル(約5565億円)と見積もられて開始した総工費は増加の一途を続けており、最新の報告書では90億円(約9450億円)から、100億ドル(約1兆0500億円)と見積もられている。ただ最新情報として、10月21日の市議会の予算委員会で、HARTのアンドリュー・ロビンスCEOは、残る4.1マイル(約6.6km)のミドルストリート駅からアラモアナセンター駅の建設において、「利用可能な資金を検討し、その資金の中で建設作業を進め、プロジェクトが維持できるように、段階的なアプローチで進める」と発表した。

 当プロジェクトに対する連邦政府の補助金は15億5000万ドル(約1627億円)で、うち2500万ドル(約26億円)は今年12月末で失効する可能性がある。これらの補助金を満額受け取るためにHARTとFTA(連邦公共交通局)が締結した合意は、ホノルル市がイーストカポレイからアラモアナまで20マイル(約32km)の路線と21の駅を造ることが条件なので、もし計画が変更になる場合は、FTAからの新たな承認が必要になる可能性がある。

 また、ホノルル市もこれ以上の予算を出せないとしており、鉄道プロジェクトの現在の一番の問題であるが、ホノルルの都市部を通る最後の4.1マイル(約6.6km)を完成させるために、第3セクターと官民パートナーシップを結ぶというのがHARTの計画だ。

 とはいえ、これまで鉄道計画は何度も修正され、足元では新型コロナウイルス感染拡大によりプロジェクトを進めようにも動きが取りづらい。「厳しい状況にある」とロビンスCEOは話す。今年11月にはホノルル市長選も行われるが、鉄道計画を進めている現市長は任期満了を迎え立候補をしていないことも先行きに不透明感を与えている。

■ハワイ経済は壊滅的な状況

 コロナ禍によってホテル、レストラン、小売店など多くの施設が休業に追い込まれ、ハワイでは失業者が続出している。

 クアロアランチなど一部の施設は開いているが、そもそも観光客がやってこない。地元の人が余暇を使って遊びにくる程度だ。現在、ロックダウンの状況は少しずつ緩和されつつあるが、11月半ばと予想されるレベル3(警戒レベル)へのリスク引き下げまで観光業は本格化しないと言われている。

 ハワイ州は連邦政府からコロナ関係の救済金8億6300万ドル(約906億円)をもらっているが、8月末時点で3億2100万ドル(約337億円)が未消化。年内に使いきらないと政府に戻さなくてはならない。ハワイ政府は10月16日から2カ月間の予定でレストランで使える500ドル(約5万2500円)のデビットカードを失業者約11万6000人に配布するといった取り組みも始めたが、対応が後手後手に回っている感は否めず、州政府のやり方に市民からは非難が集まっている。

 6~7月ごろからはコロナ感染収束は長期戦になるだろうと考える人も出てきた。「生き残るためビジネスモデルを変えなくてはと考え始めてきた人もいる」と話すのは、オンラインのビジネススクールを経営する内田直さん。例えばハワイのスポーツイベントを斡旋する会社は、コロナによってすべてのスポーツイベントがキャンセルになったため、オンラインで地元企業のロゴを使ったTシャツを販売するというまったく違うビジネスに変えた。

 また、小売業では経営が成り立たないと考え、オンライン講座を開設したり、バーチャルツアーを計画したりするなど、多くの経営者がビジネスモデルを変えて対応しているという。今後どれだけのビジネスが廃業に追い込まれるのか、それとも州政府が観光の扉を開けるのが早いか、瀬戸際の状態だ 。

 12月13日に予定されていたJALホノルルマラソンも開催を断念した。定期便の運航がいつ再開するか、また到着時の14日間隔離ルールがいつどのように撤廃されるのかも大きなポイントである。

■活気づく不動産業界

 そんな状況の中、不動産業界は活気づいている。コロナ禍においてリモートワークが進む中、アメリカ本土のIT長者たちがハワイ島、マウイ島をはじめ、このオアフ島でも人気のダイヤモンドヘッドのふもとの一等地の戸建て住宅やマンションを買いあさっているという。提示されている金額より多く出してまで買いたい人がいるということだから驚きだ。通常より安価なので現在は “買い時”なのだという。タイムシェアも底値と言われるほどまで下がっているので、まとめ買いをする人もいるという。

 10月15日からアメリカ本土からの観光客を迎え始めたが、ホテルはまだすべて再開しているわけではなく、シェラトンワイキキとモアナサーフライダーは11月1日、ロイヤルハワイアンは12月15日からオープンする予定だ。景気が冷え込んでいるせいか、スリが増えているという話も聞く。いつもならにぎやかなワイキキのクヒオ通りも人が少ないせいか、日中歩いていても後ろの人を気にしてしまうほどで、アメリカ本土にいるかのような緊張感が必要だ。

 リーマンショック時は元に戻るのに3年かかったと言われるが、地元エコノミストによると、2019年当時の経済状況に戻るには4~6年かかるという。ホノルルはそもそも物価が高いので、2年以内に3万人がホノルルを出ていくと言われている。この先、まずは年末年始にどれだけ観光客が入ってくるかが鍵になりそうだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/29(木) 4:50

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