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「減塩で血圧は下がらない」医者が語る衝撃事実

10/27 17:11 配信

東洋経済オンライン

「減塩すれば血圧は下がる」「少し高いほうが長生きする」はウソ、と内科医の奥田昌子氏は指摘します。日本人の半分は塩で血圧が上がらない体質であり、血圧は少し上昇するだけで血管を傷つけます。
食事や運動、生活習慣によって血圧を正しく効率的に下げる方法を解説した奥田氏の著書『血圧を最速で下げる』(幻冬舎新書)を基に、今回は「血圧の危険度チェックテスト」を紹介します。

■チェックが5個以上ついたら要注意

 血圧は高くないほうがよいことはわかっていても、自分がどのくらい高血圧に近いところにいるのかは見えづらいものです。

 以下のチェックテストで血圧の危険度がわかります。30の項目のうち、自分によくあてはまると思うものにチェックを入れてみてください。

1. 魚より肉をよく食べる
2. 睡眠時間が平均6時間未満だ
3. 血圧の上と下の差が65以上ある
4. 両親もしくは親のどちらかが高血圧だ
5. 中性脂肪やコレステロールの数値が高い
6. 月曜は朝から猛然と仕事に取り組む
7. ビタミンC不足だと思う
8. 冷え症だ
9. 喫煙している(新型タバコをふくむ)

10. ウォーキングやジョギングより筋トレに力を入れている
11. にぎり寿司8貫では物足りない
12. 骨密度が低い
13. 健康診断で「血圧が高い」といわれる
14. 醤油やソースは料理に直接かける
15. 朝食はパン派だ
16. 湯船につからずシャワーで済ませることが多い
17. 果物を積極的に食べている
18. 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上ある
19. 休日の朝は平日より1時間半以上遅く起きる
20. 1週間の飲酒量が男性6合、女性3合以上だ〈アルコール量の参考……日本酒1合=ビール中びん1本=焼酎0.6合(約110ml)=ウイスキーダブル1杯=ワイン1/4本=缶チューハイ(ロング缶)1本〉

21. 同年代の人とくらべて白髪が多い、あるいは薄毛が進行している
22. 海藻やキノコをあまり食べない
23. ED(勃起不全)かなと感じることがよくある
24. 運動不足だと思う
25. 午後の会議で寝てしまうことがある
26. 魚の塩焼きと煮つけなら煮つけを選ぶ
27. おかずの品数が一汁二菜より多い
28. 土日の夜は寝る間際まで酒を飲む
29. 家族にいびきを指摘されている
30. 朝起きると口やのどがカラカラなことがある

・4項目以下の人……とくに問題なし
・5~10項目の人……危険度1
・11~17項目の人……危険度2
・18項目以上の人……危険度3
 結果はどうでしたか?  チェックが5個以上ついた「危険度1~3」の人は要注意です。

 おそらく、大部分の人が5個以上あてはまったのではないかと思います。なんといっても高血圧は日本で最も患者数の多い病気です。

 とくに男性は、予備軍を入れると30代のほぼ3人に1人が血圧が高く、40代では半数を超え、50代は3人に2人を超え、60代になると5人のうち4人以上と、年齢を重ねるにつれて着実に増加します。

 こんなに身近な病気なのに、高血圧がなぜよくないのか、どのくらいよくないのかとなると、ピンと来ない人が少なくないようです。

 「とくに自覚症状はありません」と語る患者さんの顔はなんだか誇らしげです。頭が痛いとか、ぼーっとするわけじゃないから、とりあえず心配しなくてよさそうだ。気にはなるけど、もう少し様子を見てみよう。そう考えるうち何年も過ぎたというのが実情かもしれません。

 たしかに、危険なくらい血圧が高くなれば、なんらかの自覚症状なり、前ぶれなりがあらわれてもおかしくなさそうですが、高血圧だけでは自覚症状は起こらないと考えてください。

 激しい頭痛が起きることもありません。人の体には、体の血圧が上がっても、脳の血圧の上昇をおさえて脳を守るしくみがあるからです。高血圧が「沈黙の殺人者」、英語でサイレント・キラーと呼ばれているのはこのためです。

■女性も安心できない

 では、血圧がどのくらいまで上がったらマズいのでしょうか。昔からいうように、上の血圧が年齢プラス100より低ければ問題ないのでしょうか? 

 はい、大間違いですね。たとえば、上の血圧が116ミリで下が78ミリの男性Aさんと、上の血圧が128ミリで下が82ミリの男性Bさんをくらべてみましょう。ちょっと見ると、二人とも血圧の心配はなさそうです。

 ところが、Bさんは心筋梗塞をはじめとする心臓の病気にAさんの5倍以上なりやすいことが、日本人を対象とする大規模な調査からわかっています。

 女性も安心できません。女性の場合、上記の数値だと、BさんはAさんとくらべて脳卒中の危険が3倍高くなります。

 血圧は一定の数値を超えたら危険ということではなく、ほんの少しでも上がれば、上がったぶんだけ血管の壁を傷つけるのです。

 現在薬を飲んでいる、いないにかかわらず、チェックテストで5個以上だった人は生活習慣の修正にただちに取りかかる必要があります。

 高血圧は正式には高血圧症といい、現代の日本で最も患者数の多い病気です。そのため、私も日常診療や健康診断で皆さんのような人とお話しする機会がよくありますが、生活指導の難しさは医者泣かせです。

 「血圧?  塩分は控えめに。野菜を中心に。あと運動も大事よね」と、自分から解説してくれる患者さん。しかし、検査結果を見れば、そういう生活を送れていないのは明らかです。

 テレビ、書籍、雑誌、新聞、クリニックやお役所に置かれたパンフレットなどを通じて高血圧に関する情報が大量に流れ、皆さん少々食傷気味。もはや慣れっこになっていて、まるで他人ごとのように受け止め方が軽いのです。

 こういうときの私の切り札は、「いえ、必要なのは減塩ではなく、その体重を落とすことです」ときっぱり言うことです。減量カードをちらつかせると、患者さんはたいてい、「えっ、そうなんですか?」と敏感に反応します。

 減塩しなきゃと思って、それなりに気をつけているんだけど、血圧はちっとも下がらない。何か勘違いしてたんだろうか? 

 減塩しなくてよいわけではありませんが、食事のポイントはほかにもありますし、減量と運動を避けて通ることはできません。「でもね、運動といっても、散歩がてら町内を一回りするのではだめですよ」と話すと、患者さんがぐっと身を乗り出します。「何かコツがあるんですか?」。

■「塩分摂り過ぎ高血圧」はかなり減少

 ひととおり説明すると、自分だけが特別な秘密を知ったような気持ちになるのでしょうか、「今日はいい話を聞きました」と患者さんは満足そうです。

 そうなのです。気にしている人がこんなに多くて、情報がこんなにあふれているのに、高血圧ほど誤解と思い込みが多い病気はほかにないと思います。「血圧が上がると頭がふらふらする」。そんなことはありません。「薬は飲み始めたらやめられない」。これまた間違いです。

 かつて日本は塩分の摂り過ぎによる高血圧が多く、そのせいで脳の血管が破れて起きる脳出血は長らく日本人の死因第1位でした。ありふれた病気だったために、思い込みや根拠の少ない民間療法もまた深く浸透し、根強く残っているのかもしれません。

 その後、減塩が進んだことで「塩分摂り過ぎ高血圧」はかなり減少しましたが、今も成人の約半数が高血圧に悩んでいます。減塩の効果に下げ止まりが近づくなか、新たな脅威が登場したからです。

 それが、食べ過ぎなどを原因とする「メタボ高血圧」です。近年、お腹の脂肪、正確にいうと内臓脂肪が蓄積すると血圧が上がることが明らかになっています。

 高血圧という病気の本当の顔も見えてきました。

 一つは、高血圧はいわゆる中年太りや白髪、シワ、EDこと勃起不全、白内障、認知症などと同じく老化現象であることです。

 そしてもう一つが、高血圧は以前考えられていたような独立した病気ではなく、全身の血管の壁を劣化させ、ほかの生活習慣病や老化を引き起こす土壌であるということです。

 昨今、おもにインターネット上で、人の外見の変化に関して「劣化」と表現することがあるようです。年齢にともなう自然な変化をさす「老化」に対して、「劣化」は質の低下に目を向けた表現です。人が劣化することはないため、人に対してもちいるのは不適切ですが、血管は劣化して、健康と若さ、そして命をむしばみます。

■傷ついた血管の回復は不可能ではない

 少し前まで、一度あらわれた老化のサインを取り消したり、劣化した組織を回復させたりするのは不可能と考えられていました。

 しかし、必ずしもそうではないようです。傷ついた血管を癒やして血圧を安定させ、老化現象全般にブレーキをかけるための有望な手がかりが少しずつ集まってきています。

 自分なりに健康に気をつかってきたつもりでも、30年、40年と経つうちに血管の壁は汚れて細かいキズが無数につき、硬い場所、ぶよぶよした場所があらわれて、血液の流れが悪くなっていきます。

 壁の汚れを落とし、血管を休ませて傷の修復を促せば、血圧が次第に安定し、体が変わったことに気がつく日が来ます。

 「最近、朝起きたときに頭がすっきりしているな」「信号が急に点滅したから小走りで渡ったけど、体が軽くて驚いたよ」「添えものの野菜すらおいしく感じるようになった」。

 中高年になっても体はこたえてくれます。思い立ったが吉日です。さっそく血管の大掃除を始めましょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/27(火) 17:11

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