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吉岡里帆「どんぎつね」が持つ「ほっこり」の威力

10/25 13:01 配信

東洋経済オンライン

 10月前期のCM好感度調査では、木村拓哉が出演する日産の企業CMが3期連続で総合1位に輝いた。今作は7月に発表された新型EV『ARIYA』をテーマにしたCMで、木村が車外からリモートキーで自宅の室内から屋外へと同車を移動させながらムーンウォークをしたり、ハンズオフ運転をしながら指を鳴らしたりする姿を描いた。

 ARIYAに搭載された「プロパイロット2.0」の優れた性能を木村の存在感と共感性の高い表現で訴求。成人男女から多くの支持を集め、半期では同社CMとして過去最高のスコアを記録した。

 総合2位は日清食品『どん兵衛』が入った。星野源が“どん兵衛を食べる男"、吉岡里帆が“どんぎつね”を演じる開始4年目となる人気シリーズの新作で、天ぷらそばにある「月見ポケット」という卵を落とすためのくぼみにフォーカスしたストーリーだ。

 テーブルをはさんで向かい合うふたり。「僕のそばに、キミが必要です」と星野から打ち明けられ、吉岡は「ついに」とうれしそうに仰向けに倒れると、宙を落下する吉岡に生卵が重なるイメージ映像と、月見ポケットに卵が収まるカットが続く。

 「蕎麦に、黄身。」というコピーとともに「やっぱり、そばには黄身だな」と満足げにつぶやく星野と、床に寝そべってふてくされる吉岡という、すれ違うふたりの対照的な姿で幕を閉じた。幅広い層に支持され、「どんぎつねがかわいい」「ふたりのやりとりにほっこりする」といったコメントが多く寄せられた。

■「どん兵衛を食べる男」だけではない星野源

 星野のアーティストとしての一面を楽しめるのが任天堂『スーパーマリオブラザーズ』の35周年CMだ。レコーディングスタジオで星野がファミリーコンピュータのスイッチを入れると彼の新曲『創造』が流れはじめる。

 ヘッドホンや壁、楽器に歴代の同タイトルのゲーム映像が投影され、鮮やかに彩られていく室内で星野が楽しそうに歌ったりギターやドラムを演奏したりする内容。セリフは一切なく、リアルとバーチャルを融合させた映像表現とリズミカルな音楽を通して35年の歴史を振り返り、23回と少ない放送回数ながら男子小中高生を中心に支持された。

 吉岡の出演作では江崎グリコ『パピコ』、妻夫木聡らと共演する全国都道府県『ハロウィンジャンボ宝くじ』のCMがそれぞれ11位、15位にランクイン。前者は野菜のフローズンスムージー『パピコ パピベジ』を訴求するCMで、吉岡が「野菜のアイス?  そんなのおいしいわけ……」と半信半疑でひと口食べた瞬間、「うんまっ!」と叫ぶといったストーリーだ。

 吉岡のハイテンションな“ひとりノリツッコミ”を通してパピベジを初体験した際の驚きを印象づけ、モニターからは「これはぜひ買わなきゃ」「おいしいの? !  と思うがちょっと試してみたい」と商品への関心を示すコメントが数多く見られた。

■女性層の支持を集めた「トップ スーパーナノックス」

 今期も上位には訴求力のあるタレントを起用したCMが目立った一方で、商品の特長を独創的なアプローチで表現したCMも見受けられた。ライオン『トップ スーパーナノックス』は二宮和也が従来の洗剤を引き合いに、リニューアルした商品のベネフィットを伝えるCMで好評価を獲得した。

 CMは二宮は「皆さんご存じのあの大きな洗剤の中身は、約7割が水だったんです」と、従来型の液体洗剤の成分について説明するシーンに始まる。すると4人の男女が目を丸くして驚きの声を上げ、「あんなに重かったのに?」「きちんと量ってたのに?」などと落胆する姿が映される。

 そして二宮が海外の通販番組風にオーバーなジェスチャーで「まぁ、そうなりますよね、だから」と言うと、「脱! ほとんど水洗剤」のナレーションに合わせて全員で従来ボトルを背後に放り投げ、最後に二宮が「新ナノックスは約7割が洗濯成分で濃い~の」などと新しくなった商品を紹介する内容だ。30~40代の主婦を筆頭に女性層から多くの支持を集め、初のトップ10入りを果たした。

 モニターからは「『洗剤のほとんどが水』というコメントに衝撃を受けた」という声が大半で、「ナノックスは7割洗剤と聞いて試したくなった。汚れ落ちがどのくらい違うのか」「きれいになりそう」など新商品への興味を示す感想も見受けられた。

 なお同商品は2016年から二宮をCMに起用しており、シリーズ開始時から一昨年までは「ニノが、ナノで、受けて立つ!」をコピーに、二宮が“汚れからの挑戦状”に書かれた難題を実験するCMを展開。パンダの着ぐるみの中のTシャツを洗い上げるといったコミカルで親しみやすい実証型のCMで好評を博した。

 こういった“目に見えない洗浄力”の訴求から、今期はさらに進化を遂げ具体性のあるメッセージで勝負に出た。従来の液体洗剤の「約7割が水」という消費者にネガティブな印象を与えかねない事実にあえてフォーカスすることでメッセージに説得力を持たせ、リニューアルした商品の利点を際立たせたといえるだろう。

 また総合13位にはリクルート『Airペイ』がランクイン。オダギリジョーが骨董品店やミュージックバー、青果店などの店主を演じる人気シリーズの最新作が好スコアをマークした。

 ドラッグストアの店員に扮したオダギリが大量に誤発注したプロテインを棚に並べていると、黒いタンクトップ姿の武田真治が屈強な男性たちとともに「この店のプロテイン、あるだけください」と現れる。オダギリは「奇跡……」と喜ぶも、クレジットカードで決済できないことを伝えると、武田らに「じゃあいいですぅ」と立ち去られてしまうストーリーだ。

 CMのラストで「カードリーダー費用0円 キャンペーン実施中!」などの訴求はあるものの、サービスの説明はわずか数秒に抑えられている。テンポの良い掛け合いをベースに、キャッシュレス決済への未対応による損失を描くことで商品の利便性を印象づけた。

■商品への信頼感や注目度を高めたCM続々

 アップルジャパン『iPhone』のCM(総合19位)はセキュリティー対策の甘さを大げさに表現することで、プライバシー保護機能をアピール。さまざまな人々が「今日、離婚弁護士のサイト8つ見たよ」「私のクレジットカード番号は……」などと自身の個人情報を街の中で見知らぬ人々に大声で表明する内容で、「共有すべきでないこと。iPhoneは守れるようにします。」「プライバシー。これがiPhone。」というコピーで締めくくっている。

 今期はモノの見方を少し変えることで、商品への信頼感や注目度を高めたCMが相次いだ。これからも独創的なアプローチで商品の価値を輝かせるクリエイティブに着目したい。

東洋経済オンライン

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最終更新:10/26(月) 13:03

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