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11月以降、日米の株価はジワジワ上昇しそうだ

10/26 6:01 配信

東洋経済オンライン

前回の当コラム「日本株の先行きで米大統領選より気になること」(10月12日付)では「アメリカを中心に、株式市場は同国の追加経済対策の行方などで一喜一憂しており、そのたびに株価がドタバタと上下動している」という趣旨の話を述べた。

■「不思議の国のアリス」のような株式市場

 現在の同国経済は、コロナ禍を完全に乗り越えたわけではなく、まだ政策面からの支えが必要な状況だ。そんなことは、トランプ政権も与党共和党も野党民主党もわかりきっており、いずれも「追加政策を打ち出さなければいけない」という点では一致している。方向性が同じなのだから、大統領選挙前か後か、今年か来年かはわからないが、そのうち追加政策は出てくるだろう、と達観していればよさそうなところだ。

 しかし実際の市場は、毎日決定的なことなど起きてはおらず、材料の少ない「なんでもない日」がほとんどだ。にもかかわらず、いろいろな報道等を大きく取り上げて「今度は追加政策に関する交渉が進展しそうだ」、次は「どうも話が進みそうもない」と、大騒ぎするばかりだ。これは、あたかも、「不思議の国のアリス」で、帽子屋が「なんでもない日、ばんざい!!」と、誰の誕生日でもないことで盛り上がりながら、空騒ぎのお茶会を続けているようなものだと言えよう。

 特に空騒ぎが極まったのは、19日の同国市場だ。民主党のナンシー・ペロシ下院議長は直前の週末に追加の経済対策を巡る政権と民主党の協議の期限は48時間以内だ、と述べたと伝えられた。

 当初、市場ではこの発言は「48時間以内に協議が成立するとの自信を示したものだ」として、株価がザラ場で上昇した。ところが、なんとその日が終わらないうちに、今度は、「48時間以内の交渉成立が無理だとわかっていての、ペロシ議長による事実上の交渉打ち切り通告に等しい」、という全く逆の観測が有力とされ、株価は反落を示した。

 こうした「不思議の国のアリス」において、女王の怒りを買って時間が止まり、終わらない空騒ぎのお茶会(ティーパーティ)を続けているかのようなアメリカ株式市場の体たらくが続いている。それが18世紀、ボストン茶会事件(ボストン・ティーパーティ)などを契機にイギリスからの独立を果たしたアメリカという国で延々と繰り広げられている、というのは痛烈な皮肉のようだ。

 まさに茶番にふさわしい市場のあたふたの繰り返しは、新型コロナウイルスに対するワクチン・治療薬の開発状況について「認可が早そうだ」「いや、治験で死亡者が出た」などのドタバタが上乗せされて、さらなる大騒ぎとなっている。

 ただ、どうしてこうした意味の薄い株価の上下動が繰り返されるかと言えば、他に決定的な材料が乏しく、情勢が不透明で、株価のトレンドが上にも下にも決め打ちしにくい、という状況が背景にあるからだ。

 さらに、情勢が不透明な一因としては、アメリカでは7~9月期の決算発表の渦中であるという点も挙げられそうだ。すでにかなりの企業が発表を終えており、22日に発表を行い翌23日に株価が急落したインテルのように、個別に株価が大きく動いたものも見受けられる(ただし、決算実績は前年比減収減益ではあったが、事前見通しと比べてそれほど悪い内容だったとはいいがたい)。

 とは言っても、注目を集めている「GAFA」は、そろって決算発表日が29日とこれからで、投資家がそのイベントを待ちたいという様子見気分になってもおかしくはない。

■アメリカ市場は企業業績を確認後、堅調さを増す可能性

 さすがに、こうした「決算内容待ちの日々」は、もうすぐ峠を越しそうだ。ファクトセット社が集計している、アナリストの平均利益見通し(S&P500採用銘柄ベース、先行き12カ月間の1株当たり利益予想値)は、コロナ禍のなかにあった今年5月は前年比19.8%減益まで引き下げられた。だがその後は経済全体の持ち直しなどを反映し、直近では9.4%減益予想まで上方修正されている。こうしたアメリカの企業収益の改善傾向が、7~9月期の収益実績でしっかり確認されれば、今後の同国の株価は堅調さを増すものと期待される。

 ただし日本株については、アメリカより決算発表のタイミングがやや遅れ、その分様子見が後まで残ることと、前回の当コラムで述べたように、アナリスト見通しの上方修正の度合いが小幅で鈍いことが、今後の株価の上昇基調がアメリカ株に比べ力強さを欠くものになりかねないとの懸念を招いてしまう。

 もう一つ、市場に決定的な動きが出にくく、お茶会の空騒ぎが続いている背景には、11月3日のアメリカ大統領選挙の結果待ちになっている部分もありそうだ。この選挙戦自体も、第1回目の大統領候補同士の討論会は、まるで茶番と呼ぶにふさわしい「ぐだぐだなもの」であった。

 おそらくその反省があったためか、「第2回目」(当初予定は第3回目だったが、2回目が中止となったため結果として第2回目に)の討論会は、ぐっと落ち着いたものだった。だからといって、内容が極めて高品質なものとなった、というわけでもなかったようだ。

 もちろん、茶番であろうとどうであろうと、アメリカという経済・安全保障等の面で超大国の、行政のトップが誰になるか、という点は重要であり、結果が出るまで市場として動きにくい、ということは理解できる。

■どちらが大統領でも「想定外の重要事態」ではない

 とは言っても、どちらが大統領になっても、市場が大きく揺らぐとは見込みにくく、政治的な不透明要因が一つ剥落する分だけ同国の株価は上値を追いやすくなると考えている。

 そもそもドナルド・トランプ氏が再選されれば、単に現政権があと4年やるだけのことだ。またジョー・バイデン氏が大統領となれば、前政権の副大統領が大統領になるだけだ。どちらの場合も、想定外の重大事態とは言いがたい。

 バイデン氏の政策の場合、法人税率や富裕層の所得税・キャピタルゲイン税の最高税率引き上げなど、増税策が先行して市場で懸念を呼んでいた。しかしその後は時間をかけて、増税策による景気・株価の圧迫は、市場に十分に織り込まれ切ったと解釈できる。

 さらに、民主党の「大きな政府」との党是を踏まえると、歳入(税収)の膨張のみならず、歳出拡大も推し進められると見込まれる。歳出増は、景気支持要因で「バイデン政権が株価下落ばかりをもたらす」、との見解は当たっていないだろう。

 今回の大統領選挙で、郵送投票を選択する有権者が過去よりも多く、投票日以降に着いた郵送投票分も有効とする州が多い(19州とワシントンDC)ことから、決着がつくのに日にちがかかりだらだらと不透明感が続く、との懸念も聞かれる。

 ただ、郵便投票分を含める前に各州で大差がついてしまえば、結果には影響しない。両候補の支持率が比較的接近している、接戦州(=スイングステート)は「6州ある」との見解が有力だが、そのなかで投票日以降の郵送票も有効としているのは、ノースカロライナ1州しかない。

 もちろん、トランプ大統領が大差で敗北しても「不正投票だ!」などと難癖をつけて訴訟に持ち込み、ホワイトハウスでパイプ椅子を振り回して出ていかない、といった茶番ならぬプロレスになってしまうのではないか、とのジョークはアメリカで聞かれる。それでも来年1月20日の現政権の期限までに選挙結果が決着しない、という事態までは想定しがたい。

■11月以降の日米株価は、じわじわと上昇力を高めそう

 こうした観点からは、日米とも株価は、7~9月期の企業収益の持ち直しを確認し、アメリカ大統領選挙も結果が固まることで、不透明感が薄らぎそうだ。そのため11月以降の株価は、世界的な経済と企業収益の緩やかな回復基調に沿って、これまでのボックス圏からの上放れへと、歩を進めると予想している。

 ただし、これまでの景気の持ち直しの背景には「リベンジ消費」(経済活動が凍結されていた間に、消費を楽しめなかった分を、一気に復讐(リベンジ)する消費行動)や、給付金などによる景気支持策の効果などがあった。

 そうしたプラス効果が薄らぐことで回復の勢いが衰える、あるいは一部の経済指標に反落するものも混じってくる、という状況になりそうだ。とすれば、日米等の株価がボックス圏を上に離れても、一気の上昇とはなりにくく、「二進一退」でじわじわと水準が切り上がるような展開ではないだろうか。今年末の日経平均株価の居所としては2万4000円前後、来年6月末は2万6000円程度を予想している。

 結局のところ、投資家としては、ドタバタすることなく、株式の個別銘柄や株式ファンドなどを買い持ちして、おいしいお茶でも味わいながら、のんびりと株価の上昇を待っていればよいのではないだろうか。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/26(月) 6:01

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