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猫が飼い主の顔色を読んで振る舞っている証拠

10/28 15:31 配信

東洋経済オンライン

近年急速に進む猫の研究。そのなかで、これまで謎に包まれていた「猫の能力」が明らかになってきている。猫専用ヒーリングミュージックCD付きの『猫がゴロゴロよろこぶCDブック』を著した猫の心理学者が最新の研究から解説する。

■猫の鳴き声は人好みにかわいく進化した!? 

 仕事に集中していると、すたすたと歩いてきて、「にゃお~ん」とかわいく鳴く猫。ついついかまってあげては仕事が進まず……なんていう経験をしている飼い主は、私だけじゃないはず……。

 猫の「ミャオ」という鳴き声は、意外にも大人になった猫同士ではほとんど使われません。本来、仔猫が母親の気を引くための鳴き声だからです。

 つまり、大人の猫が「ミャオ」と鳴くのは、対人に限定されているのです。

 猫は対人用コミュニケーションで自らの強力な武器である「かわいい」鳴き声を使って、人を見事に操っているのですね。

 それではその鳴き声は、昔からかわいかったのでしょうか? 

 祖先種と比較して、本当にかわいくなっているのかを調べた論文があります。

 アメリカのコーネル大学の研究者は、ヤマネコの「ミャオ」という鳴き声と猫の「ミャオ」という鳴き声の音響解析を行いました。

 すると、猫の「ミャオ」の方がより短く、高くなっていることがわかりました。

 一般的に高い声は「小さな生き物」を示唆します。

 この解析結果からも、猫の声がかわいい鳴き声になっているといえそうです。

 この研究のおもしろい点は、それを実際に人に聞かせて、「どれくらい心地よいのか」を評定してもらったところです。この評定を行うことで、人が聞いて「かわいい」声に進化したのかどうかが明らかになります。

 その結果、ヤマネコの鳴き声よりも、猫の鳴き声の方がより心地よいと判断されました。

 猫は人と共生するようになって、人が好むような声に変化させてきたといえます。

 おそらく、猫と人の共生が始まった頃に、たくさんいる猫のなかでも、たまたま人が聞いてかわいい声で鳴く猫に、人が多くの餌をあげたりしたのでしょう。その猫の栄養状態はよくなり、より多くの子孫を残したと推測されます。

 もしくは、甘え上手な猫が屋内で大切に育てられたなどの経緯があったのかもしれません。そのような共生の歴史のなかで、かわいく鳴く猫が多く生き残っていったのだと考えられます。

 みなさんは、猫が窓の外を見ながら物思いにふけっているような様子を見たことはありませんか? 

 このような猫の様子を見ていて、1つ気になることがありました。

 それは、猫も人のように、楽しかった思い出などをなつかしく思い出したりするのだろうか?  ということです。

 いわゆる「思い出」を心理学では「エピソード記憶」と呼びます。

 猫のエピソード記憶を調べる方法は次の通りです。

 4つのさまざまなお皿を用意して、すべてにごはんを入れます。

 お皿の前に猫を連れて行き、お皿に入ったごはんのうち2つは食べさせますが、残りの2つのお皿からは匂いを嗅がせるだけで、食べさせません。

 その後15分程度、他の部屋で違う実験をしたり、一緒に遊んだりしてごはんのことをいったん忘れてもらいます。

 15分後、もう一度お皿の置いてある部屋に猫を入れ、自由に探索させます。

 猫が記憶を頼りに探索行動ができるように、お皿の中身は実験者によって取り除かれています(もしごはんがそのまま放置してあると、猫はごはんという外部の手掛かりを用いてしまうため)。

■猫が探索したお皿は? 

 さて、猫はどのお皿を探索したでしょうか? 

 結果は、猫は先ほど食べ損ねたお皿を長く探索することがわかりました。

 「あれ?  さっき食べ残したはずなのに……」とでも思っているのでしょうか。

 このような実験から、「猫もエピソード記憶をもつ」ということがわかりました。

 実はこの実験は犬でも行われたのですが、結果は猫とほとんど一緒でした。

 犬も猫もお留守番中や、ふとした瞬間に「昨日飼い主さんと遊んで楽しかったなあ」「さっきもらったおやつ、おいしかったな」などと思い出しているのかもしれませんね。

 また、エピソード記憶は、未来に向けた想像力との関連も指摘されています。

 もしかしたら窓の外や飼い主を見つめている猫は、これまでの猫生のいろいろな回想をしたり、「明日、あのおやつをもらえたらいいなあ」と思ったりしているのかもしれません。

 猫と暮らしていると、猫の自由奔放な行動に悩まされることもあります。

 そこで、日々の暮らしから疑問が湧いてきました。

 猫は人の表情(顔色)を読むのでしょうか?  そんな疑問に答えた研究があります。

 2015年にアメリカの研究者が「猫は人の感情を区別できるのか」についての論文を発表しました。

 実験はすごくシンプルです。

 飼い主と知らない人がそれぞれ、楽しそうな表情/怒った表情を表出し、その際の猫の行動を観察します。

 この実験のポイントは、声の効果を除外するために、表情のみを表出するところです。
怒り声を出してしまうと、本当に猫が表情を読んだのか、声を手掛かりにしたのかがわからないからです。

■知らない人の表情には関心がない

 その結果、猫は飼い主が楽しそうな表情をしているときによく接近し、猫自身ポジティブな行動(耳を前に向ける、リラックスした姿勢をとるなど)をよく見せることがわかりました。

 一方で、知らない人が楽しそうな表情を見せても怒りの表情を見せても、猫の行動は変化しませんでした。大変おもしろい結果です。

 おそらく猫は、人の表情を一般化して理解してはいないのでしょう。

 「飼い主さんがこんな感じの顔をしているときは、近寄っていくといいことがある!」と個別の学習をしていると考えられます。

 そのため、知らない人が同じ表情を見せても、猫にはなんのことかわからなかったのかもしれません。もしくは、知らない人に対しては親しくしてほしくなかった可能性もありますが……。

 犬の場合、たとえ知らない人の刺激を用いてもポジティブな表情とネガティブな表情を区別できるといわれています。犬はより一般的な「人の表情の理解」が見られるといってもよいのかもしれません。

 犬に対して猫は、飼い主の表情を地道に学んでくれているとすると、とってもかわいい結果だなと思います。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/28(水) 15:31

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