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コロナで「資産が激増した人」たちが、いま世界中で「高級ブランド」を買いまくっていた…!

10/28 7:01 配信

マネー現代

(文 岡村 聡) コロナの世界中での新規感染者数は、最多を更新する日もありその猛威はとどまるところを知りません。一方で、コロナを比較的にコントロールしているアジアやオセアニアの国々では個人消費に明るい兆しも見えてきています。今回はその主役となっている高級ブランドについて、その急回復のトレンドと背景にある要因について紹介します。

マリーナベイサンズ前のアップルストア

 今、シンガポールで最も注目を集めている施設に、マリーナベイサンズ (MBS)の前に新たにできたアップルストアがあります。シンガポールを象徴する建物であるMBSに引けを取らない奇抜なデザインで、海上に位置する球体の建物に地下のショッピングモールからアプローチする構造です。

 シンガポールでは新型コロナの感染が外国人労働者中心で、こうした労働者が暮らす隔離された寮以外のいわゆる市中感染は9月以降ずっと1桁が続いています。10月に入ってからは、外国人労働者も含めた国全体の感染者数でも1日に1桁まで落ちてきて、市中感染についてはゼロの日が過半となっています。

 新型コロナの脅威がシンガポールにおいてはほぼなくなり、街中の様子もマスクをしていること以外は、コロナ前と変わりなくなってきています。

 コロナ前よりも明らかに人出が増えているのが高級ブランド店です。後述するようなマクロトレンドを受けて、富裕層ほど資産額と手元資金が増えていて、そうしたお金が高級ブランドの消費に流れ込んでいます。

ヴィトン、ディオールには連日行列が…!

 オーチャードなどシンガポール中心部のルイヴィトンやクリスチャンディオールといった高級ブランドの前には、店舗入場の人数制限をしていることもあり、休日の午後はいつも行列ができています。

 前述したアップルストアはさらに人気となっていて、店頭でしかもらえない店舗入場のための整理券が当日分は朝のうちになくなってしまい、翌日以降の整理券を取得して、改めて出直さなければならないほどです。

 MBSに併設されたショッピングモールの地階から、ヘッドホンやカバーなどのカラフルな付属品が展示された海の下に位置する長い通路を抜けて、エスカレーターで光が差し込むガラスの球体に入るという動線は、テーマパークのアトラクションのよう。それ自体がエンターテイメントとなっています。

 巨大なモニターが設置されて、海上からMBSにマーライオン、フラートンホテル、マリーナ地区の金融街の超高層ビル群とシンガポールを代表する光景が、360度に見渡せる球体のビルはまるで海に浮いているようで非現実感が満載です。

 帰り際にも、アップル製品を彷彿させる円形の銀色に輝くエレベーターを使うなど、アップルらしいこだわりが徹底されています。

 世界最大の時価総額を誇るアップルのブランディングがさらに強化され、卓越した店舗体験を提供しています。

「超リッチたち」の資産額が史上最高に

 なぜ、コロナ後にこれほど高級ブランドの店舗消費が好調なのでしょうか。

 1つは他の支出先がコロナで制限されていることが挙げられます。旅行やエステやジムといったサービスから、さらには劇場やテーマパークといったエンターテイメントまでコロナで大打撃を受ける中で、こうした家計に占めるサービス支出の割合が高い富裕層ほど手元資金が豊富にあり、高級ブランドの支出に回っています。

 また、富裕層の資産額がコロナで逆に増大していることも背景にあります。

 コロナでデジタルトランスフォーメーション (DX)が加速し、この恩恵を受けるテック銘柄を経営している、もしくは株式を大量に保有している富裕層の資産は過去最高額となっています。

 スイス大手銀行UBSの推計によると、世界中の10億ドル(約1,060億円)以上を保有しているビリオネアの資産は今年7月末時点で10.2兆ドル(約1,080兆円)と史上最高を更新しました。

 また、調査会社ウェルスXによると北米の金融資産3,000億ドル(約32億円)以上の超富裕層たちの資産も3月末から8月末まで5カ月で37%も急回復し、さらに9月に入ってからコロナ前のピークであった昨年末の資産額を回復したようです。

 この背景にもテック株を中心とした米株高があります。

ルイヴィトンの売上が急拡大

 このように富裕層の資産額は過去最高となる一方、コロナで使い道が限定されることで、高級ブランドの消費は急回復しています。

 すでにこのトレンドは企業業績にも表れてきています。

 コロナによるロックダウンをアジアでも真っ先に解除した中国ではすでに今年の第2四半期から高級ブランドの売上は回復しており、LVMH (ルイヴィトンモエヘネシー)が前年同期比で65%増、グッチなどを擁するケリングが同40%増と好調に推移し、第3四半期に入ってからも好調に推移しているようです。

 また、メルセデスやBMW、さらにはEV最大手のテスラなどの売上も中国では第2四半期以降に好調に推移しています。中国だけでなく、オーストラリアでも6月のメルセデスやBMWといった高級車の売上は単月で過去最高となり、高級ブランドの店舗の前にはロックダウンの解除とともに行列ができていると報じられています。

 シンガポールを含む東南アジアでの高級ブランドの売上回復は、第3四半期に本格的に始まっていますから、10月以降にどのような数字が出てくるのか楽しみにしています。

 コロナがグローバルで感染拡大した後は、仕事環境だけでなく個人消費についてもオンライン化が加速し、アマゾンやショッピファイなどeコマース業者が大きな追い風を受ける一方、多くの店舗型の小売業者は前年から大きく売上を落としています。

 しかし、富裕層の資産増加と他の選択肢減により躍進する高級ブランドや、店舗体験をエンターテイメントの領域まで高めたMBS前のアップルストアなど、工夫を凝らせば店舗を有効活用はまだまだ可能です。

オンライン・エクササイズが世界的に急成長

 LVMHなどの高級ブランドも今の一時的な急回復に満足することなく、オンラインでの購入体験に多額の資金を投じており、今後の小売りのトレンドとしては高級ブランドを含むどのような業態でもオンライン化が当然となっていきます。

 同時に、店舗をオンラインと連動させながらどのように強化していくのか、アップルのような成功例が他の業態でも出てくることを楽しみにしています。

 コロナ後のトレンドとしては、ここまで紹介してきたDXや高級化以外にも、ESG (環境・サステイナビリティ・ガバナンス)や健康志向といったキーワードがグローバルで共通して浮上してきています。ESGについては、自動車業界で投資家からの資金がEV最大手のテスラに集中して、トヨタを超えて世界最大の時価総額を誇る自動車メーカーとなっていることは、以前にも別のコラムで紹介しました。

 また、コロナを受けて、感染症対策としての体力向上はもちろん、旅行など他の趣味に投じる時間が無くなったことで、エクササイズをできる時間が増えたこともあり、健康志向の高まりもグローバルで顕著となってきています。

 コロナ前からトライアスロンに取り組んでいる筆者の周りでも、明らかにランやバイクの練習をする人はシンガポールでも増えてきていますが、この健康志向についてもオンライン・オフラインをうまく連携させた企業が出てきています。

 その最大の成功例は米国のペロトンです。ペロトンは2012年に米国で創業された健康器具の会社で、エアロバイクが主力商品です。大きな画面を備えてオンラインで様々なインストラクターによる動画や世界中の良い景色のトレイルを見ながら自宅でエクササイズができ、コロナにより劇的に業績を伸ばしています。

コロナが生んだ新トレンドに注目!

 ペロトンは19年9月にナスダックに上場しましたが、好調な業績を受けて上場初日の終値から5倍にまで株価が上昇し、時価総額も4兆円をうかがうところまで来ています。

 シンガポールでは10月からランなどのスポーツ大会が復活してきていますが、密にならないように決められたコースを定められた2週間の中から自分が都合の良い時間帯を選んだ上で計測アプリに登録して、タイムを計ることで順位を決めるというオフライン・オンライン連動型で行われます。

 コロナで大打撃を受けた小売業界ですが、コロナ後のトレンドに乗ったり、うまくオンラインを活用したりすることで強かに成長している企業が出てきています。

 コロナで売上を落とす企業が多ければ多いほど、新しいトレンドにうまく適用した企業の成長速度は高まりますから、今後もどのような適応例が出てくるのか注視していこうと考えています。

マネー現代

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最終更新:10/28(水) 7:01

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