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交際終了で「デート代半額請求」婚活のリアル

10/29 14:21 配信

東洋経済オンライン

“金の切れ目が縁の切れ目”という諺があるように、結婚を目指して付き合っていたカップルの関係が終わるときに、お金の問題はつきまとう。男性が女性に使ったお金を返金するか否かのトラブルが起こることもある。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、関係が終わったカップルのお金事情をケース別に見ながら、男女間でのお金問題を考えたい。

■アプリでマッチしたのは、年収2000万円の自営業者

 若い世代では、恋人同士が付き合うときに、割り勘が当たり前になってきているようだ。これだけ男女平等が唱えられている時代だし、男性と同等に稼いでいる女性も多いので、デートに使うお金も半分ずつ支払うのは至極当然のことだろう。

 では、婚活市場ではどうか。婚活アプリなどでは割り勘や会計を6対4で割るような女子割も増えているが、結婚相談所では、男性が女性のお茶代やデート代を出すのが、暗黙の了解事項だ。割り勘よりもごちそうする男のほうが、選ばれる傾向にある。

 先日、会員の洋子(仮名、36歳)から、こんな連絡が来た。彼女は、結婚相談所の婚活と並行して、女性が無料登録できるアプリでも、婚活をしていた。

 話は、アプリで付き合っていた男性、義昌(仮名、37歳)のことだった。

 「メールのやり取りをしているときから、趣味や食べ物の好き嫌いが一緒で、すごくウマが合うと思っていたんです。写真の顔もタイプでした」

 アプリに記されていたプロフィールは、年収2000万円の自営業者だった。初めてのデートで訪れたイタリアンレストランも、おしゃれで感じのいい店だった。

 「最初は私もウキウキでした。ただ話をしていくうちに、『仕事が忙しいのは、しょうがないと思っているよ。普通のサラリーマンの4倍は稼いているからね』とか、『今タワーマンションに住んでいて、上層階だから夜景がきれいなんだよ。1回住んじゃうと、もうタワマン以外には住めないね』とか、自慢話が多いのが気になりました。経歴も華やかな人だったので、何を話してもそう聞こえてしまうのかなと思っていたんですが……」

 しかし2回、3回とデートを重ねていくうちに、やはり自慢話が気になり、だんだんと鼻につくようになっていった。

 「“稼いでいる自分が上で、平均年収しか稼げないサラリーマンは下”という発言が多くて、私のウキウキしていた気持ちも、だんだん冷めていきました。3回目のデートを終えたときに、“もう会わなくてもいいかな”と思ったんですね」

 とはいえ、交際終了ときっちり線を引くのもどうだろうと迷っていた。そんなときに、4回目の誘いのLINEが来たので、洋子は、こう返信した。

 「私の気持ちが落ち着いてしまったので、少し時間をおいて考えてもいいですか?」

 すると即座に、返信がきた。

 「僕はあてのない返事を待つほど暇ではありません。残念ですが、もう連絡を取り合うのはやめましょう。これまでのデート代を精算したいので、下記の口座に1万5000円を振り込んでください」

 そこには、デートで訪れた店のレシートの写メも添付されていた。合計が3万2420円で、それを2で割れば、1万6210円。1万5000円の請求なので、わずかに女子割となっていた。

 「ただ3回のデートのうち、私が一度1000円のコーヒーをごちそうしているので、210円だけ彼が多く支払った計算になります(苦笑)」

 高収入でハイスペックの自分が、まさか歳の近い年収が自分の4分の1以下の女性に振られるとは思っていなかったのか。プライドが許さなかったのか。しかしながら、デートで使ったお金の半額を、関係が終わると即座に領収書とともに半額請求してくるのは、あまりにも了見が狭くないだろうか。

 洋子は間髪入れずに1万5000円をネットバンキングから、彼の口座に振り込んだそうだ。

■緊急事態宣言中、デートの誘いを断られ…

 義雄(仮名、45歳)は、2月に由紀子(仮名、35歳)と見合いをした。見合いのときから2人は意気投合。その後は真剣交際に入り、コロナ感染者が増えていくニュースが広がっていく中でも、義雄がレンタカーを借りて3密を避けるデートを繰り返していた。

 ところが、緊急事態宣言が出されると、由紀子がデートの誘いを断るようになった。

 「会社から、不要不急の外出は避けるように言われているの。私が外出して感染したら、会社に迷惑がかかるから、しばらく会えません」

 状況が状況なので仕方がないとわかっていたが、会えない日々が続き、彼女の気持ちが冷めてしまうのではないかと、義雄は危惧した。そこで、連絡だけは絶やさないようにした。

 毎日のLINEは、欠かさなかった。マスクや消毒液が店頭から消えて買えなかった時期には、知り合いのツテで買ったそれらを由紀子に送った。

 離れていてもできることをして、彼女の気持ちを引きとめておきたかった。

 5月に入り緊急事態宣言が明け、生活が徐々に元に戻りつつあった頃に、義雄から、「相談したいことがあります」と、私に連絡が入った。

 事務所にやってきた彼が言った。

 「僕としては、真剣交際に入っているのだし、結婚に向けての具体的な話を進めたいんです。でも、彼女はのらりくらりで、ちっとも前に進まない。あちらのご両親にもお会いして、正式ではないけれど、こちらの結婚の意向も伝えている。このままだとらちが明かないので、婚約指輪を買って、サプライズで渡そうかと思います。そうしたら、彼女も気持ちを決める気がするんですよ」

 結婚の意思表明をしないのは、由紀子が迷っているからだろう。そんなときに目の前に婚約指輪を出されたら、余計に戸惑ってしまう。そう思った私は、こうアドバイスした。

 「今婚約指輪を渡すのは、時期尚早だと思いますよ。それに多くの女性が、『婚約指輪は男性が内緒で選んだものではなく、一緒に買いに行って自分でデザインを吟味したい』と思っているの。彼女の気持ちが結婚に向かうようになるまで、もう少し待ちましょうよ」

 ところが、その2週間後、彼は都内のジュエリーショップで、ダイヤの婚約指輪を買ってしまった。そして、週末のドライブデートの別れ際、彼女の家の前で車から降りようとしている彼女に、小さな箱を差し出した。

 「婚約指輪だよ」

 「えっ?」

 一瞬戸惑ったものの、彼女はその箱を受け取り、車から降りて家の中に入っていった。

■サプライズの婚約指輪に「お金を返せ」はおかしい? 

 ところが、それから1週間後、彼女の相談室から、「交際終了」の連絡が来た。私が、それを告げると、義雄は憤慨した口調でいった。

 「指輪を受け取っておいて、交際終了?  なんですか、それ」

 実は指輪を渡したのを私が知ったのは、そのときだった。

 「えっ?  指輪を渡していたの?  まだ渡すのは早いって、この間私言いましたよね」

 「はい。でも、指輪の話は2人の間でしていたし、どんなプロポーズのされ方がいいという話もしていたんです。第一彼女は受け取ったんだし、結婚が嫌だったら、受け取らなければよかったじゃないですか。今さら“結婚がなし”だなんて、“指輪のお金を返せ”って言いたいですよ」

 彼の怒りもわかったのだが、この話はどう考えても彼のフライングだ。

 「指輪は、サプライズでプレゼントしたんですよね。だとしたら、『お金を返せ』と言うのは、おかしいのではない?」

 私と義雄の間では、こんなやりとりがあったのだが、後日、由紀子の相談室から連絡が入った。

 「このたびは、ご迷惑をおかけしました。『いただいた指輪の代金は、現金でお返ししたい』と申しておりますので、指輪の金額と振込先を教えてください」

 そして、そこから3日後、義雄の口座に婚約指輪の代金が振り込まれた。

 「今日は、彼女と指輪を買いに行きました」

 富生(仮名、37歳)から、ニコニコスタンプつきのLINEが送られてきた。今月の初めに、真由美(仮名、33歳)にプロポーズして受けてもらい、月末には成婚退会も決まっていた。

 私からお祝いが言いたくて、その夜、富生に電話をした。

 「どこで指輪を買ったの?」

 富生は、有名ブランドの名前を口にして、続けた。

 「あんな高級ブランド店、これまで足を踏み入れたこともなかったのですが、どれも高いのでびっくりしましたよ」

 「ずいぶんと奮発したのね」

 「彼女がそこのブランドで指輪を買うのが、夢だったそうなんです。だったらかなえてあげたかったし」

 富生の声は終始弾んでいた。うれしそうな声を聞いて、私も幸せな気持ちになった。

■1カ月も経たないうちに、雲行きが怪しくなった

 ところが、そこから1カ月も経たないうちに、この結婚話が怪しい雲行きになり、「相談したいことがあるんですが」と、富生から連絡が入った。

 「先週、彼女のご両親に挨拶に行ったら、すごく歓迎をしてくださったので、ホッとしたんですが、ここ3日間くらい彼女の様子がおかしいんです。LINEのレスもないし、嫌な予感がします」

 困惑しているようだったので、「彼女の変化に心当たりはないか」を聞いた。

 「実は、住む場所のことでもめたんですよ。彼女は都内でも都心部に近いところに住みたいようでした。でも、長い目で見たら、賃貸よりも買ってしまったほうがいい。僕の実家の近くなら、一戸建てを買うにしても、手が届かない値段ではない。電車に40分乗れば、新宿に行ける。その話をしたら、『私は生まれも育ちも東京なんだから、住むのは都内限定』と言われたんです。もちろん、それなら都内で検討してもよかったんですが、彼女の言い方がすごく高飛車だったので、こっちもカチンときてけんかになったんです」

 富生と私がこの話をした3日後に、真由美の相談室から連絡がきた。

 「かなり悩んだようなんですが、今回の婚約は解消したいそうです。指輪をお返ししたいと言っています。いったんウチの相談室に送ってもらうので、その後どうしたらいいか、ご教示ください」

 結婚相談所での交際は、確かに仲人間で交際終了を告げ合うのが規定になっている。しかし、それはプロポーズを受けるまでの話だ。

 今回は富生のプロポーズを真由美が受けた後の話。婚約した2人は、一緒に指輪を買いに行った。彼女の両親に挨拶にも行った。富生の実家へ挨拶に行く日取りも決まっていた。その後、真由美の気持ちが変わった。富生が、その変化に気付き、「話し合いをしよう」と言っても、彼女はまったく応じなかった。そして、相談室を通して一方的に断りを入れてきた。

 私は、連絡を入れてきた相談室の仲人に聞いた。

 「婚約解消の理由はなんですか?」

 「住む場所について、話がかみ合わなかったようです。住む場所だけでなく、だんだんとお互いに素の部分を出すようになってきたら、価値観が合わないと感じたようです」

■イニシャル刻印をした指輪に市場価値はない

 恋愛している恋人同士にしろ、婚約中のカップルにしろ、長年連れ添った夫婦にしろ、どちらかの気持ちが裏返ったら、関係修復は難しい。

 婚約解消は、受け入れるしかない。ただ指輪に関して言うなら、先述した男性のようにまだ彼女の気持ちが決まっていないのに、サプライズで男性が勝手に贈ったものではない。一緒に買いに行き、一緒にデザインを選び、指輪のサイズ直しをして裏側には、2人のイニシャルを刻印した。

 サイズ直しをしてイニシャル刻印をした指輪は、本人にとっては値段以上の宝物だが、市場価値にしたらタダも同然だ。以前結婚して半年で、男性のモラハラが原因で離婚をした元女性会員がいたのだが、数回しかはめていない鑑定書付きの50万円のダイヤの指輪を質屋に持っていったら、買取価格が5万円にもならなかったという。

 私は、この話をして、相談室の仲人に言った。

 「今回の件は、女性の気持ちが手に入れられなかった彼にも非がありますが、婚約解消の責任はフィフティフィフティですよね。しかも、婚約解消は女性からの申し出です。指輪は女性が買い取るという形で精算させてもらえませんか?」

 そして、数日後に、指輪の代金が振り込まれた。

 この3つのケース、いかがだっただろうか?  男女が付き合っていくうえでお金の問題はつねにつきまとう。また、関係が壊れたときに、それまでに支払ったお金、支払ってもらったお金をどうしていくのか、その精算の仕方はケースバイケースだが、とても難しい……。

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最終更新:10/29(木) 14:21

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