IDでもっと便利に新規取得

ログイン

JR終電繰り上げ「山手線西側」の私鉄は混乱必至

10/26 5:31 配信

東洋経済オンライン

 JR東日本がかねて表明していた2021年春ダイヤ改正時における終電時刻の繰り上げについて、都心から郊外に向けた終電繰り上げの概要が10月21日に発表された。山手線、京浜東北線など17線区において最大で37分程度、今よりも終電の時刻が早くなる。

 終電の繰り上げが行われない区間もある。たとえば、山手線の外回りは16~19分程度繰り上がるが、内回りは池袋発大崎行きの終電が現行の0時51分発から20分程度早くなる一方、品川・東京・上野などの終電はほぼ現行どおりの予定だ。

 混雑による「3密」に配慮し、一部の線区で終電前に列車を増発したり、金曜日などに終電前に臨時列車を運行したりすることもあるという。今回発表されたのは都心から郊外に向けた列車についてだが、郊外から都心に向かう列車の終電繰り上げも同様に行われる。また、具体的な実施日や詳細時刻は12月に改めて発表される。

■繰り上げ後の山手線終電に乗り継げるか

 多くの線区で終電繰り上げを行うことから、JR線同士の乗り継ぎについてはある程度考慮されているはずだ。

 では、JR線と、大手私鉄などJR以外の路線との乗り継ぎはどうだろうか。JRから乗り継ぐ場合、JRの終電が繰り上げられても、乗り継ぐ路線のダイヤが現状のままなら乗り遅れることはなく、むしろ余裕が生まれるともいえる。

 心配なのは、これらの路線からJR線への乗り継ぎだ。JRの終電繰り上げで、来春以降は乗り継ぎができなくなるといった事態も起こりうる。

 現在、大手私鉄などJR以外の路線からJRへの最終電車同士の接続状況はどうなっているのか、そして今後はどうなるのか、山手線の主なターミナル駅を例に検証してみた。終電時刻に郊外から都心に出て山手線に乗り継ぐという人はあまりいないだろうが、地下鉄など都心に近い駅から山手線に乗り継ぎたいという人はそれなりにいそうだ。

 山手線の繰り上げ後の具体的な終電時刻は発表されていないので、JR東日本の10月21日付発表資料を基に編集部で推測した。JR以外の各線の時刻は現行の平日ダイヤに基づく。

 ■新宿駅

 山手線外回り(池袋方面)の出発時刻が1時00分から0時44分に、山手線内回り(渋谷方面)の出発時刻が1時00分から0時41分に繰り上がる。

 小田急線最終の新宿駅着は0時48分(本厚木発各停)なので、内回り・外回りとも乗り継げなくなる。京王線は新宿駅と新線新宿駅で状況が変わる。新宿駅着の最終は0時27分着(京王八王子発特急)なので内回り・外回りとも乗り継げるが、新線新宿駅着の最終は0時49分(高幡不動発各停)なので、山手線への乗り継ぎは不可能だ。

 都営新宿線は上り最終列車の新宿駅着が0時40分なので、山手線内回りへの乗り継ぎはほぼ不可能。外回りへの乗り継ぎも際どいところだ。東京メトロ丸ノ内線は、池袋方面行きの新宿着は0時16分なので山手線の外回り、内回りともに間に合うが、荻窪方面行きは0時39分着。内回りへの乗り継ぎは厳しい。外回りへの乗り継ぎは急いで歩けば可能だろう。

■東横・田都からの乗り継ぎは厳しい

 ■渋谷駅

 山手線外回り(新宿方面)の出発時刻が0時52分から0時33分に、山手線内回り(五反田方面)の出発時刻が1時07分から0時48分に繰り上がる。

 東急東横線の最終の渋谷着は1時02分(元町・中華街発各停)なので、山手線への乗り継ぎは不可能。最終から4本前の0時24分着(同)なら外回り、内回りともに接続できる。新宿方面から来る東京メトロ副都心線の最終は0時44分着(和光市発各停)。外回りへの乗り継ぎはできないが、内回りはぎりぎりで間に合うかどうか。

 東急田園都市線上り最終の渋谷着は0時46分(中央林間発各停)なので、やはり山手線への乗り継ぎは厳しい。1本前の0時30分着(同)なら内回りへの乗り継ぎは可能だ。東京メトロ半蔵門線最終の渋谷着は0時39分(押上発各停)なので、内回りには乗り継ぎできるが、外回りは不可能だ。

 京王井の頭線最終の渋谷着は0時38分(吉祥寺発各停)なので内回りへの接続なら間に合う。東京メトロ銀座線の最終の渋谷着は0時37分。やはり内回りへの接続なら間に合う。

 ■高田馬場駅

 山手線外回り(池袋方面)の出発時刻が1時04分から0時48分に、山手線内回り(新宿方面)の出発時刻が0時55分から0時35分に繰り上がる。

 西武新宿線の高田馬場駅着は下り(所沢方面)が0時50分、上り(西武新宿方面)が0時40分(上石神井発各停)。下りは山手線の終電には乗り継げず、上りは外回りへの乗り継ぎは可能だ。東京メトロ東西線の高田馬場駅着は西船橋方面行きが0時07分と非常に早く、山手線終電繰り上げの影響を受けない。中野方面行きは0時39分着(東葉勝田台発各停)で、内回りに接続できない。

 ■池袋駅

 山手線外回り(上野方面)の出発時刻が0時38分から0時21分に、山手線内回り(新宿方面)の出発時刻が0時51分から0時31分に繰り上がる。

 西武池袋線、東武東上線ともに最終の池袋着は0時35分(西武池袋線:石神井公園発各停、東武東上線:志木発各停)なので山手線には接続できなくなる。東京メトロは丸ノ内線の最終の池袋駅着が0時40分でやはり山手線には接続できない。有楽町線最終の池袋駅着は新木場方面が0時18分(和光市発各停)、小竹向原方面が0時40分(新木場発各停)。副都心線の最終の池袋駅着は渋谷方面が0時26分(和光市発各停)、小竹向原方面が0時37分(元町・中華街発各停)だ。やはり、山手線終電繰り上げの影響を受ける。

 ■西日暮里駅

 山手線外回り(上野方面)の出発時刻が0時49分から0時32分に繰り上がるが、山手線内回り(池袋方面)の出発時刻は0時53分で変更がない。

 東京メトロ千代田線最終の西日暮里着は下り(綾瀬方面)が0時30分、上り(代々木上原方面)は0時15分。下りから山手線外回りへの乗り換えはぎりぎりで間に合わないかもしれない。

 日暮里・舎人ライナー最終の上り(日暮里方面)は0時30分。JRの駅とはやや離れているので乗り換えは難しい。

■上野着の終電はもともと早い

 ■上野駅

 山手線外回り(東京方面)の出発時刻が0時55分から0時39分に繰り上がるが、山手線内回り(池袋方面)の出発時刻は0時47分で変更がない。

 京成電鉄本線最終の京成上野着は0時15分(京成臼井発各停)。したがって山手線の終電繰り上げの影響は受けない。

 東京メトロ銀座線の上野駅着は渋谷方面が0時19分、浅草方面が0時39分なので、上り列車は外回りに接続できない。日比谷線の上野駅着は中目黒方面が0時11分(東武動物公園発各停)、北千住方面が0時27分(中目黒発各停)なので、やはり山手線の終電繰り上げの影響は受けない。ほかの主要ターミナル駅と比べると、上野駅は私鉄の終電の時刻がもともと早いようだ。

 ■東京駅

 山手線外回り(品川方面)の出発時刻が1時03分から0時46分に繰り上がるが、山手線内回り(上野方面)の出発時刻は0時39分で変更がない。

 東京メトロ丸ノ内線の最終の東京駅着は新宿方面が0時20分、池袋方面が0時23分。もともとの終電時刻が早いため、山手線終電繰り上げの影響は受けない。

 ■新橋駅

 山手線外回り(品川方面)の出発時刻が1時07分から0時50分に繰り上がるが、山手線内回り(東京方面)の出発時刻は0時35分で変更がない。

 東京メトロ銀座線最終の新橋着は渋谷方面が0時23分、上りが0時26分。都営浅草線の新橋着は押上方面が0時10分(三崎口発特急)、泉岳寺方面が0時22分(印旛日本医大発各停)。ゆりかもめの最終の新橋着は0時24分。いずれも山手線終電繰り上げの影響を受けない。

 ■品川駅

 山手線外回り(渋谷方面)の出発時刻が0時38分から0時20分に繰り上がるが、山手線内回り(東京方面)の出発時刻は0時26分で変更がない。京浜急行電鉄本線の品川駅着は下り、上りともに0時22分(上り:成田空港発アクセス特急、下り:羽田空港発エアポート急行)。山手線外回りには接続できなくなる。

■終電繰り上げは私鉄各社も検討

 以上のとおり、ダイヤ改正後には、渋谷、新宿、池袋など山手線の西側で、これまで可能だった終電での山手線への乗り継ぎができなくなる路線が多数出てくることがわかった。一方で上野、東京、新橋など東京の東側では、山手線の内回りの終電時刻が変わらないという理由もあり、影響は小さい。

 東急、西武、東京メトロなど多くの鉄道事業者がJRに追随する形で、自社の路線についても終電繰り上げを検討している。「JRさんがこのタイミングで発表したのは、各鉄道事業者のダイヤ見直しの検討に十分な時間が必要だと配慮してのことだと思う」と、東京メトロの幹部は話す。ただ、東京メトロの路線は多くのJRや私鉄とつながっているため、「ある駅の終電時刻を繰り上げると別の駅の終電時刻のタイミングがおかしくなるというケースがあちこちで生じる」ということで、ダイヤ見直し作業はかなりの困難が伴う。とはいえ、JR東日本の終電繰り上げによって、東京メトロからJR線への乗り換え時間がぎりぎりになるような場合は、「余裕をもって乗り換えできるよう数分程度のダイヤの微調整を行ったり、駅スタッフによる利用者への案内を徹底するなどして、利用者に不都合が生じないようにしたい」という。

 ほんの1年前までは、東京オリンピックの期間中は観客輸送のために首都圏の鉄道の終電を午前2時ごろまで繰り下げるという検討が行われていた。それが昨年10月にJR西日本が終電時刻の繰り上げを検討すると発表し、今年のコロナ禍で世の中の流れが終電繰り上げを容認する方向に変わった。

 JRに追随してほかの路線も終電時刻を繰り上げれば、社会全体が深夜の労働を縮小する方向に向かう。深夜営業を行う飲食店にとっては営業時間を短縮せざるをえないケースも出てくるだろう。逆に、終電間際まで残業をしているサラリーマンにとっては朗報かもしれない。いずれにせよ、各鉄道事業者には利用者の不便を最小限に抑えるようなダイヤ改正を期待したい。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:10/26(月) 5:31

東洋経済オンライン

投資信託ランキング