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サラリーマン個人のM&A、同業種を絶対に買収してはいけない理由

10/29 6:01 配信

ダイヤモンド・オンライン

 コロナ禍で早期退職者を募集する会社が増え、個人がM&Aで社長になるケースが増えているという。メガバンク勤務を経て、約20年に亘り、大手企業から中小企業、個人のM&Aに携わっている細川経営経理事務所の所長で税理士・中小企業診断士・CFP(R)の細川直哉さんに取材した。

● 20年でM&Aのトレンドは 大手企業から個人へ変化

 細川さんによると、ここ20年で、M&Aのトレンドが大きく変化したという。

 「20年ほど前は、買い手は大手がほとんどでしたが、最近は個人事業主や、会社員などの個人が会社を買うという案件も増えています。」

 この変化に伴い、「M&Aへのハードルも下がってきた」と細川さんは語る。

 「個人が自分の限られた資金で会社を買うので、買う会社の多くは後継者不在の中小企業です。つまり、子供がいない、いても継がないという事業を引き継ぐというケースがほとんどです。引き継ぎの期間はおおよそ1年以内がほとんど。引き継ぎの深さ、範囲は会社によって異なりますが、引き継ぎゼロは少ないですね。密に会ってしっかりとするところもあれば、引き継ぎは月1回程度というようなところもあり様々です」

 譲渡価格は300万~500万円程度で取引されることが多いとのこと。

 それでは一体、どういう視点で会社を選べばよいのだろうか。

● 今までとは異業種の会社を 選ぶべき理由

 細川さんによると、今までやってきた仕事(業種)と同じ、または近い仕事にせず、異業種の仕事を選んだほうがうまくいくケースが多いそうだ。

 その理由は、経営手法の違いにあるという。

 「個人でM&Aをする方の多くは企業で長年働いており、それなりの地位を築いた人が多く、その業種のことを熟知しています。しかし、上場企業・大手企業と中小企業では経営手法は違い、大手の理論は中小では役に立たないことも往々にしてあります。

 同じ職種でも、例えば、BtoB から BtoC のビジネスにするなど、ターゲットが異なるものであれば比較的成功する可能性が高くなります」

 これまで経験のない事業を引き継いだほうがうまくいく理由は、今まで働いていた方との関係性にもあるという。

 「同業種だとこれまでの『大企業の論理・ノウハウ・やり方』を中小企業に押し付けて『管理』してしまいがちです。それが原因で、従来の社員から反感を買ったり、信頼を失ったりしてしまう事例もあります。

 一方で、未経験業種であれば、新社長の方が社員に一から教えを請いながら引き継ぎを進めていくことで、自然とコミュニケーションが生まれて関係も良好になり、結果的に事業もうまく回るようになっていくのです」

● M&A成功のカギは 残ってくれる従業員との関係性

 「社長から社長の引き継ぎは実はそれほど重要ではありません。むしろ、重要なのは残ってくれる従業員です。会社のことを熟知している彼らとの関係性を作り上げ、しっかりとコミュニケーションをとることが成功のカギといえます」

 売り主の方も、複数のM&A専門の会社・マッチングサイトに登録して同時進行で話が進んでいる場合も多く、個人の買い主を成功させるためには第三者の判断も重要であるという。

● 失敗リスクの低減に デューデリジェンスは必須

 M&A成立後、経営がうまくいかず早々に売却、事業をたたむことになるケースも多い。その時とても重要になるのが、デューデリジェンス(事前の経営状況の調査)だという。

 例えば、会社を買ってすぐに資金繰りが悪くなり、自分の資金を投入するという事態もある。「自ら起業した中小の経営者にとっては珍しくないことですが、大企業で働いてきた人には想定外で、なかなか対応できないケースが多い」とのことだ。

 「デューデリジェンスでは、決算書などの帳簿のチェックはもちろん、帳簿外の資産状況を含めた企業の財務状況、法務要件を満たしているか、数字には表れていない問題がないかなど現地でヒアリングを行い、会社の価値を見極める材料とします。しっかり調査をすることで、リスクを軽減することができるのです」 

 期間は、およそ3カ月程度かけて行われ、300万~500万円程度のM&Aの場合、調査に掛かる費用は50万~300万円程度だという。

● 会社の購入費の支払いは 一括でも分割でも可能

 M&Aでは会社の購入金額以外にも資金が掛かるわけだが、購入時に関する興味深い話が聞けた。

 「一括で買うという方もいますが、最初にある程度の金額を払い、残りを分割で支払う方も少なくありません。例えば、元の社長に役員として会社に席を残してもらい、役員報酬や給与という形で支払うといった方法もありますし、買収後に儲かったキャッシュフローで支払うというケースもあります」

 M&Aで成功する秘訣について細川さんは、「最終的にはどれだけその会社を好きになれるかが重要だ」と語る。

 「数字的にいい会社であっても、自分自身が経営者となって事業を行うからには、その会社への思いがなければ成功するものも成功しません。企業経営の原点ともいうべき熱意が最も大切なのです」

 (泉澤義明/5時から作家塾(R))

ダイヤモンド・オンライン

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最終更新:10/29(木) 12:16

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