IDでもっと便利に新規取得

ログイン

誰でも芸術家に投資できる!? 急成長するアート投資最前線

10/29 8:32 配信

HARBOR BUSINESS Online

 まだ認知されていない才能に投資し、莫大なリターンを得る。そんなアート投資の醍醐味を手軽に実現するサービスが登場、にわかに熱気を帯びている。その仕組みとは?

◆100円からカウズ、バンクシーの「一口オーナー」になれる

 米国大型株で構成されるS&P500が過去最高値を更新するなど、コロナ禍にあっても米国株の堅調さは揺るがない。しかし、それを遥かに上回る勢いで成長するマーケットがある。絵画や彫刻などに投資するアート市場だ。

 その市場規模は、実に7.5兆円。グラフはトップアーティスト100人の作品に投資した場合の利回りの推移を表したものだが、S&P500すら寄せつけない右肩上がりの成長ぶりをみせている。

 もっともわかりやすい事例がZOZO創業者の前澤友作氏が購入したことで知られるバスキアだろう。’84年時点で1万9000ドルだった作品が’17年には1億1050万ドルへと、実に5816倍も値上がりしているのだ。ニューヨークを拠点にアートや写真のキュレーションを手がけてきた河内タカ氏は、こう解説する。

「現代アートのこの20年の高騰ぶりには目を見張るものがありますが、アートマーケット自体、’80年代からずっと伸び続けています。最高峰のゴッホやセザンヌなどの作品は、ジェット機よりも高価格で落札されていますし、現代の作家も有名美術品での展示によって格段に価格が跳ね上がっていきます。高額な美術品が安定資産たる所以ですね」

◆ストリートアートバブルの裏に“裏原カルチャー”?

 昨今ではバンクシーなどストリート発のアーティスト作品が億単位で落札されるバブルが沸き起こっているというが、その背景には日本の影響も大きいという。

「いわゆる“裏原宿カルチャー”です。彼らは早くから自分たち好みのアートをプロダクトに落とし込み、一部で熱狂的なファンを獲得していった。その代表的な例がカウズでしょう。’01年に僕がパルコギャラリーで企画した『KAWS TOKYO FIRST』は、カウズにとっておそらく初めての個展だったのですが、当時は学生でも買えるような価格で、それがとてつもなく値上がりするとは誰も想像しなかったはずです。そうした若手作家らとのコラボをルイ・ヴィトンなどのハイブランドが率先して行ったことで、ストリートアートに対する認知度と評価がより一層高まりました」

 とはいえ、投資になりうる作品を買えるのは前澤氏のような富豪だけ。庶民にはハードルが高いと思えてならない。しかし、そんな既成概念を覆すプラットフォームが登場した。バンクシーやカウズといった人気作品を100円から共同保有できる「STRAYM(ストレイム)」である。

◆共同保有で実現できる資産としてのアート作品

 代表の長崎幹広氏は、サービス立ち上げの動機をこう語る。

「日本には感度の高い潜在的アートファンが多いにもかかわらず、市場規模は3000億円ほど。これはアメリカの13分の1、イギリスと比べても7分の1しかありません。でも、これは裏を返せばアートの資産性が認められたら、一気に伸びるポテンシャルを秘めていると私は考えました。そして考案したのが、『100円からアート作品を購入できる』プラットフォームだったんです。これは一つの作品の権利を分割し、みんなで共同保有できる仕組みであることが最大の特徴。もちろん、購入した権利は売ることもできます。作品の保管はもちろんですが、分割された権利の売買をデジタル上でなめらかに実現することで、アートへの投資をより身近なものにするのが狙いです」

 ストレイムが提供するサービスは、一口馬主と非常に似ている。一頭まるごと一人で買うのはハードルが高いが、複数人での共同購入ならその障壁はグッと下がるというわけだ。同サービスの場合、作品が公開されるとスタート時の価格はすべて100円から。人気のある作品には当然買い注文が殺到し、価格は瞬く間に上昇する。

「例えば河村康輔さんの作品は昨年末月に100円からオーナー権を公開。現在480円で取引されています。価格は板取引によって決定し、まだ上がると思えば持ち続ければいいし、利益確定して別の作品を購入するのもアリ。プラットフォームにはSNS的な機能も備えており、『目利きがどんな作品を買っているか』を参考にしながら投資を行うのも面白いと思います」

「作品価格」は、株式の時価総額と同義で、「公開時の作品価格」はオークションにおける最初の販売価格。共同オーナー権/総数は作品を分割した枠の数を示す数字で、株式でいえば総発行株数を表す。オーナー権/単価とは、作品の現在価格を測る指標で、直近に約定した価格が表示される。

◆クリエイターとコレクターの懸け橋に

 共同購入とはいえ、保有者のコレクター心をくすぐるギミックもふんだんに施されている。

「権利保有者には証明書を発行しますし、作品を美術館に貸し出したり、コレクションを実際に見られるように展覧会を企画することも。投資対象としてトレードすることはもちろんですが、アートを持つ悦びを味わえるように趣向を凝らしています。ピンとくる作品を見かけたら、ぜひ買ってみてほしい」

 クリエイターとコレクターの懸け橋として、これまでにない機能を実装したストレイム。いまのうちから青田買い、は十分アリかもしれない。

【長崎幹広氏・STRAYM代表】

アサツーディケイを経て、クリエイティブ・エージェンシー「風とバラッド」に参画。広告業界におけるAI活用事業開発にも携わる。ストレイム代表

【河内タカ氏・編集者】

’80年代よりニューヨークを拠点に多数の展覧会のキュレーション、写真集の編集を手がける。著書に『アートの入り口』『芸術家たち』などのシリーズがある。

<取材・文/仲田舞衣 櫻井一樹>

HARBOR BUSINESS Online

関連ニュース

最終更新:10/29(木) 14:42

HARBOR BUSINESS Online

投資信託ランキング